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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
72/190

テロ…

 お昼過ぎ、俺と母さん、それにミーケの三人はいつもようにパパさんのご飯を食べ終えてから、自宅へと帰ってきていた。今はみんな、ソファの上でだら~と過ごしている。

 

 それにしても、今日のお昼ご飯はとってもおいしかった。


 今日はなんとなんと、ロースカツ定食で、そのロースカツがもうほんと最高だった。きれいな黄金色に揚げられたロースカツ、その一切れを歯で嚙みちぎる。口の中から、サックという音とともに肉の中に閉じ込められてた肉汁がブワーッと口の中に暴力的なほどに広がってくる。しかも噛みちぎる時には繊維による引っ掛かりなんてこれぽっちもなく、噛めばまるで口の中で肉と脂が溶けてるんじゃないかと錯覚してしまいそうだった。


 あぁ、ほんとにおいしかった。


 そして、添えられてるキャベツ、これがまたいい味を出すんだよ。カツでくどくなった口の中を、キャベツのシャキシャキが一瞬でほどいてくれる。だから、また新鮮な気持ちでロースカツを食べられる。これが永遠と続いていく。そう、これは…


 無限ループ!!!


 俺がもう少し大きければ絶対にお代わりしたのに。あーっ、今は自分の小ささが腹立たしい。くーーっ。


 俺がそんなことを思っていた、そんなとき…


 コテッ

 

 急に俺の肩、右肩が重くなった。俺は重くなった肩を確認する。すると、ミーケの頭が俺の肩の上に乗っていた。


 俺はそ~とミーケの表情を覗き込む。そしたら、ミーケが目をつぶっていた。どうやら寝てしまってるみたいだった。


 お昼…、しかもまぁまぁ重い物を食べた後だからきっと眠くなっちゃったんだな。


 俺はすぐに起きるだろうと思って、彼女をそのままにすることにした。




 

 スー、ス―


 俺の肩で寝ているミーケから、とうとうそんな音が聞こえだした。どうやら、本格的に寝てしまったみたいだ。そんな体勢でガッツリ寝たら、首を痛めるかもしれないのに。


 はぁー。


 「ミーケ起きて、首痛めるよ。」


 そう言いながら、俺はミーケを軽く揺する。ただ返ってきたのは、


 「んー、ヤッ。眠い…。」


 そんな寝ぼけたような声と言葉だった。


 あー、これは簡単には起きてくれそうにないな。


 「ミーケさん…」


 「ヤ~。」


 もう無理なやつ…、みたいだ。


 はぁー。


 「ミーケ、膝で寝ていいから、せめて体勢変えよ?」


 俺は悲しい折衷案を提案した。


 すると…

 

 「ん。」


 そう言って、ミーケの頭が俺の膝の上にのそのそと移動してきた。こういうのだけは聞き分けいいよなー、ほんと。


 ミーケは、俺の膝を枕にするや否や、またスース―と寝息を立て始めた。


 膝の上でぐっすりと寝ている。息をするたびに体が上下して、吐く息が俺の膝に当たる。ちょっとこそばゆい。でも、ミーケが寝てしまっているから、どうにもできないのが歯がゆい。


 だから俺は、幸せそうに寝ている彼女にイタズラをすることにした。


 君だけそんな幸せそうなのは許せないからね。フフフ、覚悟しろよ。

 

 俺はミーケの頬を指でつつく。


 軽くつつくだけでも、ミーケの顔が少し歪む。どうやら鬱陶しいみたいだ。


 ただ、そんな嫌がらせのつもりで触っていたけど。指先がちょっと気持ちいい。


 肌がしっとりかつ、ぷにぷにとしていて、つつく俺の指を肌の弾力が跳ね返してくる。この柔らかさと弾力性のバランス…、なかなかに良い。癖になりそうだ。


 俺はミーケの頬をつつき続ける。


 でも、つつくだけでは反応が薄くて、段々と飽きてもくる。


 だから時たまぐりぐりと押す。するとミーケが”ん-”とうなり声をあげる。なかなかに不快みたいだ。そんな反応が愉快ですごく楽しい。


 ぐりぐり…


 また彼女がうなりながら、表情を歪ます。


 楽しい…。


 何度か繰り返してから、なんとなく俺はミーケの頭を撫でた。


 やわらかい!


 子供だからなのか、ちゃんと手入れをしているかなのか、彼女の髪はすごくすべすべでふんわりとしている。枝毛もないから、髪の間に入る指が”スー”と抜けていく。撫でている手のひらが気持ちいい。


 俺はイタズラ中ってことを忘れて、無心で彼女の髪を撫で続ける。撫でる度に彼女の顔が柔らかく…、いや穏やかになっていく。見てるとすごく心が落ち着く。


 だから俺は頭を撫で続けた。


 ただ、撫で続けてるうちに、ミーケの表情に異変が起き始めた。


 さっきまで、可愛らしく穏やかな表情だった。なのに…


 「ぐへへへへへ。」


 という笑い声をあげながら、気持ち悪い…、ニヤニヤとした表情へと様変わりした。すごく気持ちが悪い。さっきまでのほっこりとしてた気持ちを返してくれ。


 はぁー。


 俺は撫でる手を止めた。


 すると、ミーケの顔がすぐに”しょぼーん”と悲しげになる。まるで起きているかのように変化が早い。不思議だ。まだ寝ているみたいなのに。


 まさかっ…


 俺はミーケの頬をぐにっとつねる。


 顔が少し歪みはするけど、起きてくる様子はない


 気のせいか…。


 まぁ、起きててあんな笑い声はキモ過ぎるもんな。


 俺は起きてないことに安心したからか、無意識で背もたれに体重を預ける。自然と視線が下のミーケから、正面へと移る。正面…、対面のソファへと。


 そのソファには…


 ニヤニヤと笑っている母さんがいた。


 !!!


 えっ!? いつからいたの? もしかして始めから…


 ………


 俺の額からこめかみにかけてを、汗がつーと流れる。


 いやっ、もしかしたら、今座ったところという可能性だって…


 俺がそう願っていると…


 「尊い…。」


 母さんが小さくそうつぶやく。


 っ!!!


 一気に頬に熱が充満した気がした。頬が熱い…


 「い、いつからいたの?」


 俺は一寸の希望を込めて、母さんへと尋ねる。


 頼む、今だと…、今さっき座ったとこだと言ってくれ…。それなら…、まだ耐えれるから。


 ただ、それは儚い願いだった。


 「最初から…、ミーケちゃんがルートに肩に頭を預けたとこから、ずっとよ♪」


 あ~~~~~~、あ~~~、あ~~~~~~~~~~~。うぅ…。


 「………」


 頭の中がいろんなことで溢れて、言葉が出ない。


 そんな俺を母さんがニマニマと見つめてくる。


 「忘れてくれたりは…」


 無謀なお願いを口にする。


 けど、母さんは変わらずにニマニマと見てくるだけだった。


 うぅ…、せめて…


 「ミーケには黙ってて…、お願いだから。」


 俺は母さんに下駄を預けた。

上手く書けてたらいいな

タイトルは後々変えます、きっと…


土日は2話ずつ

月曜は朝9時に一本は投稿済みで、夕方にもう一本出すかは考え中です

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