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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
66/190

お買物と かわいそうな

今日2話です

 ふー。


 俺は椅子に座って一息つく。そう、俺はようやく念願叶って、椅子に座ることができたのだ。今しがた、”お買い物デートコース”から”お買い物長時間コース”へとコース変更が行われ、さすがに俺が可哀相とのことで座る権利だけが許されたのだ。可哀相とか思うなら変更しないでよ。


 そんな可哀相な俺の裁量権を握っている彼女は、また新しい服を今は一人で探している。このまま帰ったりしたらダメかなー。案外、買い物に夢中で忘れられたり…、するわけないよな。あぁ、疲れたよぉ。帰りたいよぉ。


 バフッ。


 俺が一人でそんな悲しいことを考えてると、隣で椅子に座り込む音が聞こえた。無意識に音がした方へと俺の目が行く。そこにはちょっとやんちゃそうな若い男性が座っていた。この人どこかで…。


 「なんや、お前。」


 男性はじっと見てくる俺が気に食わなかったのか、男性の方からしゃべりかけてきた。


 「なんでもないです。」


 ちょっときつく言われたせいか、言葉が段々と小さくなってしまう。


 「そうか。そう言えば…」


 「何?」


 「なんかお前見たことあるな?」


 やっぱり会ったことあるのか。


 「やっぱり?」


 「だよな。どこだったっけ…」


 このやんちゃそうな言い方と少しきつい物言い、もしかして…


 「お兄さん、少し前に”リンケージ”ってお店に来た?」


 リンケージっていうのは、今父がお手伝いに行っているお店で、俺も一度だけ職場体験みたいな感じでお手伝いさせてもらったところだ。


 「リンケージ、リンケージって言うと、あの店か…」


 お兄さんが急に歯切れ悪くなり、すごく苦々しそうな表情へと変わっていく。嫌な味でも思い出したかな。俺はその変なもの食べてないから、どんな味かは知らないんだけどね。


 「たぶん、そのお店だよ。」


 「そうか、あの時のガキか。あの時の、うぅ…」


 とうとう思い出してしまったのか、気持ち悪そうにお兄さんがえずく。


 「あれ、そんなにまずかったの?」


 「た、頼む。あれの話だけは止めてくれ。今でもたまに夢に、う…。」


 あぁ、可哀相に。そんなにまずかったんだ。スーベルさん、あれなかなか効いてるみたいだよ、いい感じで。しょうがないから、優しい俺が話を変えてあげるか。


 「で、お兄さんは今日、なにしてるの?」


 「あ、あぁ、今日はデートになっ。」


 まだ気分は悪そうだけど、お兄さんが口角だけ二カッとあげて笑う。白い犬歯がチカっと見える。


 「もしかしてこの前一緒にいたお姉さん?」


 「そうだぜ。」


 「それはすごいね~。」


 まぁまぁ醜態さらしてたと思うけど、それでもまだ続いてるんだ。お姉さんの方も変わり者なんだろうな。

 

 「だろ?さっき言ってたあのお店に行ったきりだったんだけど、何回も誘ったら、ようやく今日なら良いよって言われたんだよ。」


 「頑張ったね~。」


 お姉さんも可哀相に。


 「だろ?やっぱ俺の愛が届いたんだろうな。」


 「そうなんじゃない?」


 知らんけど。


 「で今は、向こうが買う服を選び中なわけ。」


 「へー、一緒に選んだりしないんだ。なんか珍しいね?」


 「なんか、一人で選びたいらしんだよ。」


 ふーん。一人でねー。


 「そうなんだ。そういや、どうやって誘ったの?」


 「そりゃ、あれよ。今度一緒に出掛けないかの一点張りよ。」


 お兄さんが自信たっぷりで嬉しそうな顔で教えてくる。


 「あ~、最後は向こうが折れた感じなんだね。」


 「いやいや、そこは俺の愛が届いたってことにしとこうぜ。」


 お兄さんはなんとも浮かれてて楽しそうだ。


 「おっ!!」


 俺とお兄さんのぼちぼちと続いていた会話は終わりを告げるようだ。お兄さんが突然上げた声が気になってお兄さんの視線の先を見てみると、この前のお姉さんがこっちに向かって手を振っていた。どうやら服選びも大詰めらしい。


 「呼ばれてるみたいだから、もう行くなっ♪」


 そう言い残すとお兄さんは呼んでいるお姉さんの方へと軽やかに向かっていった。お兄さんとお姉さんが合流すると、二、三話して会計の方へと歩いていく。お兄さんだけが…。


 あれ?向かうのお兄さんだけ?なんだか、お兄さんと話してる時、お姉さん…、お兄さんの顔見ずに爪ばかり見ていたような…。


 それにさっき、選んだ服、お姉さんは渡すだけでお兄さんに見せたりもしてなかったし…。いや、きっと後々見せてびっくりさせたい的なやつだろ。そうに決まっている。そうじゃないと、まるで…


 俺が少し思考の中にとらわれていると、お兄さんは会計を終えてお姉さんの元へと戻ってきていた。さっきよりも二人が近くにいるから会話が聞こえてきた。


 「なぁ、次どこ行こうか?」


 「あっちのショップもいい?」


 そう言って、お姉さんが違う服屋さんを指さす。でもなんでか、お姉さんの言葉がすごく無機質に聞こえた。気のせいだと思いたい。


 「あぁ、いいぜっ!」


 対象的にお兄さんの声はすごく生き生きとしている。ほんと、お兄さんの方だけ。


 こうして、二人は服屋へと去っていった。お兄さんが紙袋を握ったまま。


 お兄さん…、またここに帰ってきたりして。ハハハ、そんなわけないか、そんなわけ…。


 数分後、お兄さんはちゃんと俺の隣へ帰ってきた。ハハハ、つらいね。


 

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