早朝 一緒に
昨日投稿の前話を見てない方は、そこから見てもらえると嬉しいです
ミシ、ミシ、ミシ。
階段下りる度に、足元にある板から、そんな音が鳴り響く。ただ、生まれてから何度も聞いてきた音だから、気にもならない。俺は段差の大きい階段を落ちないようにゆっくりと下りていく。
グォー、グォー、グォー。
階段の終わりが近づきだしてから、そんな音が聞こえてきだした。ただ、音の原因が分かり切っているから、気にもせず俺は階段を降り終え、音の原因へと歩いて進んでいく。
グォー、グォー、グォー。
発生源に近づくほどに、音が大きくなっていく。そして、10歩も満たないほど歩いて、音の発生源が目視できた。発生源はソファでお腹を出しながら寝ている。辺りを見回すと、机には空の何本もの酒瓶が転がっていて、男がどういう状態なのかすぐ見て取れた。
この前母さんにお金を巻き上げらてお金がなんてないはずだから、きっと家に隠してたお酒を一人で楽しんだんだろうな。幸せそうな寝顔してるし。あー、いい夢でも見てるのかな。良いことやね。
じゃ、起こすか。だって息子が早起きしてるんだから。
「とーたん、起きて。」
そう言いながら、俺は父の体を揺さぶる。
「んー…。」
「起きてっ。」
「グー…」
なかなか起きそうにない。でも負けるわけにはいけない。
「ねぇ…」
俺は父のほっぺたを何度も手で軽くたたく。そしたら…
「ん、もう朝か…」
お、やっと起きたみたいだ。
「うん、おはよう。」
「ルートか…、今何時だ?」
父が目をこすりながら、聞いてくる。
「もう9時だよ。」
俺がそう言うと、父が一気に体を起こす。
「えっ!?なんで起こしてくれ…」
「間違えた。5時過ぎだよ。」
「はぁーっ!?」
ぼふっ。
父がそんな音を立てながら、ソファに体を落とす。
「焦ったぁ。朝ごはん、今日食べれないかと思ったわー。」
「ごめんね、見間違えちゃったよ。」
俺がそう言うと父が、時計を確認する。
「嘘つけっ。今、針、どっちも9にかかってないじゃねーか。」
長針と短針のことだろう。
「あっ、ほんとだね。おっかしぃなー。なんで見間違えたんだろー。」
俺がそう言うと、父が俺を眠そうな目つきで見つめてくる。眠そうだなぁ。
「眠い…」
ふふっ。
「ダメだよ。今寝たら、朝ごはん寝過ごすよ。」
「誰のせいだよっ、誰のっ!」
「んー、”風”君かなっ。」
”風”君が俺を起こさなかったら、父も起こされなかったんだから、”風”君が悪いよね。
「誰っ!?」
「えっ!?とーたん、知らないのー?」
「なっ、何をだ?」
めっちゃ焦ってる。
「”風”君のこと。この前会ったのに…。」
「あっ、あのカゼ君かーっ。」
なんか父も乗ってきた、でも絶対わかってないな。いや、分かったら、ちょっと怖いけど。
「そーそー、その”風”君だよっ。良かった、思い出してくれて。」
「わ、忘れるわけないだろー。」
「そうだよね、この前とーたんも一緒に遊んだのに。」
「へっ!?」
父がすごくびっくりした表情で声を上げた。
「えっ?覚えてないの?」
「あっ、遊んだ、遊んだなーっ。いやー楽しかったよなっ。」
なに言ってんだろ、このおっさん。
「だよねっ。」
「だなっ。」
そう言って父が、あはははははと笑う。ただ、笑い声がどことなく硬い。いやー、困ってるねー。
「そういえばさぁ…」
父が話し切り替えようとしてきた。
「なーに?」
「なんでこんな時間にお前、起きてんの?」
でも話切り替わってないんだなぁ、これがまた。
「”風”君に起こされたからだよ。」
「はぁっ!?」
父が豆鉄砲でも食らったような表情をしている。寝起なのに、表情豊かやねー。
「どうしたの?」
「いや、えっ?こんな時間にかっ!?」
「そうだよ。」
時間なんて関係ないからね。
「っ!?ルート、すまん。カゼ君ってどんな子だったっけ?」
しょうがないなぁ。
「まず、たまに騒がしいでしょ。」
「お、おう。」
「速いでしょ。」
「う、見た目は?」
「見えないよ?」
「はっ!?」
「だって風なんだから。」
見えるわけないじゃん。
「あぁーーーーーーっ!!そういうことかっ。なるほどなっ。」
ようやくわかってくれたみたいだ。
「そうだよ。」
「あーっ、ようやくわかったわ。いやー、どうりで顔が出てこないわけだ。」
「見えないもんね。」
「ならなんだ?お前、風で寝れなかったのか?」
父がこっち見ながらニヤニヤしてきた。
「はぁっ!?」
「風で寝れないなんて、ルート君はかわいいでちゅねー。」
「はぁーーっ!?」
アハハハハという、父の大きな笑い声が家中に響き渡った。そ、そんなわけねぇよ。
一応で、18に




