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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
54/190

早朝 一緒に

昨日投稿の前話を見てない方は、そこから見てもらえると嬉しいです

 ミシ、ミシ、ミシ。


 階段下りる度に、足元にある板から、そんな音が鳴り響く。ただ、生まれてから何度も聞いてきた音だから、気にもならない。俺は段差の大きい階段を落ちないようにゆっくりと下りていく。


 グォー、グォー、グォー。


 階段の終わりが近づきだしてから、そんな音が聞こえてきだした。ただ、音の原因が分かり切っているから、気にもせず俺は階段を降り終え、音の原因へと歩いて進んでいく。


 グォー、グォー、グォー。


 発生源に近づくほどに、音が大きくなっていく。そして、10歩も満たないほど歩いて、音の発生源が目視できた。発生源はソファでお腹を出しながら寝ている。辺りを見回すと、机には空の何本もの酒瓶が転がっていて、男がどういう状態なのかすぐ見て取れた。


 この前母さんにお金を巻き上げらてお金がなんてないはずだから、きっと家に隠してたお酒を一人で楽しんだんだろうな。幸せそうな寝顔してるし。あー、いい夢でも見てるのかな。良いことやね。


 じゃ、起こすか。だって息子が早起きしてるんだから。


 「とーたん、起きて。」


 そう言いながら、俺は父の体を揺さぶる。


 「んー…。」


 「起きてっ。」


 「グー…」

 

 なかなか起きそうにない。でも負けるわけにはいけない。


 「ねぇ…」


 俺は父のほっぺたを何度も手で軽くたたく。そしたら…


 「ん、もう朝か…」


 お、やっと起きたみたいだ。


 「うん、おはよう。」


 「ルートか…、今何時だ?」


 父が目をこすりながら、聞いてくる。


 「もう9時だよ。」


 俺がそう言うと、父が一気に体を起こす。

 

 「えっ!?なんで起こしてくれ…」


 「間違えた。5時過ぎだよ。」


 「はぁーっ!?」


 ぼふっ。


 父がそんな音を立てながら、ソファに体を落とす。


 「焦ったぁ。朝ごはん、今日食べれないかと思ったわー。」


 「ごめんね、見間違えちゃったよ。」


 俺がそう言うと父が、時計を確認する。

 

 「嘘つけっ。今、針、どっちも9にかかってないじゃねーか。」


 長針と短針のことだろう。

 

 「あっ、ほんとだね。おっかしぃなー。なんで見間違えたんだろー。」


 俺がそう言うと、父が俺を眠そうな目つきで見つめてくる。眠そうだなぁ。


 「眠い…」


 ふふっ。

 

 「ダメだよ。今寝たら、朝ごはん寝過ごすよ。」


 「誰のせいだよっ、誰のっ!」


 「んー、”風”君かなっ。」


 ”風”君が俺を起こさなかったら、父も起こされなかったんだから、”風”君が悪いよね。

 

 「誰っ!?」


 「えっ!?とーたん、知らないのー?」


 「なっ、何をだ?」


 めっちゃ焦ってる。

 

 「”風”君のこと。この前会ったのに…。」


 「あっ、あのカゼ君かーっ。」


 なんか父も乗ってきた、でも絶対わかってないな。いや、分かったら、ちょっと怖いけど。


 「そーそー、その”風”君だよっ。良かった、思い出してくれて。」


 「わ、忘れるわけないだろー。」


 「そうだよね、この前とーたんも一緒に遊んだのに。」


 「へっ!?」


 父がすごくびっくりした表情で声を上げた。

 

 「えっ?覚えてないの?」


 「あっ、遊んだ、遊んだなーっ。いやー楽しかったよなっ。」


 なに言ってんだろ、このおっさん。


 「だよねっ。」


 「だなっ。」


 そう言って父が、あはははははと笑う。ただ、笑い声がどことなく硬い。いやー、困ってるねー。


 「そういえばさぁ…」


 父が話し切り替えようとしてきた。


 「なーに?」


 「なんでこんな時間にお前、起きてんの?」


 でも話切り替わってないんだなぁ、これがまた。


 「”風”君に起こされたからだよ。」


 「はぁっ!?」


 父が豆鉄砲でも食らったような表情をしている。寝起なのに、表情豊かやねー。


 「どうしたの?」


 「いや、えっ?こんな時間にかっ!?」


 「そうだよ。」


 時間なんて関係ないからね。

 

 「っ!?ルート、すまん。カゼ君ってどんな子だったっけ?」


 しょうがないなぁ。


 「まず、たまに騒がしいでしょ。」


 「お、おう。」


 「速いでしょ。」


 「う、見た目は?」


 「見えないよ?」


 「はっ!?」

 

 「だって風なんだから。」


 見えるわけないじゃん。

 

 「あぁーーーーーーっ!!そういうことかっ。なるほどなっ。」


 ようやくわかってくれたみたいだ。


 「そうだよ。」


 「あーっ、ようやくわかったわ。いやー、どうりで顔が出てこないわけだ。」

 

 「見えないもんね。」


 「ならなんだ?お前、風で寝れなかったのか?」


 父がこっち見ながらニヤニヤしてきた。

 

 「はぁっ!?」


 「風で寝れないなんて、ルート君はかわいいでちゅねー。」


 「はぁーーっ!?」


 アハハハハという、父の大きな笑い声が家中に響き渡った。そ、そんなわけねぇよ。


 

一応で、18に

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