表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
21/190

セリアちゃんと

 果物屋のおっさんの寸劇的なのも終わり、おっさんは猫を大事そうに抱えていて、猫もまんざらでもないかのように抱えられている。


 「仲良さそうだね。」


 「あったりめぇだ。俺たちの出会いは運命だからな。」


 「にゃにゃにゃぁ。」


 おっさんに質問したら、猫からも返されてしまった。しかも言い終わったら二人で同じような笑い方してるし。似始めるの早すぎだろ。俺が呆気に取られていると、おっさんがいない、別のところから声をかけられた。


 「この騒ぎ、やっぱりジルーさんかぁ。あっ、ルート君もいる。」


 「おっ!セリアちゃんじゃねぇか。今日も元気か?」


 「元気だよ。おじさんは…、元気そうだね。」


 「あったりめぇだ。」


 「ふふっ。ルート君も久しぶり。」


 「久しぶりだね。」


 おっさんとの会話に入ってきた女の子は、セリアちゃんという子で、俺と同じ5歳だ。髪は白髪で、長さは首にかかるかどうか、全体的にふんわりとしていてボブという髪型に近い。


 俺たちはそのまま、会話をさっきの寸劇の方に向けて、会話を続けた。


 「で、これがその猫ちゃんなんだね。かわいいね。」


 「だろだろ。しかも目がくりくりで、そこがまたかわいいんだ。おまけにどことなく俺に似ていて、愛らしくて仕方がねぇよ。」


 似ているらしい。


 「わー、ほんとだね。」


 ほんとらしい。


 主におっさんとセリアちゃんの二人で会話が広げられていく。すごくツッコみたいが俺はそれを我慢する。だって内容がなんかツッコみにくいもの。


 そうこう会話を広げているうちに、お店の方にお客さんが増えてきた。


 「すまんが、だいぶ忙しくなってきたから、ここらでお開きで頼むわ。これ良かったら食べてくれ。」


 そういっておっさんはお客さんの方に帰っていった。俺たち二人は店から離れて、人の邪魔になりにくいところに移動した。


 「ルート君は今日どうしたの?一人って珍しいね。」


 「なんかミーケが忙しいらしんだよね。やることもなかったから、暇つぶし、かな。」


 「そうなんだ、ほんと珍しいね。」


 「うん、なんかミーケも最近家の手伝い始めたみたいなんだよね。」


 「そうなんだ。」


 「うん。セリアちゃんはどうしたの?」


 「私も暇つぶし、かな。」


 「そう、なんだ。」


 彼女の返答で少し気まずくなる。しくじった、かな。彼女の両親は冒険者で、今彼女はたしか祖父母に預けられてるはずだ。俺が外出すると彼女とよく会う。でも聞き返さないのも変だし、しょうがない気もする。俺は気まずさから、話を変えた。


 「そういやぁ、ジルーさん、何くれたんだろう。」


 俺はおっさんがくれた紙袋を開ける。彼女も何が入っているか興味津々だ。いい感じで、紛らわせたみたいだ。袋を開けると、タッパらしきものにリンゴが切られた状態で入ってあった。


 「「………」」


 俺も、猫の話を聞いたセリアちゃんも、リンゴを見て絶句してしまった。これ、猫が咥えたやつじゃないよね。さすがにそんなの渡さないよね。ねぇ。


 先に口を開いたの俺だった。


 「ええっと、さすがに違うやつだよね?」


 「そう思う。」


 「たべる?」


 「………。」


 セリアちゃんが黙り込んでしまった。そりゃぁ、黙るよ。しかも、おっさんのあのベタぼれ具合から見て、入れてきてもおかしくないし。あーあ、どうすんの、これ。食べにくいし、貰ったもんで捨てにくいし。


 二人の間で沈黙が続く。そして俺は決心した。タッパを袋に戻した。


 「行こっか。」


 「う、うん。」


 こうして俺たちは商店街の大通りに戻った。


 二人で大通りを歩く。二人っきりになったのはこれが初めてなのもあって、正直、あまり会話が弾んでるとは言いにくい。気まずいまではいかないけど、なんかもどかしい。そんなとき、ちょっと変わった店が目についた。


 ほとんどの家が、1面を1枚の大きい木の板で外壁ができているようなのに対して、その家の壁は細い木の板が何枚もきれいに連なってできている。日本で言う、レトロなお店みたいな感じに近い。ただ、”おしゃれな”って言葉が付きそうだが。


 「なんのお店なんだろう。はじめて見た気がする。」


 「なんかアクセサリーとか売ってるって聞いたよ。入ってみる?」


 俺の口から自然とこぼれた言葉に彼女が答えた。


 「気になるし、入ってみようか。」


 俺たち二人は、その店に入った。中はぱっと見、シックなアンティークショップを連想させられる。古臭い海外ドラマとかに出てくるかのような店、そんな印象だ。でも壁や置物が傷んでいるような印象は全くなく、逆に新品であるかのようだ。


 宝石のようなものが加工されておいてある。正直、自分たちが場違いに感じる。気圧されている俺たちに向かって奥から声が聞こえてきた。男の声だった。


 「お前ら、客か?」


 ぶっきらぼうな言葉だが、どうやらここの従業員みたいだ。


 「涼みに近いかな。少し、中見てもいい?」


 「商品には触んなよ。」


 「わかった。」


 了承をもらった俺たちはおいてあるものを見て回る。ブレスレットやネックレスをはじめとした、多くの装飾品が置いてある。ただ、値段が平気で6桁や7桁もしている。正直ここにいることが場違いに感じていたたまれない。ただ、せっかく入ったんだから、どうせなら何か買いたい気持ちもある。


 「おじさん。」


 「なんだ?」


 「3000ウノ以内で買えるものとかない?」


 そう聞くと、おじさんは奥の方を指さす。


 「あの辺にそれくらいのが置いてある。」


 俺たちは、おじさんの指さした場所に移動して、商品を見る。さっき見た値段のより断然安い値段のものが置いてあった。俺はその中の一つを購入し、店を出た。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ