ジローラと おしゃべり
「で、何して遊ぼうか?」
ミーケも遊ぶことに乗り気にはなってくれたけど、まだ肝心の何をして遊ぶかが決まっていない。だから俺は二人にへと尋ねた。
「う~ん…」
ジローラが口からそんな音を出しながら、頭を捻ってくれている。どうやらちゃんと考えてくれているようだ。だから俺は、もう片方の俺の方をぼーと見つめてきているだけのように見える女の子に話しかける。
「ミーケはなんかしたいことある?」
俺が尋ねると、彼女はすぐに口を開いた。
「そんなのお家デ…」
まぁ、そうだよねぇ。君はそんな子だよね。
彼女が何を言おうとしているかすぐに分かったから、俺はジト目とともに彼女の名を咎めるように呼んだ。
「ミーケさん?」
「な、何でもないよ! うんっ!」
君それ、帰ろって言ってるのと一緒だからね。それジローラに言えるの君?いや、君なら言えるか。ほんま、気抜くとすぐにこれだよ、まったく。
「………」
じ…
「ル、ルートは何かしたいことないの?」
俺が責めるような目線でずっと彼女を見つめていたら、彼女がまるで取り繕っているかのようにこっちへ話を振ってきた。まぁ、いいか。
何して遊ぶか、かぁ。今日は誰もボールを持ってきてないから、ボール遊びは無理だし。三人でできることかー。何かあるかなぁ。うーん…。
俺がうなっていると、遊ぶのにちゃんと乗り気な方がしゃべりかけてきた。
「鬼ごっこはどうだっ?」
鬼ごっこかぁ。まぁ、これと言って面白味のない案だけど、ベタで案外やってると楽しいしな。ジローラがせっかく提案もしてくれたし、今日は鬼ごっこにするか。
「じゃー、鬼…」
「ヤ!」
俺が言い切る前に、お姫様が俺の意見に被せてきた。どうやら、鬼ごっこはお気に召さなかったらしい。
「どうして?」
一応、理由を聞くだけは聞こう。俺が尋ねると、ミーケが口を開く。
「そんなの…」
ミーケの言葉を、俺とジローラが彼女をじっと見ながら待つ。そして…
「ミーケがジローラ君に触られたくないからだもん。」
ミーケが戯れ言を言い始めた。聞かなかった方がよかったかもしれない。そんなの本人の前で言うなよ。
俺は恐る恐るジローラの方をこっそりとのぞき見する。すると…
ぽか~んとジローラが口を開けたまま、表情が停止している。突然のことで頭が停止したみたいだ。
まぁ、衝撃的だよな。
ただ、まだ終わってないらしい。
「だって…」
俺がジローラの様子をうかがっていたら、ミーケの声が隣から聞こえてきた。彼女の言葉が続く。
「生理的に…」
!!!
彼女が最後まで言い切る前に、俺は急いでミーケの口を手で塞いだ。
お前それ以上はやめろ~。ジローラを殺す気かっ!! 人間、言っていいことと悪いことがあるんだぞ。
ミーケが俺の手の中でバタバタと暴れる。ただこれ以上は、こいつにしゃべらすのはダメだ。俺は彼女の口を塞ぎ続ける。そんなとき…
ハムっ
彼女を止めている俺の指に、柔らかくて湿った何かに噛まれた感覚が走る。俺は違和感のあった場所を見ると、ミーケが俺の手を噛んでる。
!!!
何してんだっ!?こいつ!
俺は彼女の動向を見つめる。痛みはないから、どうやら歯を立てずに甘噛みしているみたいだ。ずっとハムハムしている。そしてなんだか大人しくなった。ハムハムするのに夢中なみたいだ。こいつ大丈夫か?
大人しいならもうこれでいいか。そう思っていたけど、まだもう一波乱あるみたいだ。
「生理的に、なんなんだっ?」
ジローラが復活して聞いてきた。
お前もお前でそんな地雷踏みに行くなよ。
はぁー
「ミーケも鬼ごっこがしたいってさ。」
俺はめんどくさいから、誤魔化すことにした。
「~~~」
ミーケが、自分の口を塞いでいる俺の手をのけようとしてくるが、俺は必死に彼女を捕縛し続けた。次にこの女が何い出すか分からなかったからだ。
こうして俺たちは鬼ごっこをした。
ただ、すごくしんどかった。
ミーケが鬼になると、俺しか追って来ない。ジローラが鬼になると、ミーケが自分のとこに来るなとアピールして、結局ジローラが俺の方にしか来ない。
だからちゃんと鬼ごっこの形になっていたのは、俺が鬼の時だけだった。
なんか俺の知ってる鬼ごっこと違うんだけど。鬼ごっこってなんだっけ。
こうして、俺たちは楽しく鬼ごっこをして遊んだ。楽しく…?




