ミーケと 二人っきりで
♪
朝ごはんを食べた後、父は職場へと芝刈りに、母さんは家に洗濯へと向かった。だから今、俺はミーケと二人で食堂で遊んでいた、のだが…
「二人とも、今から掃除するから、少しの間、ちょっと別のところに行ってちょうだい。」
ママさんからそんな言葉が降り立った。
別のところねぇ…。どうしようかな。
「ねぇ、ルート…」
俺が悩んでいると、横からミーケが声をかけてきた。
「なーに?」
俺が彼女の方を向くと、すごくニコニコとしていた。そんなに良い案でも思いついたのかなぁ、なんて思っていると、彼女が楽しそうに口を開いた。
「今日ねっ、家にパパとママいないのっ! だから私の部屋に来ない?」
………
どうやら俺が思っていた以上に、彼女の頭はやばいらしい。今、君の家に両親いないなら、さっき話しかけてきた人はいったい誰なんだよ。しかも、厨房の見えるところには、君のお父上もいるし。はー、ほんと誰だよ、この子に、こんなこと教えたの。もう、取返しつかないだろ。誰か責任取ってあげろよ、俺以外のやつが。
「じゃっ、行こっか♪」
俺の返事がなかったのを了解と捉えたのか、やばい子が俺の手を掴んで引っ張っていく。
「ちょっ、僕、行くだなんて…」
「行くよね?」
「はい。」
まだ言ってなかったのに…。あはは、女の子ってあんな低い声出るんだ。怖い…。
俺は彼女の低い声に抗えず、彼女と共に、二階へと続く階段を上っていく。階段を上り切ると、ミーケが急に声を上げた。
「あっ! 飲み物持ってくるから、ルートは先に部屋に入ってて。」
そう言って、彼女はさっき上がってきた階段を降りて行った。こうして、一人になった俺は、彼女の部屋へと向かった。
彼女の部屋の前には”ミーケ”と書かれたプレートがあった。女の子の部屋に一人で入るのって、罪悪感あるよな、そんなことを思いながら俺は扉を開く。
開いて見えてきたのはまだ真っ暗な空間だった。だから俺は足を踏み入れて、電気をつけた。急な光で一瞬目がくらんだが、すぐに回復する。そして…
ぞわぁぁぁああ
俺の身体細胞全てから、そんな音を立てながら鳥肌が立った。目の前に広がっている光景があり得るものではなかったからだ。そこに広がっていたのは…
壁に貼り付けられた大量の俺の写真だった。
………
言葉が出てこなかった。
目の前の光景にどれだけ気を取られていただろうか、俺はようやく思考できるだけの余裕が戻った。まったく余裕なんてものはないが…。
とりあえず俺がやるべきことは一つ。この部屋から、彼女から逃げることだ。
俺が後ろを振りかえった時、そこには彼女がいた。
「さぁルート、座って。」
いつものようにかわいい笑顔の彼女がそこにはいた。ただこの時の俺には、その笑顔にはなんだか影が差しているように見えた。
誰か、助けてくれ…。
「この写真のルートはね…」
あれからは永遠と、自分の写真を見せられながら、彼女が俺について語る時間が続いている。彼女はすごく楽しそうに話している。とても和気あいあいとした時間なのに、俺の身体からはずっと寒気が止まらない。
寒くて、寒くて。いつになったらこの時間は終わってくれるんだろうか。
俺がそう願っていた時、彼女が新しく一枚の写真を見せてきた。諦めて俺はそれを見る。それは俺と父が二人っきりで出かけた時の写真だった。そう二人っきりで。彼女はいなかったはずなのに。
聞こう、そう思うのに、口から、喉から全く声が出ない。なんでだ、なんで声が出ないんだ。
俺が口をパクパクとしているのに彼女も気づいたのか、ニコニコとした表情で俺を見つめてくる。そして…
「良く撮れてるよね、これ。苦労したんだよ、撮るのに。だって、二人がどこに行くか知らなかったから、尾けるのにほんと苦労したんだよ。でも、苦労した甲斐があって良かった。だって、おっちゃんといる時にしかこの表情しないんだもん。あぁ、かわいいな、この表情。おばちゃんに甘えたいときの表情とはまた違って、とても可愛らしんだもん。知ってる?おばちゃんに甘えたいときには、恥ずかしさが強いんだけど、おっちゃんに甘えたいときにはいたずらっ子な表情をしているんだよ。あぁ、ほんとにかわいい。でも残念なのは、この表情を私といる時にはしてくれないことかな。もっと私にも甘えてほしいな。将来は私にもこんな表情してくれるかな。してくれるよね。だって、私たちは愛し合う運命だもん。そう思うと、どんな表情のルートも私が手に入れられるってすごくうれしい。でも、手に入らない表情はそれはそれで捨てがたいものがあると思うもの。あっ、でもそれだと他の人がルートの時間を私から奪っちゃうのか、それは嫌かな。まだ許せるのはおっちゃんとおばちゃんだけだもん。ルートもそこはちゃんと分かってよね。でもそうすると、ほとんどが私が独占しちゃうことになるのか。いいのかな、そんな幸せで。いいよね。あぁ、私とルートが愛を育む前の時間、二人で愛を育む時間、私が知らない時間、そんなすべての時間が私だけのものだなんて、私ってなんて幸せなんだろう。喜んだ顔、驚いた顔、怖いときの顔、嫌がってる時の顔、怒ってる時の顔、関心している時の顔、ぼーとしている時の顔、全部が私のものか~。早くそうなってくれないかな。いやもう既にそうでもいいのかも。ねぇ、ルートはどう思う?」
彼女は俺をどす黒くて、火照った顔で聞いてきた。
怖い。
これしか俺には出てこなかった。
そんな俺を彼女は押し倒して、倒れた俺の顔に自分の顔を近づける。鼻と鼻がくっつくくらいの至近距離で俺の瞳を彼女の瞳が見つめてくる。
その瞳は、いつものきれいで澄んだ瞳なんかじゃなく、濁っていて♡マークが浮かんでいる。
その瞳が俺の真を捕らえてくるようで、身体がブルブルと震えまくって、危険警報がまったく止まらない。
そして…
「もうルートもちゃんと、将来のこと考えてよね。あと、私をこんなにしたのはルートなんだから、ち ゃ ん と 責任は取ってよね♡」
はっ!!!
俺は目を覚ますと、いつも見ている天井だった。まだ部屋は外から薄く光が刺しているがかなり暗い。どうやら、深夜の時間みたいだ。
はー、なんでこんな時間に目が覚めたんだろ。
俺はそう思いながら、体を少し動かす。そしたら、すぐ分かるくらいのすごい汗の量だった。まるで、何かにうなされてたような。
ただ、なんの夢を見ていたかは思い出せない。なんだか、怖かった気もするが…。
まぁでも、気にしてもしょうがないので、俺は瞳を閉じて、また眠りへとついた。
「………」
眠りへと落ちていく中、俺の耳に何かが聞こえてきたような気がした。
初めてヤンデレ風に書いたけど難しい
今週は試しに、1時間前倒しにしてます




