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異世界マイフレンド  作者: ゆう
前世と生誕
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誕生

 気づけば真っ暗な場所にいた。温かくて、安心する、そんな空間に。時折女性のうめくような声と男女が何か言ってる声が聞こえてくる。よく聞き取れない。


 正直ずっとここにいたい。なんだか懐かしい。前も似たような場所にいたことがある気がする。


 ここにいたら同じ振動、音をずっと感じる。最初は気なった。なんなんだろう、と。止むことなく、ずっと続いている。時たま、強くなったりもする。でも不快感は感じない。逆に心地良さすら感じる。


 ずっと聞いていると、落ち着く。この音を聞いてるだけで眠たくなる。いつもこの音を聞きながら寝てしまう。


 そういえば、長いことご飯を食べてないけど、なんで平気なんだろう。ここに来てから何も食べてない気がする。でも意識があるってことは、生きてる証なんだと思う。不思議だ。


 ここに来て、しばらくたった気がする。最近久しぶりにご飯を食べた。水?スープを飲んだ気がする。味は良く分からない。なんか色んなものが混ざった感じがした。でもまずくはなかった気がした。


 あと、ここにいると凄い違和感が身体を纏う?めぐっている気がする。別に悪いものって気はしない。なんというかこれがあれば何でもできそう、という全能感を感じる。


 でも使おうとしても使えない。なんでなんだろう。ちょっと歯がゆい。


 ご飯を初めて食べてから、しばらくたった。あれからもたまに食べる。日によって、結構味が違うのが面白い。それに、食べたことがないものも結構あって新鮮だ。


 あと、やることもないから違和感についても色々試している。正直上手く扱えてはいないが、身体を巡っているのを意識してやると、無秩序に動いていたように感じてたものが、自分が送りたいところにも送ることができているように感じる。かなり面白い。


 ここでの生活もかなり時間が立った気がする。最近外から聞こえてくる声が、騒がしい。ここでの生活の邪魔をしないでほしい。でももう出ないといけない気もする。


 まだいたい。もっとここで幸せに、心地よさに浸っていたい。


 でも本能にそれを否定される。しぶしぶそんな本能に従う。何をどうするかを意識する必要は感じない。ただ本能に動かされる自分の行動に身を任せる。段々と狭いほうに向かう。


 一体どれくらいたっただろうか。気づいたら明るいところにいた。さっきまでいた場所に比べたら、強い寂しさが身体中を襲う。さっきまで自分を守ってくれてた優しさを感じない。さみしい。嫌だ。


 さみしい。悲しい。不安だ。またさっきの温かい場所に戻りたい。誰かお願い。助けて。自分でどうにかできる感覚がなく、泣いて誰かに助けを求めるしかできない。俺は必死に泣いて助けを乞う。


 俺は泣き続ける。数度、暖かさが身体を覆う。でも、違う。これじゃない。俺が何度も叫び続けていると、やっとあの温かさが戻ってきた。落ち着く。上から女性に何か言われたが、わからない。


 安心する。さっきと同じ温かさ、振動や匂いを感じる。もう自分は大丈夫だ。そんな安堵感に支配される。


 そこから別の温かさも感じた。凄く不慣れで、ぎこちない揺れも。ただ、さっきまで感じてた不安を今は感じない。時たま、男の声も感じる。緊張していてたどたどしい。


 みんなが笑っている。凄く安心できる。ここにいて良いといってるみたいだ。


 そしてもう一つの泣き声も聞こえてくる。これが俺、ルートが産まれるまでの出来事だ。




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