白い世界で
「ここは?」
辺りを見回してもずっと白い世界。何でここにいるんだっけ。えっと、たしか美佳と、
「美佳っ!!」
記憶にあるのは、妹の美佳と一緒にいた時にトラックが突っ込んできてたとこだった。周囲を見回しても俺以外誰もいない。美佳だけでなく、他の誰も。そもそも一体どこなんだろ。天国?俺は死んでしまったのだろうか。
「そうですよ。」
俺が考えに耽ていると、目の前から声が聞こえてきた。きれいな女性の人がいた。誰なんだろ、神様?
「…の代行ですね。」
神様の代行らしい。髪はきれいな銀色、それに少し青みが入っているかもしれない。それを後ろでまとめてて、きっちりしている。顔は目鼻がはきっりしていて、顔は小顔でシャープ、凄くかっこいいタイプのお姉さんだ。
「ありがとうございます。照れますね//」
服装は上下を紺色のジャケットとパンツで合わしていて、インナーは白いハイネックできっちり決めている。足もスラーと長い。働くお姉さんって感じでかっこいい。けど、なんか違くね?
「神の趣味です。」
らしい。ちょっとぶっきらぼうに言葉が返ってきたけど、さっきからお姉さん頬が赤い。あ、また赤くなった。かわいい。
「うるさいです。」
「俺、しゃべってないんですが。」
「心がうるさいんです。」
「心がって、横暴な」
「ふふっ。時間も惜しいのでそろそろ説明始めますね。ここは死者の受付所。亡くなった方のこれからを案内する場所です。あなたは亡くあられたので、ここに来られました。基本的には天国、地獄が基本になるのですが、あなたは転生することになりました。」
「転生ですか?えっと、なんでですか?」
「上司の暇つぶしです。」
「暇つぶしって、なんか雑くないですか?」
「なんか真面目に働くのに飽きたそうです。やることずっっと変わらないので。」
「なんか凄く心がこもってますね。そうだ、ここに美佳、妹の大橋美佳という少女が来ましたか?」
「ごめんなさい。最近個人情報に関してかなりうるさいので、個人情報がかなり厳しく守られるようになったので、お応えできないんですよ。」
「そこをなんとか。」
「そうですね…。悪いようにはならないようですね。ごめんなさい、これ以上はお応えできません。」
「そうですか。ありがとうございます。」
美佳は死んではなさそうな感じかな。それならよかった。俺が死んで傷つくかもしれないけど、乗り換えてちゃんと幸せになってほしいな。お兄ちゃんの分も。
「それでですね、前回の方は初回だったんで、お試しで転生の時に何か1つプレゼントを与えてたのですが…」
「ですが?」
「なんかその人壊れちゃったらしんですよね。ということで今回はプレゼントなしで向こうに行ってもらうらしいです。」
「なんか仕事雑じゃないですか?」
「新規事業なんでそんなもんですよ。」
「ほんと雑い。俺死にたくないんですが。」
「もう死んでるんで問題ないですね。ははは。」
「笑いごとじゃないんだけど。」
「これだから、最近の悪質クレーマーは。」
「悪いの、俺?」
「そうですよ、まったく。あと、病気に関しては、きっと良くなるんじゃないかなーって、上司が言ってましたよ。」
「そういえば、ここにきてから凄く調子が良い。きっと、って。」
「私の専門じゃないんで、知らないです。あと、上司から追加で一言、そこそこに頑張れ、らしいです。」
「あいまいな。」
「ふふっ。ではでは、あなたとの談笑も名残惜しいのですが、そろそろお昼寝の時間なので。」
「俺の価値よ。」
「ふふふ。では向こうへ送りますね。大橋保人様、良き旅路を。」
ほんと可愛く笑う人だ。あ、照れた。そんなことを思ってるうちに、俺の意識は段々遠のいていった。