ミーケと お話し
昨日の話のあとの話です
目を覚ます。時計を見ると、いつも起きている時間より少しだけ遅い時間だった。だから、少し急いで起きようと思うもなんだか体が重い。きっと夜中に一度目が覚めてしまったせいだろう。俺は体に鞭を打って、支度をしてからリビングへと下りていく。
リビングへ着くと、もう既に、父と母さんがいた。俺は母さんを見つけると、すぐに母さんへと抱き着いた。なんだかすごく不安で、怖かったからだ。でも、なんでかは分からない。
「あらあら、朝からどうしたのよ。」
俺に抱き着かれた母さんからそんな言葉が聞こえてきた。
「わかんない。なんだか、怖い夢見た気がして…」
「そうなの…、まだまだ子供ね。」
俺の言葉を聞いた母さんはそう言いながら、俺の頭を撫でる。すごく癒されて、安心する。まるで怖いことなんて、気のせいだったかのように勘違いしてしまいそうだ。
「ルートもまだまだ子供だな。」
俺と母さんがじゃれ合っていると、父のそんな言葉が聞こえてくる。いつもならイラってきそうだけど、今日はかわいい子供だから無視することにした。こんなの相手にする時間があるなら、今は栄養補給だ。
そんな幸せな時間を過ごしていると、玄関の開閉音が聞こえてきた。ノックもなかったから、きっとミーケだろう。そう認識すると、なんだか身体が震えてきた。まるで、恐ろしい出来事の元凶でも来てしまったかのように。
「おはよー。」
母さんでも、父でもない声が聞こえてくる。いつも聞いてる、可愛らしい女の子の声、やっぱりミーケだ。
「おはよ。」
「あらミーケちゃん、おはよ。朝から来るなんて、珍しいわね。」
「今日すっごく良い夢見ちゃったの。それでルートの顔、早く見たくなっちゃって♪」
彼女が家の両親の言葉に気持ちがルンルンしているような言葉で返事をする。ただ、彼女の口から俺の名前が呼ばれた瞬間、身体にすごく寒気が走った。怖くて、俺は母さんを抱きしめる力を強める。
ただ、誰も俺のそんな様子にかまう様子はなく、母さんがミーケへと尋ねる。
「どんな夢だったの?」
母さんの言葉に、ミーケは”んっとね”と少しもったいつけるように言葉をつなげる。
「ルートの寝顔をずっと眺める夢っ。すっごく可愛かったの♪」
ゾクッ
「ミーケちゃんはほんとにルートのことが好きね~。」
女二人が楽しそうに話をする中、逆に俺の震えが強まっていく。なんでだ?俺に何があったんだ?ほんとにわからない。
俺が恐怖の中にいると、母さんが俺を引っぺがした。
「こらルート、そろそろミーケちゃんに挨拶なさい。」
母さんの言葉は至極真っ当だ。でも、怖くて彼女の方が向けないんだよ。ただ、俺の抵抗はそんなに続けることができないみたいだ。
母さんが俺を抱き上げて、彼女の正面に俺を立たせる。俺は彼女を視界に入れないために目をつむる。でも、そんな抵抗もずっとは続けてはいられない。それは俺も十分に分かっている。
だから、俺はゆっくりと目を開いた。
恐る恐る、視界の先にいる彼女を確認する。そこには、きれいな茶色い髪を今日は一つにまとめていて、可愛らしい女の子が目の前にいた。でも、本題は容姿ではないような気がする。
ドクドクと跳ねる心臓の音を我慢して、目元へと視線を移動させる。そこには…
いつもとおんなじ、きれいで澄んだ瞳があった。
ふー
それを確認すると、なぜか安心する自分がいた。そしていつの間にか、身体の震えも止まっている。ほんと、不思議だ。
「ルート、おはよ♪」
俺が落ち着くのを待ってくれていたのか、俺が落ち着いてから、彼女が声をかけてくれた。ありがたい。
「おはよ、ミーケ。」
「今日もすっごくかわいいね♪」
ブルっ
その瞬間、なぜか体に寒気が走った気がしたけど、きっと気のせいだろう。
「はいはい。」
「もうテキトーなんだから。」
いつもの、落ち着いた会話が広がっていく。あぁ、良かった、いつも通りだ。
俺が安心していると、彼女が今日の予定を投げかけてきた。
「今日は私の部屋で遊ぼ♪」
ははは
「絶対やだっ!」
それだけは絶対に。




