友達と 道中
「それにしてもあれですよねっ…」
ケパが空地への道中に、俺の方に向かって話しかけてくる。なんだろ。
「ルート君って、ずっとミーケちゃんと一緒にいますよね…」
あぁ、そう言われてみれば確かに。出かけるときも、家にいるときも一緒のことがほとんどな気がする。やっぱり両親同士が仲良くて、お隣さんっていうのがやっぱりでかいのかな。
「他にお友達いないんですか?」
グサッ。
なにこの子、なんかめっちゃ毒が強いんだけど。友達だっているし、めっちゃいるし。それに君たち二人だって友達だろっ。もしかして違うのか、違うのかっ?
「いる…」
「いなくたっていいもんっ!」
俺が強がろうと思ったら、ミーケの言葉が被せられた。それはね、しょうがないんだけどね、勝手にいないって断定しないで。傷つくから。
「だって、それだけミーケがルートを独り占めできるもんっ!」
これは、かわいいのか怖いのかどっちなんだ?まだ、可愛いの方か?そうだよな。
「ジローラとケパだってよく二人、一緒じゃない?」
俺が二人へと尋ねる。
「僕たちは男同士ですからっ。」「そうだぞっ。」
それはあれか?男だったらセーフなのか?まだまだ幼稚いな。俺なんて、もう女の子とばっか遊んでんだぜ。うらやましいだろ。ほぼほぼミーケだけど。あれ?もしかして俺、ほんとにミーケ以外友達いないのか?そんな気が…。
「大丈夫だよっ、だってミーケと二人きっりでいるのがルートの幸せだもん。」
「………」
何言ってんだ、こいつ。それになんか、ジローラとケパがこっち見てケタケタ笑ってきてるし。さすがの優しい俺だって、たまにはやり返すぞ。
「カッパはさぁ…」
「誰がカッパですかっ!」
俺が間違えて、ケパのことをカッパって言っちゃったら、ケパがツッコんできた。いやぁ、ちょっと間違えただけだんだけどなー。
「ごめん、ごめん。で、カッパは…」
「ケパですって!」
いやぁ、いい反応だな。なにより反応速度がいい。
「で、ケパは…」
「カッパで…」
「カッパがどうしたの?」
「いえ…」
いやぁ、自分でカッパって言うなんてかわいいねぇ。
「で、そのおかっぱって…」
「だからケパですって!」
「いや、ケパの髪型の話なんだけど…」
「っ!?」
俺がそう言うと、ケパが自分の髪を両手で触れながら、”ぬー”とこっちを威嚇してくる。でも、その髪型で威嚇されも、怖くないんだよねー。俺がひょうひょうとしていると、
「ルートっ…」
ジローラが高くてちょっと大きめの声で俺を呼ぶ。俺がそっちを振り向くと、ジローラが言い放ってきた。
「カッパにカッパって言ったら、カッパが可哀相だろっ!」
お前は間違え過ぎだろ。結局、謎にカッパが可哀相なだけになってるじゃん。
「ほんとお馬鹿ですねぇ。」
「なんだとーっ?」
そう言い合って、取っ組み合いが始まろうとしたが、
「みんなー、着いたよー。」
ミーケの声が聞こえてきた。
「ちっ!しゃーねぇなっ。」「ですね。」
始まる前に終わった。
「何人かいるなっ。」
「でもそんなに人はいないから、僕たちで広く使えますね。」
ジローラとケパが空地を見ながら言う。二人の言う通り、先客は少しいるけど、団体様がいない分俺たちで広く使えそうだ。俺は三人に向かって話しかける。
「で、今日は何するの?」
「おらがサッカーボール持ってきてるから、みんなでボール蹴りでもしないかっ?」
「わかった。」「うん。」「いいですね。」
ジローラの提案に他三人が同意する。
「そういえばさ、おらリフティングできるようになったんだぜ。」
ジローラがみんなに自慢げに言ってきた。
「へー、ソウナンダー。」
ミーケ…。
「すごいだろー?、見てろよーっ。」
ジローラが手に持っていたボールを上に向かって軽く投げる。そのボールはジローラの目線の高さくらいまで上がってから、重力によってゆっくりと下に落ちていく。ジローラは落ちてきたボールに向かって足先を当てる。当たったボールは歪な回転をさせながら、ジローラの胸の位置くらいの高さまで上がりながら、彼の背後へと飛んでいく。
「ッ!」
ジローラは背後へと振り向いて、必死にボールへと足を伸ばす。ただ、伸ばした足はあと数センチ、ボールへは届かない。伸びていた足に別れを告げるように、そのままボールは地面へと落ちてしまった。
「「「………」」」
おぅ。反応しづらい。しかもあんなに自慢げだったし。
「ちょっとっ、今日はちょっと調子悪いだけだからっ!この前は3回もできたんだからっ。ほんとだからなっ!」
おう、そうか。でもそれ誤差だよ。
「ジローラ君はほんと下手ですね。」
「なんだとっ!?じゃあ、ケパがやってみろよ!」
「いいですよ。」
そう言って、ジローラが手に持っているボールをケパが奪う。
「見ててくださいねっ。行きますよー。」
そう言ってケパがボールを上に放り投げる。落ちてきたボールにケパが足を振り上げる。ボールは斜め上に上がって、ケパがそれを必死に追いかける。それが3回続いてから、元いた場所から10メートル先にボールが落ちた。
「はぁ、はぁ、はぁ…」
頑張ってボールを追いかけたからだろう、帰ってきたケパが肩で呼吸してる。リフティングってそんなに疲れるもんだっけ。
「ケパすっげーな!おらの最高記録をこうも簡単にっ。」
ジローラ的にはすごかったらしい。
「はぁ、そ、そうでしょっ!」
ケパもやり遂げた感を出して、自信に満ちた顔をしている。3回ってそんなにすごかったっけ?
「ミーケちゃん、見てくれましたかっ?」
「あーうん、見た見た。」
「かっこよかったでしょ?」
「そうかもねー。」
ミーケの言葉を受け取った後、ケパがこっちをどや顔で見てくる、まるで勝ち誇ったかのような。ケパ、お前…、強く生きろよ。




