また、
今はお昼過ぎ、俺たち家族はいつものようにパパさんのご飯を食べ終えて、自宅へと帰ってきていた。もちろんメンツは、俺と母さん、それに父さんとミーケだ。もうデフォだね。
そんな俺たち家族は、みんな思い思いソファの上でくつろいでいる。俺とミーケ、母さんと父さんがそれぞれ同じソファに。そして母さんがそのソファを一人でいるみたいにゆったりと使っている。ほんと、いつも通りだった。
なんだけど、今日はちょっとだけ珍しいことがある。それは、ミーケの服装だ。
ミーケはいつも、可愛い系から、年の割には少しませたものまで幅広く来ている。だけど、今日はその中でもちょっと異質だ。何かと言うと、それは…
猫さんパーカーだ。
服の全体が白い無地のもので、フードの部分に猫さんの耳がついている。人によってはフードをパーカーと言うかもしれない。まっ、それは置いておいて、今日のミーケはそんな服を着ている。フードを被ったり外したりと、楽しそうだ。
時たまミーケの方を覗くと、いつの間にか猫耳が生えてるせいで愛らしさがすごい。そう、すごいんだよ。元々柔らかくて可愛らしい顔のミーケに猫耳。可愛らしさ×可愛らしさ、そこに何故か庇護欲までもそそられる。すごく心にグッとくる。
楽しそうにフードで遊んでいるミーケを見ていると、彼女の顔がこっちへと振り向いてきた。
「ルートどう?かわいい?」
ニコニコとした表情で、めちゃくちゃ機嫌が良いのがすぐに伝わってきた。
「か、かわいいよ。」
「そっか。そっかぁ。嬉しいにゃんっ。」
あ~~~~~っ、やーばっ!
ミーケはニコッとした笑顔だった。そして、めっちゃ可愛かった。
ふーぅ…
「その服どうしたの?」
「少し前にママがお買い物に行ったときに、買ってきてくれてたのっ。着るのちょっとだけ恥ずかしかったけど、今日着てみたの。」
「そうなんだ~。」
「うんっ!」
今日のミーケは本当に、いつもよりも上機嫌だ。いつもよりも数割増して明るく見える。俺ですら目が眩む。こんなの、家にいるミーケ愛好家は確実にもっとやばいに…
俺はそう思って、愛好家の方へ視線を向ける。するとやっぱり、母さんの視線はこっちにへと向いていた。だけど、なんか違和感と言うか、おかしいというか…
何故か、母さんが俺の方を見ていた。
じーっと、ずっと視線が合う。
少し不思議だった。絶対に、母さんはミーケの可愛さに釘付けだと思ったのに。
どうしたんだろ…
俺がそのまま母さんへと視線を向けていると、やっぱり母さんも俺に視線を向けてくる。
ん?
「かーたん、どうしたの?」
気になるし、聞いてみることにした。だけど…
「……………」
母さんからの反応がなかった。不思議だ。でも、ずっと目は合ってる。
「かーたん…?」
「……………」
だけどやっぱり、反応はなかった。
父さんも気になったみたいで、母さんの顔を覗き込む。だけど、母さんに変化はない。
んー…
どうしよ…、手でも振ってみる…?
手を振ってみた。すると…
パチパチ
そんな音が、母さんの瞬きで、まるで聞こえてきそうだった。
めずらしく、母さんの視線が少しだけ右往左往している。いや、母さんは横になっているから、この場合だと”上下”にが正しいのかもしれない。そこはどっちでもいいか。
「かーたん、大丈夫?」
そう聞くと、母さんの頬が少しだけ赤くなった。
「え、ええ、大丈夫よ。」
「なら、いいけど。」
そしてまた、母さんが見つめてくる。だけど、誰もいないはずのところへ視線を一度向けた。で、またすぐに俺のところに視線を戻してきた。そして…
「そ、それにしてもあれよねっ。」
ん?
「どうしたの?」
「ルートは今日、ミーケちゃんの可愛さにかすんでるわね。」
はぁっ!?
別に可愛さなんてどうでもいいけど、なんかすごく腹立つんですけど…
俺は頑張って、責めるように母さんを見つめる。そしてそんな母さんの口がまた開いた。
「だから今から、お買い物に行くわよ。ルートの服を見にっ!」
「「「えっ!?」」」
「さぁみんな、早く準備してっ。」
「はぁ…」 「う、うん。」 「はい…」
こうして、俺たちは買い物に出かけることになった。
そしてその後…
「お前、ぶっ…」
呆れたように何か呟こうとした父さんの頬を、一瞬の間に母さんが手で掴んだ。
ん?
今回の回終わったら、ちょっと休もうか考え中です




