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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
148/190

コール あんなの

 ルルルルルルルルルル


 もう何度目になるだろうか。また電話がかかってくる。取らない俺たちも俺たちだけど、かけてくる方もかけてくる方だよね。諦めきれないらしい。いや、ほぼほぼ俺たちが悪いんだけどね。


 そして…


 「うざい…。」


 俺の隣にいるミーケから、そんな呟きが聞こえてきた。彼女的にも、そろそろ我慢の限界みたいだ。


 なら、取ればいいのに…。


 俺のそんな気持ちが通じたのか、ミーケが机の上に乗っているコールカードを手に取った。そして、通話を始める。


 「オラだぞ、オラっ。」


 向こうの声が大きいのか、隣にいる俺にまで声が聞こえてきた。そして、やっぱり知っている人だった。


 ただミーケは返事をせずに、コールカードをじっと見つめている。まるで温度が籠っていないかのような冷淡な瞳で。そしてそんな瞳のまま、ゆっくりと口を開いた。


 「留守です。」


 ブチっ。


 それだけ言って、ミーケが通話を切った。


 こいつ…。


 ルルルルルルルルルル


 そして、また電話がかかってくるけど…


 ブチっ


 ミーケがすぐさまにコールを切った。


 「あ~、始めからこうしてたら良かったっ。」


 チョップ


 「あたっ。」


 ミーケが、可愛らしい悲鳴を上げた。


 「ミーケ、やりすぎ…。」


 俺は一応注意してみる。だけど、聞いてないみたいだ。いや、いつものことか…。


 「おばちゃん、ルートがミーケの頭ぶったっ!」


 いや、言い方っ!


 「ミーケちゃん、いい?そういうのはちゃんと覚えておくのよ?いつか、逃げられないように責任を取らすために、ね?」

 

 「なるほど…。うん、わかったっ!」

 

 ん?んっ!?

 

 なんだか、恐ろしいことを聞いてしまった気が…。それに母さん、今の言い方、まるで自分がそうしたかのような…。いや、それはあとでいいや。今は…

 

 俺はさっき電話をかけてきた人に、折り返し電話をかける。


 そして呼ぼ出し音が少ししたら、相手が電話を取った。


 「ジローラ、電話くれた?」


 「ル、ルートか。オラ、何回もっ…」


 ブチっ。


 ん?なんか、通話が切れた気が…。


 俺はそう思って、カードの方へ視線をやる。すると、カードにミーケの手が伸びていた。細かく言うと、通話を切るとこに。


 ははは…


 「何してるの?」


 「通話切ったんだけど?」


 俺の言葉にミーケが真顔で返してきた。


 「なんで?」


 「切りたかったから…?」


 理由だよ、理由!


 「なんで切りたかったの?」


 「だって、ルートとミーケの幸せの時間にいらないじゃん、あんなの…。」


 ミーケさん…


 「あんなのって…。一応、ジローラと僕ら友達だよね?」


 「ん?」


 俺の問にミーケは首をこってと傾けてから、可愛い声を出してきた。あざとい、でも、やってることと言ってることは、ほんとにひどいけど。本当にね…。


 俺はそんなことを思いながら、ミーケを見つめる。いや、頭を心配する。


 そして俺は、視線をミーケから外してコールカードへと移す。すると、すぐにミーケの手がカードへと伸びてきた。


 「ねぇミーケさん、何してるの?」


 「ルートこそ、何しようとしてるの?」


 「えっ?普通にジローラに電話だけど?」


 「なんで?」


 「ん?友達から電話来てたら普通かけなおさない?」


 もうすでに、普通もクソもないんだけどね、今の状況は。主に君のせいでなんだけど…。


 「掛け直さないよ。ルートもちょっと変わってるね。」


 俺っ!?これ、俺が変わってるの?どう考えても、君だろ…。いや、落ち着け。こんなガキの言うことなんて真に受けたらダメだ。


 「僕が変わってるってことでいいから、ミーケさん、手離してくんない?」


 「やだ。」


 「むっ、なんで?」


 「だってアイツ、ルートに悪影響及ぼすもん。」


 ん?


 「ねぇミーケ…」


 「何?」


 「君、どの目線で話してるの?さっきの言葉、すっごい違和感したんだけど…。」


 なんというか、保護者目線的な…。


 「えっ?お嫁さんだけど…。」


 ミーケがパチパチと瞬きしながら、まるで驚いたような表情を向けてくる。


 何言ってんだ?こいつ…


 「工程ぶっ飛ばし過ぎじゃない?」


 「愛は順序を越えるから、大丈夫だよ。」


 いやいやいや…


 「越え過ぎだよ。普通は付き合うところからで…。」


 「じゃー、付き合うところからでいいよ。今日からミーケとルートは付き合うってことで。」


 「はっ?」


 何言って…


 俺が困惑していると、ミーケが母さんの方へ振り向く。


 「おばちゃん。ということで、ミーケ、ルートと付き合うことになりました。これからも末永くよろしくね。」


 「えっ?」


 「よろしくね。良かったわね、ちゃんと言質取れて。」


 「うん。」


 文字通り、勝手に話が進んでいく。


 はぁっ!?


 急げ、早く割り込まないと。


 「いやっ、僕付き合うだなんて言ってないからっ?」


 「言ったよ?」


 「言ってないよ。」


 そして、俺とミーケの会話に母さんまで入ってくる。


 「ルート、諦めなさい。」


 「えっ?やだよ。」


 なんで、そんな諭す感じなの。しかも、諦めなさいって、何?


 「我がままね~。こんな子には育ててないんだけど。」


 うざっ。


 このまま一人であほ二人の相手は厳しい。どう見てもジリ貧だ。誰か助けを…。


 俺はそう考えながら、残りのもう一人へと視線をやる。


 「とーたんも…、やっぱいいや。」


 「おいっ!ルート、今なんで止めたっ!?」


 「えっ?だって…、うん。」


 言うの可哀相だよね。味方に付いても役に立たなさそうだなんて。うん。黙っててあげよう。


 「ルート、そんな可哀相な人を見るような目は止めてくれっ!頼むから。心が、心が痛いんだよっ!」


 父さんから、なんだか声が飛んでくる。


 だから俺は、父さんから視線を外して母さんたちの方を振り向く。


 「ル、ルートっ!?」


 まだ父さんからの声が聞こえてきた。


 俺はそんな父さんの方を指さしながら、口を開く。


 「僕、こんな風にはならないからね、絶対っ!」


 「むーっ。」


 ミーケが頬を膨らませた。


 そして、視界の端で何かが下に崩れ落ちていった。性格に言うと、父さんが…。

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