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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
17/190

ちょっと変わったしりとりを

 朝食も終わり、昼までの間、今日もミーケの家で時間を潰すようだ。父と母さんは二人とも大人だけでの会話に華を咲かせている。だから俺とミーケも、いつも通りに二人で遊ぶ。


 「ルート、なにしよっか?」


 「そうだね…、今日は道具なしでできるゲームとかどう?」


 ミーケの問にそう答える。


 「うん、そうしよっか。じゃぁ、しりとりなんてどう?」


 「しりとりかぁ、いいけど…」


 しりとりかぁ。嫌いじゃないけど、ミーケとやるといつも何故か”す”で攻めされるんだよなぁ。ほんと、なんでだろうなぁ。1文字攻めはしりとりの醍醐味といばそうだけど、普通はラ行で攻めると思うんだよぇ、”す”じゃなくて。たまには普通にやりたいよ。そうかっ!


 「今日はちょっと条件つけてやってみない?」


 「条件?」


 「うん、今日は3文字の言葉だけでしりとりをやろうよ。」


 「3文字だけ…。いいねっ!おもしろそー。」


 よしよし。いつもと違うちょっと変わったしりとりを楽しみに、彼女はあの言葉がないのに気づいてない。彼女がそれに気づく前にさっさと始めないと。


 「じゃぁ、始めよっか。最初はしりとりの”り”からで、ミーケからどうぞ。」


 「じゃぁ、”りんご”。」


  「”ご”か、”ごろ寝”。」


 「”ね”、”ね”かぁ、ん-”寝息”。」


  「”きのみ”。」


 しりとりが交互に続いていく。あぁ、こんなにストレスフリーなしりとり、いいつぶりだろ。”す”に苦しむ俺は今日はいない。なんて平和、しりとりってこんなに自由なものだったのか。


 俺がこんなことを考えてる間にもしりとりは進んでいく。続いていくも、言葉が少ないことから、1文字攻めはされない。これが幸せか。もう1文字攻めなんて、しりとりのルールで禁止にしようよ。


  「”マウス”。」


 ミーケの”すきま”の”ま”に対して俺はそう返す。この言葉でミーケが固まった。


 「マウス、”す”…。」


 この言葉で何か思い出したようだ。ただ、いつものように苦しむ俺は今日はいない。だって”す”と”き”で作られるあの言葉は2文字だから、3文字しりとりでは使えない。”マウス”と”す”であの言葉を連想させてしまったけど、ルール上使えないという安心感がとてつもない。


 「3文字…。」


 ミーケが言葉をつぶやく。あの言葉に苦しめられないために、3文字しりとりに誘導したことを気づきはじめたようだ。ただ、今更気づいたところでどうもできない。


 「ルートっ!」


 ジト目でこっちに抗議してくるがそんなの関係ない。


 「どうしたの?」


 俺は彼女の言葉に、なんでもないかのように返す。彼女も抗議しても無駄だと感じたようだ。にしし、たまには勝たないとね。いやぁ、気持ちいい。


 「”すねる”。」


 ミーケは諦めてしりとりを再開する。それは自分の心情のことかな。かわいいなぁ。あぁ楽しい。


 そこからは、無難な言葉の応酬が続いていく。ただ、まだ彼女の目は死んでない。まだ、ここから何かあるのか?


  「”てれや”。」


 俺がそう返すと、彼女は少し考えだす。そして、


 「”やけい”。」


 と返してきた。”い”かどうしようかなぁ。そんなとき、彼女が”ち”と何度もつぶやく。”ち”?いち…。


  「”いちば”?」


 その言葉に彼女は満足げな顔をしてからすぐに返してくる。


 「”ばしょ”。」


 ”よ”、か。そしてまた彼女が”す”とつぶやいてくる。”よ”、”す”


  「”よす、み”?」


 「”みらい”」


 次は”の”とつぶやく。


  「”いの、り”?」


 俺がそういうと、顔を横に振ってくる。違うらしい。”いの”、か…。


  「”いのち”。」


 これが正解だったらしい。彼女が顔を縦に振る。


 「”ちかう”。」


 次は”ち”らしい。”うち”、か…。”うちわ”はこの世界あるのかなぁ。見たことないし、それなら、


  「”うちゆ”。」


 「”ゆびわ”。」


 ”うちゆ”であってたらしい。次は”い”らしい。”わい”…。


  「”ワイヤ”。」


 そういうと彼女が微妙な顔をした。微妙に違うらしい。小さな声で”あ”と指定してくる。それ全部言ってるやん。


  「”ワイア”?」


 なるほど。確かにたまにそうも聞こえるね。


 「”あげるね”。」


 ん?4文字なんだけど。なんなんだろ。


 そう言うと彼女は笑顔で「私の言葉音読して」って言ってきた。


 「どこから?」


 「夜景から。」


 夜景からか。えっと、たしか…。


 「やけい、ばしょ、みらい、ちかう、ゆびわ、あげる、ね…。」


 段々と、背中に汗が噴き出す。


 「ルート、ありがとう。約束だからねっ!」


 話を聞いてたおばさん連中は、


 「あらあら。」


 「プロポーズなんて、やるわねぇ。」


 とコソコソと話している。聞こえてるから。否定しとかないとマジでやばい。親同士で話まとめかねない。


 「ちがうから!しりとりだか”ら”っ!!」


 必死にそう宣言する。そうすると、ミーケが


 「だい”すき”♡」と。


 それは”だ”違いだよ。しかも4文字だし。こうしてミーケ対策のしりとりは失敗におわった。まぁ、”す”で永遠に攻められるよりかはマシか。マシなのか?




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