パシリ ルシア
できれば、2話前から
【ルシア目線】
あの人が家を出てから、今私は自宅でのゆったりとした時間を楽しんでいるわ。とは言っても、あの人がいても変わらずにゆったりとしているのだけど…
でも今この時間は、ルートと私の二人っきり。たまには、かわいい息子と二人っきりの時間を楽しみたかったの。だから許してよね。あなた…
そしてその可愛い息子のルートはといえば、今はいつもあの子が愛用しているクッションに頭をうずめてぐうたらとしているの。ほんと、誰に似たのかしら。でもあれね、実の息子が私の素晴らしいところを似るっているのは、こう、すごくうれしいわね。誇らしいわ。それに、かわいいし、癒されるし…
そんな幸せな時間がしばらくの間続いた。だけどそんなとき…
ルルルルルルルル…
煩わしい音が鳴り響き始めてしまったわ。
このタイミング、きっとあの…
いえ違うわ。そんなわけないわ。きっと、セールスか詐欺師からに決まっているわ。そうに違いない。だから取らないでいいわよね。というか、取らないわ。
こうして、私は取らないと決心した。そもそも、最近取った記憶なんてないのだけどね。だけどやっぱり…
ルルルルルルルル…
鳴り続ける。
このしつこさ…
さすがに、あの人ね。
私は電話の相手が誰かを嫌々認めた。まぁ、だからといって、電話を取るわけでもないし、取る気もないのだけどね。
いえあれよ?私はあの人のことちゃんと愛しているのよ?だけどね、めんどくさものはめんどくさいの。だからこれはしょうがないことの。だって、どうしようもないことなんだから。それにきっとあの人は許してくれるわ。まぁ、許させるとも言えるのだけれども…
でもそこが、あの人の可愛いところでもあるのだけれどね。
私が、そしてルートが、電話が鳴り響く中で電話を取らない時間が続く。でもこの時、私は気づいてしまったの。
うるさいなら、元を切ればいいのだと…
私って、やっぱり賢いわね。さぁ、思いったら吉日ね。
私はやかましい音を鳴らしているコールカードへと近づき、そして、即座に電源を落とした。
その私の姿に、一瞬だけルートが何か言いたそうにしていたけど、すぐに穏やかな顔に戻ったわ。きっとあの子も、この行動のすばらしさをすぐに理解してくれたのね。
こうして、私の、いえ、私たちの幸せの時間がまた過ぎていったわ。
そして、電話があってから少ししてから、あの人が帰って来た。手に、ブドウ味のドライフルーツを持って…
この時、私の頭の中では一つだけ思い出せないことがあったわ。
それはね…
私が、ブドウ味とグレープ味のどっちをあの人に頼んだがね。
正直、ブドウ味のでも良かったわ。だけどなんというかね、もう少しだけ愛しい息子との二人っきりの時間を楽しみたいの。だからあなた、悪いとは思っているわ。少しだけだけど…
「私が頼んだのは、グレープ味よ。ブドウ味じゃないわ。」
私のこの言葉に、オヤルはすごく悲しそうな顔になった。やっぱり少しだけ、ほんの少しだけ、心が痛いわ。だけどあなた、許してね。私はもう少しだけさっきまでの時間を満喫したいのよ。
「だからあなた、また言って来てね。」
こうしてあの人はまたお買い物に出かけたわ。そして私は、またすごく幸せな時間を過ごすことができたわ。
ほんとありがとう、あなた…




