友達と ミーケ
俺とミーケの二人は声の聞こえてきた、背後へと振り返る。そこには二人の男の子がいた。一人は、顔がまん丸で坊主頭、身長は俺たちの中で一番高いけど、それよりも横幅の広さが目立つ。もう一人は、俺と同じような、ザ・普通って体型なんだけど、おかっぱ頭が変な存在感を放っている。デブな方がジローラ、おかっぱがケパ、二人とも俺やミーケと同じ5歳だ。
あぁ、やっぱりこの二人か。俺が振り向いて彼らを見てそう思ったとき、俺の横にいる女の子のつぶやく声が聞こえてきた。
「うざっ。」
「っ!?」
びっくりして、俺は彼女の方へ振り向いてしまう。
横からなんかきつい言葉飛んでいったような。あれ?一応彼ら友達のはずなんだけど、あれ?き、気のせいだよな?
「ルート、どうしたの?そんなに見つめてきて。」
「い、いやぁ…」
「もしかして、なんかあった?」
大きい瞳で覗き込んでくる、いつもと変わらないミーケがそこにいる。俺の知っているミーケからは飛んでこないような言葉が聞こえてき気がしたけど、彼女はいつもとなんら変わらない。
気のせいかっ。今までミーケからあんな低くて怖い言葉なんて聞いたこともないし。そう、きっと気のせいだな。うん。
「ごめん、なんでもないや。」
「そっか、もー、そんな意味もなく見つめられると照れるよ~。」
やっぱり、いつも通りの彼女だ。良かった。
「見つめあっちゃって、お前らラブラブだなっ。」
俺がホッとしてると、ジローラがベタにからかってくる。でもなぁ…
「そんなのあたりまえじゃないっ!」
やっぱり、横にいた女がそんなことを言ってる。からかいになってないんだよなぁ、横の女からしたら。やるならもっと頑張れよっ。
「そーか…」
思った反応が返って来なかったのか、ジローラが困ってる。いや、今はこんなやつどうでもいい。
「いや、違うよっ!?。」
否定しとかないと、内堀だけじゃなくて、外堀まで埋められちゃう。
「ルート、そんな照れなくてもいいのにっ?」
!?
「ルートも可愛いとこあるんだなっ!」
うざっ。
「………」
ケパ、お前はいい加減なんかしゃべれよっ。
なんかもう反応するのもしんどいし、いっか、スルーで。将来の俺がどうにかするやろっ。
「で、二人はどうしたの?」
「えー、ルートひどーい。」「無視かよっ!?」
ミーケとジローラからリアクションが飛んできた。
「はいはい、で?」
俺は再びジローラとケパに尋ねる。
「なんかさぁ、今日ケパが暇だったんだよっ。だからおらたち二人で空き地で遊ぼうってなったんだ。なっ?」
「そうなんですっ。」
二人がそう答えた。空き地ねぇ…。
「お前らはどうしたんだっ?」
ジローラが聞いてくる。これ、もしかして、いやもしかしなくてもチャンスか?もしかして俺、服屋に連行されなくてもいいのか?
「私たち今からふ…」
「僕たちも今から空き地に行こうと思ってたんだよ。」
ミーケがなんか言おうとしてたけど、タイミング悪くて被っちゃった。しょうがないよねえ、被ったもんは。
むー。
隣にいるミーケからそんな声が聞こえてきている気がする。でもダメだ、絶対に横を見るな。今見たら最後、絶対に服屋への連行コースだ。俺は学習したんだ、俺の押しの弱さを。
「そうなのか、奇遇だなっ。」
ジローラがいい感じで盛り上げてくれる。よし、いいぞ。
「ほんとだね、良かったらみんなで一緒に遊ぼうか?」
「いいですね。」
俺の誘いにケパも乗ってくれた。さすがのミーケもこの状況で服屋なんて言えないだろう。俺は自然を装うようにミーケの方を見る。そしたらやっぱり、顔がむーっと膨れている。もうそんな顔されても、大勢は傾いてるからね。いやぁ、残念だわ。俺も服屋に行きたかったのに。
俺はミーケが不満を持っていることに気づいていないかのように、自然とミーケに声をかける。
「ミーケ、二人も一緒に行くことになったけど、大丈夫?」
ふくれっ面のミーケの責めるような視線が俺を襲う。落ち着け、大丈夫、大丈夫だから。俺が負けなければ、自由なんだから。
俺とミーケの視線が少しの間飛び交うが、やがて…
「大丈夫だよ。」
ミーケの口からその言葉が放たれた。
よっしゃぁぁぁぁぁぁっ。俺は自由だぁぁぁぁぁぁぁあ。思わず、嬉し過ぎて手のひらを握りしめてしまう。
「ルート、どうしたっ?」
ジローラからそんな言葉が飛んでくるが、
「なんでもないよ、じゃーみんなで空き地に行こうか。」
「だなっ。」「そうですね。」
こうして俺たちは空地へと向かった。
道中、
「今度一日服屋付き合ってね!」
横にいる女の子から耳元でそう宣告された。
ははは、そりゃそうなるか。




