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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
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リンケージ ふたり

本日3話目

 笑顔のままだったスーベルさんがようやく口を開く。


 「オヤルさん…。」


 しかし、父が途中で遮ってしまう。スーベルさんから発せられる言葉が怖くて、最後まで聞いてられなかったようだ。


 「スーベルさん、すまんかった。やりすぎた。」


 そう言って父が先に謝る。きっと、スーベルさんから下される判決を少しでも軟化させたいようだ。父の言葉を聞いてからスーベルさんは再度言葉を発するために、鼻から空気を吸い込む。その間、父から唾液を飲み込む音が聞こえた。


 その音に反応して父の方へ振り向くと、顔が少し強張っていて、もみあげあたりに生えている髪から汗が先端に伝っていくのが見て取れる。どうやらかなり緊張しているみたいだ。スーベルさん次第では、もう帰ってくださいと言われる可能性だってあるのだから、雇われている側からしたらやっぱり怖いのだろう。父のその状態を気にしたそぶりもなく、スーベルさんがゆっくりと口を開く。


 「問題ないですよ。では、残りの時間もよろしくお願いしますね。」


 スーベルさんがあっけらかんとそう言った。父がその言葉にポカーンとしている。スーベルさんが「では。」といって自分の仕事に戻ろうするのを、父が呼び止めた。


 「本当に良かったんですか?」


 「えぇ。」


 父の質問にスーベルさんが簡単に返す。ただ、もう少し先にも言葉が続くようだ。


 「あの汚客様方一組が来ないくらいでしたら、店にほとんど影響はないですし。それにあの汚客様のせいで客足が遠のく方が問題ですので。」


 スーベルさんは平然とそう述べた。確かに、たまにしかお金を落とさないのならほとんど影響はないのかもしれない。言うことは言ったからか、スーベルさんは自分の業務に戻っていった。残されたのは、俺と父だけだ。


 「とーたん、よかったね。」


 俺がそう言うと、父の顔もようやく柔らかくなる。ようやく緊張が解けたみたいだ。


 「あぁ、ほんとな。もうダメかと思ったわ。」


 「それにしてもすごい緊張してたね。」


 「いやー、もうなぁ…。また母さんにどやされるかで冷や冷やだったわ。」


 スーベルさんへの罪悪感じゃなくて、そっちか。そりゃぁ、母さんとは種族値が違うもんね。


 「いつものことじゃない。」


 俺がそう返すと、父が頭を大きな手でガシガシしてくる。


 「うるせー。」


 笑いながらそう言った。俺たちが二人で和気あいあいとしていたら、急にミーケから声をかけられる。俺たち二人は声のした方に、同時に振り向いた。


 「ルートもおっちゃんも、いい加減働いてよ!」


 「「はい。」」


 仕事中だったね、そう言えば。こうして俺たちは業務に戻った。


 仕事に戻ってから少し経った。まだ昼のピークが続いていて、かなり忙しい。そんな時のこと、既に一度、料理を運び終えているテーブルから呼ばれた。俺はきっと追加注文だと思って呼ばれたテーブルに向かった。


 呼ばれたテーブルにはいたのは、15歳前後の赤髪と白髪の二人の少年達だった。5歳の俺が少年というのもあれだけど。まぁ、そこはいいか。俺が着くなり、二人が


 「お前言えよー。」 「いや、お前がー。」


 そんな会話を広げる。たまに見かける光景ではある。だけどすごく鬱陶しい。そんなの先に決めといてくれよ。こちとら暇じゃないんだよ。おめぇらと違って。俺がそう思うも、彼らの問答は続く。どうしようもないので、俺は彼らのやりとりをずっと眺める。なんだか、ずっと同じことを言い合っているだけなんだけど。それを見ているとすごくむなしくなってくる。俺はなんでこんな無駄な時間過ごしてるんだろう。あほらし。


 少し経って、彼らもようやく寸劇が終わったのか、赤髪の方がしゃべる前に軽い深呼吸する。そして意を決したのか、真剣なまなざしになり、要求を口にする。


 「この料理、髪入ってたんですけど。」


 まじか。結構やばそうな話やん。問題になりそうなことに俺は少し焦る。えぇっと、こういう場合は、謝罪と取り換えか。俺はすぐに言葉にした。


 「ごめんなさい。すぐに新しいの持ってきますね。で、どの料理で…。」


 俺が取り換えようとテーブルを覗き込むと、いくつか皿は置いてあった。でも、全部平らげた後だった。ん?普通入ってたのは残すくない?


 「えっとー、どの料理に髪が入ってたんですか?」


 俺がそう質問すると、少年達二人は互いに顔を見合わせる。二人がアイコンタクトしてからうなずき合う。そして、まるでせーのっと掛け声をしたかのように同時に皿を指さした。互いに目の前にあった皿、つまり違う皿を。


 「「「………」」」


 髪入ってたの噓なんかいっ!そこはちゃんと話し合っといてくれよ。無駄に気まずいわ!俺は心の中で叫んだ。言いたかったけど、店員側がそんなのツッコめねぇよ。しかも指さすタイミングだけは無駄にいいくせに、なんで互いに自分が食べたいもの指さすんだよ。やるとしてもせめて、二人で分けれるもんだろ、そこは!絶対合わせる気ねぇじゃん。


 二人は何を思ったのか分からないが、何も言わずうつむいてしまった。頼む、せめて乾いてた声でもいいから笑ってくれよ。この音のない間を頼むから埋めてくれよ。気まずいよ、ほんとに。誰もしゃべらないから、音のない不快な時間がその場を支配する。


 すごく息苦しい。しゃべりたくはなかったけど、このままでいるわけにもいけない。俺は入ってたという髪の毛を確認することにした。


 「ねぇ、入ってたっていう髪もらってい?」


 俺がそう言うと、赤髪の少年が髪を渡してくれる。髪の色を見ると赤い。お前ら…。俺は黙ってその場を後にした。


 10分後二つの大きい声が店内に鳴り響く。


 「「悪気はなかったんだあぁああああ。」」


 その言葉を残して二人は衛兵に連れていかれてしまった。悪気しかねぇだろ。




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