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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
36/190

ステーキと

本日2話目

 肉騒動の延長戦もやっと終結し、父もようやくご飯を食べ終わったみたいだ。母さんとの攻防を制し、なんとか肉の半分は死守することができてた。さすがだ。満腹のためか、すごく満足気な表情をしている、母さんが。


 「あぁ〜、ステーキおいしかったわね~。」


 「俺、肉半分も食べてない…」


 半分も食べれてなかったらしい。


 「~♪」


 「俺の肉…」

 

 「うるさいわねっ!そんなに食べたいなら、お代わりすればいいじゃない。」


 「なんで俺が悪いみたいになってのっ。しかもそれ、お前がまだ食べたいだけだろっ!」


 いくら母さんでもそれはさすがに厳しいだろ。一人前と肉半分って量かなりえぐいと思うし。

 

 「そ、そそんなわけないじゃない。」


 母さん、まだ食べたいのか…。

 

 「動揺しすぎだろ。しかもまだ、食べる気だったのかよっ。」


 「動揺なんかしてないわよ。それにもし頼むなら、もうちょっとだけ食べたいなって思っただけよ。ほんのちょっとだけ…。」


 母さんの言葉が段々と小さくなっていく。さすがに自分でも分が悪いとでも感じたのだろうか。というか胃袋怖いよ。どこに入っていくのっ。


 「絶対ちょっとじゃねーし。」



 

 そんな仲の良い会話から少しした頃、女性の大きめの声が聞こえてきた。


 「あそこっ、チー牛いるんだけど!」 「ほんとだ~。」


 そんな声が。声の主は20手前くらいの二人組の女性だった。どうやら、カウンター席にいる一人客の男性に向けて言っていたようだ。


 「ねぇ、とーたん…」


 俺は父へと話しかける。

 

 「なんだ?」


 「チー牛って何?」


 「さぁな。なんか響きからしてあんま良い言葉じゃなさそうだよな。ルシアは知ってるか?」


 父も知らなかったようだ。父から母さんへと尋ねる。

 

 「私も知らないわねぇ。」


 二人とも知らないらしい。


 「そうか…。よしっ。」


 父がそう言って立ち上がった。


 「とーたん、どうしたの?」


 「いや、ちょっと気になるし、聞いてこようかなーって。」


 おお~。チャレンジャーだね。

 

 「なるほどねっ。とーたん、いってらっしゃーい。」


 「おうよ。」


 この言葉を残して、父が二人組の女性客の方へ向かっていった。捕まるなよ。


 


 「ちょっといいか?」


 父が二人組の女性客へとしゃべりかけた。俺と母さんも、その様子を遠目で見つめている。


 「なに?」 「なんか用?」


 急に話しかけられたからか、女性客の返しがちょっときつい。まっ、当然か。


 「聞きたいことあるんだけど…」


 父が早速、本題へと移ろうとした、のだけど…

 

 「もしかして、ナンパ?きもいんだけどっ。」


 「へっ?」


 父から抜けた声が出てくる。

 

 「ほんとほんと。キモおじが話しかけてくんなよな。」


 「ふぁ?」


 切れ味えぐっ。


 「キモおじって…」


 自分に言われたのか、言葉が分からなかったのか分からないが父が復唱した。もしかしたら認識したくなかったのかもしれないな、父も。


 「テメェのことだよ、テメェの。」


 「せめてそのきもい髭剃ってから、出直してこいや。」


 「ほんとほんと。」


 うぅ…。


 父の口からそんな言葉が漏れていそうだ。そしてこっちへ向かって帰ってくる。


 「「ばいばーい。」」


 二人に見送られて。




 「教えてくれなかった…」


 帰ってきた父から、そんな報告をもらう。


 ごめんね。俺が興味なんか持ったから。持たなかったら、こんなことにならなかったのにね。ごめんね。息子が気になったことを知ろうとする姿はかっこよかったよ。それに見てたから、教えてくれなかったのは分かってるから。だからそんな辛そうに言わなくてもいいんだよ。


 「ねぇ、あなた…」


 俺が父のことを可哀相に思っていたら母さんが父へと声をかける。さすがの母さんも父がちょっと不憫に思ったのだろう。

 

 「なんだ?」


 「ん-、やっぱりなんでもないわ。」


 母さんは少し考えて、言うのを止めた。

 

 「なんでだよっ!そこまで言ったなら気になるだろっ。」


 ほんとに。

 

 「言おうと思ったんだけど、やっぱりやめとこうかなって。」


 「なんでっ?」


 「なんとなく?」


 あ~、これ…

 

 「なんとなくって…、いいからもう言ってくれよ。」


 「いいのね?」


 ろくでもないやつなんじゃ…

 

 「いいよっ。」


 「私もその髭はどうかと思うわ。」


 まー、だよね。


 「お前まで…。」


 父に母さんの言葉がクリーンヒットしたみたいだ。ていうか、励ましとかそういうの母さんに期待したらダメだよ。


 「あなたが言えって言うから…。」


 母さんもちゃんと気まずいのか、歯切れが悪い。

 

 「そこは気を使って他のこと言ってくれよ。」


 父は辛そうな声でそう言った後、ひじを机について両手で頭を抱えるような姿勢を取って、


 「はぁ、俺なんてどうせ髭の似合わない…」


 という感じのことを、なんかぶつぶつと言い出した。今回は相当堪えたようだ。


 ハァ。


 母さんが父を見て、ため息をついた。そして…


 「まったく。ねぇ、あなた…」


 「なん、んっ!!」


 母さんの方へ顔を向けようとした父の顎を母さんが人差し指で少し強引に上へと”クイッ”とあげた。


 いや、普通逆だよ。

 

 「あなたは誰の夫?」


 「あな゛た様のです。」


 体勢的にきついのか、父が少しきつそうにしゃべる。


 「よね。ならあんなブスごときの言葉で一々くよくよしないの!わかった?」

 

 「は、はいっ!」


 父が従順に返事をした。でも、止め刺したの母さんなんだけど、そこはいいの?




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