お買物と 寄り道が
俺とミーケの二人は、何時間かいたお店を出て自宅の方に向かってとぼとぼと歩く。二人とも顔に疲れの色が見える。俺は暇さに、ミーケは服のコーディネートという選択肢の広さに苦しんだ。こう考えると、ミーケは内容的に楽しんでそうな分、俺の方がすごく可哀相に感じれる。いや、もう忘れてしまおう。
でも、忘れてはいけない。だって、二人の手には何も買い物袋が下げられてないのだから。俺の今日はいったいいずこへ?それは、さっきまで俺がいた場所にさ。もう、やめよう。
「もー、今日はルートが真剣に選んでくれないから、服買えなかったじゃない。」
横の小さい女がそんな言葉をぶつけてくる。彼女の中では、今日は俺が悪いみたいになっているらしい。ちょっと納得いかない。
「僕のせい?」
「だってルート、聞いてもほとんどかわいいしか言ってくれなかったもん。」
うっ…
すごく身に覚えがある、気もする。
「そうだった?ちゃんと服の感想も言ってたよ?」
「何回かだけでしょ?」
くっ…
それも身に覚えがある。
「そうだったかなぁ?」
「そうだったよ。ルートがもっと真剣に選んでくれたら、もっと早く終わってたのに。」
一度でも終わってから言うてくれ、頼むから。
「そうは言っても、女の子の服は難しいよ。」
「それでも、ルートがミーケに着てほしい服持ってきてくれたら、ミーケは絶対それ買うのに。」
絶対嘘っ!絶対”これダサいやだ”とか言ってくるから。今まで何回、君にダサいと言われてきたことか。思い出してくれよ、その都合のいい頭から。
「はいはい、また今度ね。」
「またルートはそうやって…。」
分かってくれ。もうダサいとか言われて傷つきたくないんだよ、俺は。
他愛もない会話をしながら、俺たちは商店街を抜けていく。もう少ししたら空も赤くなる時間帯だからか、商店街の出口の方へ向かう人が日中と比べて多いように感じる。ちょっとした混雑に煩わしさを感じていた時…
「あっ!!」
急にずっと隣にいる女の子の驚いたような声が飛んできた。まるで何かを忘れてたかのような声だった。
「どうしたの?」
「ねぇルート、ちょっと寄り道しない?」
してもいいんだけど、いったいどこにだろう。
「どこに?」
「言わないとダメ?」
ミーケはなんだか教えたくなさそうだ。別に教えてくれないとダメとかではないんだけど、こういう時ってサプライズか俺にとって都合の悪い場所のどっちかだ。で、ほとんどが都合の悪い方だ。というか、全部かもしれない。
「………」
「しょうがないなー…」
俺がどう返すか迷っていたら、ミーケがそう口に出す。もうこれだからルートは、とでも続きそうな抑揚だった。
しょうがないって何?なんかミーケの方が折れてあげたよっていう雰囲気なのおかしくない?えっ、俺が悪い感じなの?どう見ても、俺悪くないよね?
「ペットショップ行きたいなって。」
???
家もミーケの家のどっちともペットなんて買ってないんだけど…
「なんで?」
「内緒♡」
もしかして、ほんとに…
「寄らないからね。」
「えーっ!?なんでよっ?」
「ミーケ、ペットショップに首輪見に行くつもりだったでしょ?」
ピクッ。
彼女の体が少し跳ねて、顔を向こうへ背けた。絶対そうじゃん。
「ほら、やっぱりそうだ。」
絶対俺につける首輪買いに行く気満々だったじゃん。
「そ、そんなことないよっ。それに首輪も冗談のつもりだったし…。」
冗談ねぇ。
「へー。」
「にゅっ…」
俺がミーケを見つめると、彼女が気まずそうに声を上げる。それなら…
「じゃぁ、やっぱり行く?」
俺がそう言うと、ミーケは嬉しそうに…
「えっ!?いいの?なんだかんだルートもつけたいん…」
「ほらっ。」
「えっ?あっ!!!」
ほら、ほら、ほら、ほらっ、ほらーーーっ!!!何が…
「冗談だよ。」
「さ、さっきのも冗談だから…」
いやいやいや、もう無理だから。さっき自分で全部曝露したから。
「へー。」
「うっ…」
「絶対行かないからね。」
行ってたまるか。
「ちっ、イケず…。」
誰がだ、誰が。
少しして、
「私に付けてもらうのもアリかも…」
この子、やばいよ。




