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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
35/190

ステーキを

本日2話 1話目

 「はい、おまちどーさま。」


 そう言って、パパさんが俺たちの分の料理を運んできた。時刻は夕方、俺たちはいつものように、ミーケ家の食堂にご飯を食べに来ている。そして、今日のメニューは、


 「ステーキっ、しかもかなり肉厚だわっ!」


 母さんが嬉しそうな声をあげた。目なんてキラキラと輝きそうなほど、大きく見開いて。まるで大きな子供みたいだ。でも、母さんの気持ちもわかる。だって、ステーキの厚さが二センチは超えてそうなんだもん。


 「ダビー、今日は頑張ったわね。」


 「まぁ、たまにはな。喜んでくれたようで何よりだ。」


 「こんなの出されて喜ばない人なんていないわよっ!」


 母さんの手にはもうナイフとフォークがあり、今にでもステーキを襲おうとしている。あっ、気づけば俺の手にも…。


 ハハ。


 パパさんが俺たち母子を見て笑っている。


 「そう言えば、オヤルの分は来てからでいいか?」


 「ええ、それでお願い。」


 そう、父は用事で少し出かけているから、俺と母さんの二人だけで先に訪れている。


 「わかった。じゃー、ごゆっくり。」

 

 聞きたいことも聞けたからか、パパさんは厨房の方へ戻っていった。そして…


 「さぁ、食べるわよー♪」


 母さんがノリノリでステーキにナイフを通す。俺もそれに従う。ナイフの刃を肉塊に向けて進める。ナイフが肉塊をしっかりと切り分けているのに、引っ掛かりがない。もしやこれは、相当良いナイフなのでは…。違うか。俺はそんな馬鹿なことを考えながら、ステーキを一口サイズに切り分けていく。肉の断面はピンク色だ。確か…


 「ミディアムレアね!」


 そう、それ。母さんから答えが飛んできた。母さんも楽しんでいるみたいだ。


 「「いっただきまーす。」」


 俺たちは切り分けた、肉を口へと運ぶ。


 「「ん~~~~~~っ!!!」」


 噛む力が必要ないのかと勘違いをしてしまうほどすんなりと肉が噛みきれ、切れた瞬間に肉汁が口の中全体にばっと広がる。そして噛めば噛むほど肉から肉汁があふれ出してくる。


 「「おいし~~~っ!!」」


 俺だけじゃなくて、母さんも同時に悲鳴が飛び出た。こんだけおいしいんだから、しょうがないか。そうして、俺たち母子は無心で肉に喰らい続けた。




 「おっ、今日はステーキかっ!旨そうだな。」


 皿の上ももう僅かというところで、父に話しかけられた。どうやら、今しがた来たようだ。


 「あふぁた、早かっふぁわね。」


 「食べ終わってからでいいから。」


 母さんが食べながらしゃべるのを、父が困ったように諫め、


 「ダビー、俺のもっ!」


 父が厨房の方へと、手を上げ自分のも注文する。パパさんもちゃんと聞こえたのか、こっちへと手で合図した。そうして、俺たち母子が食べ終わったのとほぼ同時に父のご飯が運ばれてきた。


 「おっ、ほんとにおいしそうだな~。」


 父もさっきの母さんと同様にステーキを見て目を輝かせている。


 「えぇ、ほんとにおいしかったわ。」


 「そうなのかっ!楽しみだな~。」


 そう言いながら、父がステーキを切り分けている。どうやら、父は最初に全部切り分けるみたいだ。父がステーキを切り終えた時、


 「ねぇあなた、じゃんけんしない?」


 唐突に母さんが父にそんなことを言い出した。このタイミングでじゃんけん…。


 「な、なんで?」


 父も母さんから嫌な雰囲気を感じ取ったみたいだ。

 

 「別にいいじゃない。じゃー行くわよ?じゃんけんポン。」


 母さんが半ば強引にはじめ、父もそれに合わせた。出たのは互いに”パー”だった。


 「じゃっ、いっただきま~す。」


 そう言って、母さんがステーキにナイフを”グサッ”と刺して”パクっ”と食べた。


 「ん~~~~っ、おいし♡」


 あれ?さっき…

 

 「何食べてんのっ!?」


 「ん?ステーキ食べてるんだけど?」


 「見たらわかるよ。それ俺のなんだけどっ!」


 「知ってるわよ。」


 そりゃ、そうだよね。知ってたよね。知ってて食べたよね。


 「なんで食べんのっ!?」


 「食べたかった、から?」


 母さんがコテンと首を横に倒す。仕草は可愛いのに、やってることがなかなかひどい。


 「っ!しかもさっき”あいこ”じゃなかったか?」


 あいこだったね。


 「そうなの?見てなかったから知らなかったわ。」


 見て、ない?

 

 「なんでだよっ!普通、勝ったら食べるとかだろ、せめて、せめて。」


 「知らないわよ、そんなの。じゃー、もう一回じゃんけんする?勝った方がステーキ食べるってことで。」

 

 よく、そんな提案できるなぁ。

 

 「しねぇよ!元々、俺のステーキなのに。」


 「うるさいわねー。次文句言ったら食べるわよ、残りのステーキ。」


 わーお。勝手だなぁ。


 「ひどいっ。」


 「あっ、文句言ったわね。それ全部貰うわよ。」


 母さんが皿に向かって、フォークを持って手を伸ばす。父がステーキを守るために、母さんから必死に皿の距離を取る。なんかイチャイチャしてるだけにも見える。いや、そういうことでいいんじゃないかな、もう。

 

 「嫌だよ。もう一枚、頼めばいいだろ?」


 あー、確かに。それがみんな幸せかも。

 

 「嫌よ、そんなの。」


 「なんでだよ?」


 「だって、私が食いしん坊みたいじゃない。」


 え!? 違うの?

 

 「食いしん坊だろ、実際。」


 「それ以上言ったら、ほんとに残り全部貰うわよ!」


 「分かった。俺が悪かったから。」


 「そこまで言うなら、しょうがないわね。あと二切れで許してあげるわよ。」


 「なんでだよ。」


 父のツッコみが面白かったのか母さんが楽しそうにしてる。やっぱこれ、イチャイチャしてるだけだね。父の皿から肉が何枚か消えてるけど。

 

 母さんもイタズラして満足したのか父もようやくゆっくりとご飯を食べ始めた。時折…

 

 「やっぱりじゃんけん…」


 「しないからな」


 そんな応酬が繰り広げられているけど。




もう1話は18時

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