食堂の中で 自己紹介を
「あなた、なかなか良いわね。」
お姉さんに向かって、母さんからそんな言葉が飛び出す。
どういう意味なんだろう。俺はちょっと、わかりたくなかった。だって、禄なことじゃなさそうだから。
そして母さんの言葉に、お姉さんは顔に?マークを浮かべている。だからか、母さんがさらに言葉を紡ぐ。
「昔、私も同じことすれば良かったかしら。だって、そうすればあれよね?寄ってくる羽虫からお金を巻き上げれるのよね。それか勝手に離れていってくれるのか。どっちにしてもメリットしかないわ。すごく素晴らしい案だと思うわ。あなた、凄いわねぇ。」
………
母さんが活き活きと、そう口にしている。なんというか、俺はなんとも言いたくなかった。
俺はチラッとそれを立案したご本人様に視線を移す。すると、お姉さんもなんとも言えない顔をしていた。
「そ、そうなのー?」
お姉さんの返事は固かった。だけど母さんは気づいてないみたいだ。
「そうわよ。そうすれば、価値のない男たちに時間を費やさなくていいし、費やさざる負えないときも、何かしら私たちにも得るものがあるのよ?こんなの考えつくなんて、あなた、本当に賢いわね。」
「あははは…」
お姉さんの声は乾いていた。
そりゃ、嫌だよね。男の人をATMにしてるのを褒められるって。常識人なら尚更…
しかもなかなか、言ってることヘヴィだし…
いやまぁ、男をATMにしてる時点で、お姉さんはもう普通でもなんでもないんだけどさ…
そして母さんが…
「あなたの名前聞いてもいいかしら?あなたに、すっごく興味を持ったわっ!!!」
で、やっぱり、お姉さんの顔は固かった。
嬉しくないよな。こんな、興味の持たれ方…
はは…
「えっと、ルーナです…」
「ルーナね?私はルシア、よろしくね?」
「よろしくです…」
二人の表情が全然違うかった。
なんというか、やっぱりお姉さんって可哀想だよね。いや、不憫の方があってるのかな…
そんなお姉さんは、俺の方をチラチラと見てきた。困り果てた顔で。
う、うん…
たぶん助けだよね。
「と、とーたん、とーたんも自己紹介したら?」
さすがに助けてあげることにした。
「あ、あぁ…、俺はオヤル、よろしくな?」
「よろしくなの…」
二人とも表情が固い…
だからか、まだ空気が重い。
ということで次なんだけど…
ミーケとは一度話してるんだよなー。まっ、一応か。
「ミーケも。」
俺がミーケの方を向くと、ミーケも小さく頷いてきた。
「ミーケだよ。よろしくね?」
ミーケがそう言うと…
「あっ、たしか…」
お姉さんがそう口に出す。そして先の言葉を促すためか、ミーケは首をちょこっと傾げた。
で、お姉さんが残りを口にする。
「僕君のお嫁さんだよね?たしかっ!」
はぁっ!?
「うん、そうだよっ!!お姉さん…、ううん。すっごくいい人だねっ、お姉ちゃんって!!!」
「カッ!」
ミーケのニコッとした言葉、その言葉にお姉さんが平面と同じような胸を両手で握りしめた。そして…
「何この子!?めっちゃ可愛いの〜〜〜っ!!!う〜〜、うしうし…」
ミーケの頭を撫で回すように撫でだした。心を射抜かれたらしい。だけど…
パシッ
ミーケはその手をパシッと跳ね除けた。
「へっ?」
お姉さんからそんな声が漏れる。
そしてミーケが…
「ごめんね。でもルートのために髪整えてるから、触ってほしくないの。ルート以外には…」
「そ、そっか…」
ガーン
お姉さんは見るからに、分かりやすく落ち込んだ。
というかこの子、ちょっと重くないですか?いや、今更だったね。
そしてお姉さんは、悲しそうな顔を必死に笑顔にして…
「僕、愛されてるね…」
お姉さんは笑顔だったのに、すごく儚さが漂ってきた。
「う、うん…」
なんか、こんな言葉しか返せなかった。
こうして、お姉さんとの自己紹介は終わった。




