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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
46/190

母さんとミーケが

 がちゃっ


 突如、玄関から扉の開閉音が聞こえてきた。誰かが、家を尋ねてきたようだ。そしてそのあとすぐに、軽い足音が現れ、その足音は段々と自分たちがいるリビングへと近づいてくる。ギシギシという音を立ててながら。そして、リビングへと差し掛かろうとしたタイミングで、


 「おじゃましまーす。」


 という幼い女の子の声が聞こえてきた。その声は明るく、緊張した様子は感じられない。それもそのはず、毎日まるで家族のようにこの家にいるのだから。俺はとっさに入口に背を向けた。


 そして彼女がリビングへと入ってきた。


 「いらっしゃいっ。今日は家で遊ぶの?」


 そんな彼女を母さんが応対する。俺はさっき泣き止んだばかりだったから。

 

 「うんん、ルートのお迎えにきたのっ。お昼に約束したんだけど、ルートがなかなか来てくれなかったから…。」


 「あら、そうなのね。」


 そう、最初は俺が着替え終えたらミーケの家まで迎えに行って、そのまま出かける予定だったんだけど、さっきのハプニングで結構時間がたってみたいだ。待ちきれず、彼女の方から来てくれたようだ。


 「うんっ。ルートはもう着替え終わった?」


 母さんとの話も一区切りついたから、ミーケが俺へと興味を戻す。


 「あぁ、うん。もうちょっとだけ待ってくれない?」


 かすれた声で返事をしてしまった。すぐさっきまで泣いていて、自分でもわかるくらいに名残を感じているから、今すぐに出かけるのはさすがに恥ずかしかった。


 俺の声の異変に気づいたのか、ミーケが俺の正面へと回る。そして彼女が俺の顔をすぐ近くで覗き込んでくる。大きくて丸い瞳に覗き込まれる。今の状態を見られるのはすごく気恥ずかしい。今すぐにでも彼女から目を逸らしたくなる衝動に駆られるほどに。


 「ルートどうしたの!?」


 目の前にいるミーケからそんな声をかけられる。


 「なんでもないよ…。」


 どうしてもかすれた声しか出てこない。


 「嘘っ!」


 「いやっ、ほんとに…」


 ずずっ。


 とうとう、我慢できず鼻をすすってしまった。


 「目が赤いし、声とそれに鼻も…、もしかしてルート泣いてたの?」


 ギックっ。


 「いやっ…」


 「なんか嫌なことでもあったの?」


 俺がごまかそうとしても、ミーケにはもう筒抜けらしい。もう泣いてたことを隠すのはもう諦めないといけないみたいだ。

 

 「たいしたことじゃないよ。」


 「ほんとうに?」


 「ほんと、ほんと…」


 俺はかすれた声で、心配の必要がないことを伝える。実際に心配の必要はないしね。ミーケは言葉だけじゃなく、俺の表情からも一生懸命、情報を読みとっていく。


 「そっか、もう大丈夫だからね?」


 彼女が俺の表情から何かしら読み取ったみたいだ。俺から視線を外し、母さんの方へと向く。ただ、なんだか彼女のたたずまいが強く感じる。


 「おばさんがルートを泣かせたの?」


 読み取ったらしい。


 「えっ!?」


 急なことに母さんが呆気に取られている。


 「おばさんが泣かせたんでしょ?」


 じっとーっとミーケが母さんを見つめる。


 「わ、わたしっ!?いやっ…」


 「だっておばさん、いつもおじさんにひどいことしてるもんっ!」


 「………」


 母さんが黙ってしまった。どう見ても、痛いところを突かれてしまったのようだ。でもたまに、ミーケが母さんをけしかけてる気もするんだけど。


 「だから今日は、ルートをいじめたんでしょっ!?」


 「いやっ、それは本当に違うのよっ!」


 それは、ね。


 「本当に!?」


 「本当よっ。私がミーケちゃんに嘘ついてると思う?」


 「思う!」


 この言葉で母さんの頭がガクッと下に落ちた。


 「だって、イジメた人が正直にイジメたなんて言わないもんっ!」


 まぁ、言わな人の方が多そうだよね、確かに。


 母さんは下がった頭を立て直し、ミーケの正面まで移動して、視線を同じにするために両ひざをついた。


 「ねぇミーケちゃん、おばさんのこと嫌い?」


 母さんがミーケの目を真剣に見ながらそんなことを聞く。この後には、”嫌いじゃないなら、おばさんのこと信じて”でも続きそうだなぁ。ミーケも母さんの目を見返す。そして…


 「ルートをイジメるから、おばさんのことなんて嫌いっ!」


 でもミーケの中では俺が母さんにイジメられてるってことで決まってるらしい。


 その言葉を聞いた途端、母さんが超ひざだけじゃなく、両手まで地面についてズーンとなっている。ミーケに嫌われるのは母さん的にはだいぶきついよなぁ。よく見たら、母さんの顔から地面に水滴落ちてるし。さすがに可哀相か。俺はずっとムッとしているミーケへと話しかける。


 「ミーケ、かーたんはほんとに悪くないよ。」


 「ほんとに?」


 ミーケはまだ疑っているみたいだ。


 「うん、ほんとだよ。階段でこけて怖かったから泣いちゃっただけなんだ。」


 「そっか…」


 ようやく信じてくれたのか、ミーケはまだズーンとなっている母さんの方へ向きなおす。


 「おばさんごめんね、疑ったりして…。」


 ミーケが母さんへ謝る。母さんは速攻で復活した。でも顔はまだ涙でびしょびしょだが、すごく救われた表情をしている。


 「いいのよ、いいのよ…。」


 「ありがとう、おばさん。ミーケ、おばさんのこと、ちゃんと好きだよ。」


 「ありがとう、おばさんもよおぉぉぉっ!」


 ミーケの好きって言葉が嬉しかったのか、母さんが叫びながらミーケに飛びつく。両手を広げて、ギュッと抱きしめるみだいだ。そんな母さんをミーケは…


 「おばさん、止めて。お洋服汚れる。」


 手で制して、止めた。


 「はい…。」


 母さんはシュンとしてる。まぁ、服に負けたからね。こうして、俺たちは遊びに行くのだった。



 

明日は2話

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