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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
24/190

ミーケも

今日3話の1話目

 いつものように朝ご飯をミーケ家でいただく。昨日げっそりしていた父ももうなんともないようだ。お酒を飲んでない分、いつもより元気そうに見える。いいことだ。酒なんてさっさと止めてしまえばいいのに。どうしてアル中どもは酒を止めないんだろう。ほんと不思議だ。病気なんじゃないだろうか。


 俺が無駄なことを考えてるうちに、全員がご飯を食べ終えたようだ。みんなゆったりしている。そんなとき、ミーケの父こと、ダビドもといパパさんが厨房からこっちにやってきた。そんな彼に父が話しかける。


 「ダビー、今日も旨かったわ。」


 「おそまつさま。にしても、今日はなんか、めずらしくちゃんとした格好だな。」


 そう、今日は依頼の日だから、さすがの父でもいつものような、よぼよぼの服なんてじゃない。


 「そうなんだよ。珍しく依頼がきてな。」


 父が依頼のことを誇らしげに話している。ただ、息子としてはなかなか複雑だ。久しぶりに、父に仕事が来たことを喜べばいいのか、日頃仕事がないことを悲しむべきなのか。


 「そうか、良かった、な?」


 「おうよ。」


 パパさん困ってるよ、気づいて。

 

 「ただ、ルートも連れて行かないといけないのがなぁ…。」


 父的にはやっぱり、なしよりらしい。こんなに愛くるしいのに。

 

 「えっ!?」


 父の一言にミーケが驚く声を上げた。彼女の声にびっくりしてみんなが彼女を注目するが、彼女はそれに気づいていない。


 「ルート、今日出かけちゃうんだ…。」


 彼女の寂しそうな様子にみんないたたまれなくなる。昨日一緒に遊べなかった分、今日楽しみにしてたのかもな。ちょっとしんみりした空気をごまかすかのように、パパさんが口を開く。


 「あー、食後のデザートになにか剥こうか?」


 その言葉にみんな嬉しそうな反応を見せた、特に女性陣が。

 

 「みんな何がいい?ここはやっぱりベタにリンゴとかか?」


 「リンゴ…。」


 父から何やらつぶやいたのが聞こえてきた。何か印象的なことが頭をよぎったようだ。まぁ、どうせ昨日のリンゴだろうね。父が胸のあたりを手で握り、顔色も段々と悪くなっていく。真っ先に父をパパさんが心配の声をあげる。


 「オヤル、どうした?大丈夫か?」


 「大丈夫だ。ちょっと気分が悪いだけだから。」


 きっと、心配をかけさせないためにに強がる。

 

 「今すぐ何か飲み物持ってくる。安静にしていろ。」


 そう言って、パパさんは厨房へと向かった。


 「あなた、どうしたの?何か変なものでも食べたの?」


 母さんも父を心配する。母さん的にはテキトーに言ったんだろうけど、それ正解です。


 「大丈夫、大丈夫だから。少ししたらよくなるから…。」


 すぐにパパさんが厨房から帰ってきた。手には中身の入ったグラスを持っている。黄色ぽっくて、濁っている。ん?あれって…。


 「オヤル、飲み物持ってきたぞ。ゆっくりでいいから飲め。」


 そういって、パパさんが父にグラスを渡す。父はそれを受け取った。


 「サンキューな。」


 そう言って、父は渡された飲み物に口をつけた。口をつけた途端、父が固まった。いや、よく見れば小刻みには震えている。ただ、パパさんは気づいてない。

 

 「どうだ?ちょっとは落ち着いたか?」


 ギギギ


 そんな効果音を立てながら、父の顔がパパさんの方へ向く。

 

 「これって…。」


 「あぁ、リンゴジュースだ。昨日果物屋のおっさんのとこで買ってな。今朝作ったんだ。旨いか?」


 「昨日…」


 「えっ?あぁ…。」


 「リンゴジュース…」


 「お、おう。」

 

 父がリンゴジュースだけを見つめている。


 そして時間がチクタクと過ぎていく。


 「うっ…」


 口を手で抑えて、


 「もう無理…。」


 そう言い残してトイレの方へと消えていった。


 「あーあ。」


 まぁ、そうなるよね。猫が飲み込んだの、食べちゃったかもしれないなんて気持ち悪いし。最後まで聞かずに食べたのは父だけど、それでもかわいいそうだ。何人かは父を心配している、何人かは。


 心配してなかったミーケがママさんの袖を引っ張って、何か話してるみたいだ。


 「ママ、ダメ?」


 「でもねぇ…。」


 「ねぇ、おねがい。」


 ミーケがママさんに何かをお願いしているようだ。ママさんがすごく困惑してる。


 「ねぇ、ママ…。」


 ママさんの困った表情を見ても、ミーケは諦めきれないらしい。ママさんの袖から手が離れなようとしない。ママさんは少し考え込んで、


 「わかったわ。ミーケ、自分でお願いしなさい。」


 「わかった。」

 

 ミーケはパパさんをちらっと盗み見てから、すぐに母さんの元へ向かう。お願いというのは、どうやら母さんにらしい。一体なんなんだろう。


 ミーケは母さんの袖を引っ張って、残った手で口元を隠す。どうやら内緒話のようだ。母さんもそれを理解して、ミーケの口元に耳を近づけた。ミーケは両手で口元を囲って母さんの耳元で何かを伝える。段々と母さんは難しい表情になっていく。


 母さんが少しだけトイレの方に視線をやって、「んー」という音を発して考え込む。結構悩ましい内容らしい。


 「今日はねぇ…。」


 母さん的にはミーケのお願いはダメよりらしい。でも”今日は”ってどういうことなんだろう。ミーケも母さんがお願いを断ろうとしているのに気づいてるみたいだ。母さんの言葉に一瞬だけ悲しそうな表情になる。でも諦めきれないらしい。


 「お姉ちゃん。おねがい。」


 ミーケは母さんの手を両手で握って、首を”コテン”と倒し、いつもよりかわいい声を出して母さんにおねだりした。


 「お姉ちゃん…。」


 「お姉ちゃん。」

 

 二人が同じ言葉を復唱する。そして母さんの顔がユルユルになった。「お姉ちゃん」って言葉とミーケの可愛さにやられたらしい。ほんと、ミーケにだけはお甘いことで。


 「しょ、しょうがないわね。今日だけよ。」


 「ありがとう!お姉ちゃん。大好き。」


 ミーケは嬉しくて母さんに飛びついた。それによって、母さんがよりデレデレになる。息子より溺愛してないか、それ。


 そして、ミーケと母さんのじゃれ合いから少したって、父がトイレから出てきた。


 「あなた、大丈夫?」


 「なんとかな。」


 「よかったわ…。」


 父の容体が問題なさそうなことを聞いて、母さんはホッとしてから、言葉を続けた。


 「今日ミーケちゃんも一緒に行くことになったから。」


 「わかっ…、はっ!?」


 父の不運はもうちょっとだけ続くらしい。




12と18

明日も3話


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