いつもの日常 朝ごはん前に
ひと汗かいた俺たち家族は、朝ごはんを食べるために家を出て、隣の家へと向かう。両親の友人の家だ。そこでは食堂兼、宿屋を携わっている。俺たちはドアを開けて中へと入っていく。
「「「こんにちわー」」」
「あら、いらっしゃい」
茶髪の髪をお団子みたいに上でくくった、身長は標準的だけど、なかなか丸いお姉さんが俺たちをいつも通り出迎える。
「あんたー、オヤルたちがきたわよ」
やわらかい声で、丸いお姉さんが厨房の方へと呼びかける。
「おお、来たか。いらっしゃい。今日も仲の良いことで。」
丸い人、間違えた。お姉さまの呼びかけに反応して厨房から男が出てくる。お姉さま、丸いとか思ってないので、睨まないで。
男はなかなかの巨体で、出るとこは出ていて、なかなかのボディをしている。この表現は違うか。筋肉バキバキというわけではないが、全体的に良い太さをしている。黒髪でダンディだ。
男性の方がパパさんことダビド、皆からはダビーと呼ばれている。丸い女性の方がママさんことクララ。そして、
「ルートに、おじさん、おばさん、いらっしゃーい。」
俺たちに挨拶しながらあわただしく奥から女の子が出てくる。長い茶色の髪、今日は髪をポニーテールにしていて、最近お気に入りの黒が全体を多めに占めている給仕服を身に付けている。年は俺と同じ5歳だ。
「ミーケ、おはよー。」
「ミーケちゃん、おはよう。今日も可愛いわね。」
「おばさん、ありがとう。」
彼女は母さんの一言に満面の笑みを返す。そしてママさんが、
「ミーケ、遅かったわね。」
「ママが髪やってくれないからじゃん、もー」
「あんた細かくて大変なのよ。ルートちゃんが来るからって気合入れすぎなのよ。」
「そ、そんなんじゃないもん。」
ミーケはママさんの一言にちょっと赤くなる。かわいい。彼女はチラッチラッとこっちを見てきて、
「ルート、どう?似合ってる?」
顔を赤くしながら聞いてくる。かわいい。
「うん、似合ってるよ。」
俺の言葉に、ミーケは真っ赤になってうつむく。かわいい。彼女の反応に女性陣がニマニマしている。そんな時間をこの男がぶち壊す。
「ガキのイチャコラ見てもおもんないし、ダビーご飯頼むわ。」
オヤルのそんな一言に、空気が凍る。一斉に女性陣が彼をにらみつける。待って待って。皆瞳孔開いてる。ミーケも表情が打って変わって、今から人をヤル目をしてる。ダメだって。女の子がそんな顔したら。
「お、おう。わかった。」
パパさんは危険を察知して厨房へ逃げ出す。俺も逃げたい。父は女性陣の殺気に気づかない。そのままテーブルにつく。朝ご飯を期待して、楽しそうに待つ。
「ルシア、今日の朝ごはんはなんだろ、な…。」
母さんの方を向いてようやく事態に気づいたようだ。
「え、えっと…。」
父の額から汗が噴き出す。すごくうろたえている。そんな母さんが凄い笑顔で聞く。
「オヤル、どう?朝からもう一発?」
「そ、それってどうい」
父の言葉は最後まで続かなかった。
「クララ、トイレ借りるわね。」
母さんが凄く戦士の顔をしている。今から戦場にでも行くかのようだ。凛々しくて、かっこいい。なのでどうか、父だけで堪忍してください。飛び火とかやめて、ぜったい。
「どうぞ、ごゆっくり。」
「嫌だぁぁああ!朝から二回もあんな目にあいたくない!!」
母さんが父を引きづっていく。朝からお盛んなことで。そんな言葉を残して、父と母さんはトイレへと消えていった。