母さんの作戦と 全貌
「もう、あなたのせいで話が脱線したじゃない。」
母さんがまだ下尻に敷いてる父さんに向かって、そう口にする。
「すいません…。」
そして、父さんはすんなりと謝る。もう、精神的にクタクタなのかもしれない。そんな父さんに向かう母さんの声が聞こえてきた。
「つまんないわね。」
「「「ん?」」」
母さんの言葉にみんなが一斉にそんな声をあげた。
「な、なんでもないわよ。」
ただ、すぐに母さんから詮索するなというお達しが来てしまった。
ふむ…
ふむふむ…
そして、そんな可愛い母さんが言葉を続けてきた。
「さっきも言ったけどね、私、またダイエットを頑張ってみようと思うの。」
ふむふむふむ…
母さんの言葉は少しだけ早口だった。
「それでね…。ねぇ二人とも?その視線、なんか腹立つんだけど。」
俺とミーケに向かって、母さんがそんな言葉を飛ばしてきた。
「かーたん、気にしなくていいから。」
「そうだよ、おばちゃん。気にしなくていいよ。」
「ッ!」
俺とミーケの言葉に母さんが唇をきつく閉じる。
「ん?ん?」
ただ、父さんはよく分かってないみたいだ。下敷きになったまま、状況を確認するために首を必死に動かしている。そんな父さんの頭を母さんが軽く小突いた。
「あなたはいいのよ。」
「お、おう。」
また丸め込まれてる。良いよね、仲。
「で、何?、かーたん…。」
母さんは俺の言葉にもう一度固く唇を閉じた。まだ、ちょっとだけ動揺しているみたいだ。そんな母さんは、目を閉じて息を吐いた。そして、ゆっくりと口を開く。
「それでね、ダイエットの良い方法を思いついたのよ。」
だいぶ落ち着いたらしい。いやそれよりもだ。
良い方法かぁ。母さんのことだから、絶対碌なことじゃなさそうだよな…。
俺がそう感じていると、母さんから声が聞こえてくる。
「それはね…」
母さんがニコニコと自慢げだ。相当自身があるみたいだ。
そして、母さんが続きの言葉を口にする。
「代謝をあげようと思うの。」
ほう…
なんというか、至極まともだ。ほんとに母さんが考えたのか疑いたくなるほどに。
「「へー…。」」
父さんとミーケからそんな抜けた声が聞こえてくる。二人からしても、結構驚きだったみたいだ。
そんな俺たちに、母さんが自分の中にある代謝を説明してくる。
「この前、聞いたのよね。ダイエットは代謝をあげるのが、かなり効果があるって。代謝をあげておくと、いらない脂肪を燃やしてくれるらしいのよ。しかもね、多少食べ過ぎたとしても、上げてる代謝のおかげで脂肪にもなりにくいらしいの。つまり、お菓子をいくら食べても太らないってことでしょ?きたでしょ、これ?なかなかに良い案でしょ?すごく私にぴったりだと思わない?」
お~。
パチパチパチ
気づいたら、拍手をしていた。しかも三人で。
すごいね、母さん。なんか気になる箇所が少しあったけど、そこ以外はほんとまともだったよ。
「どう?すごいでしょ、私。」
母さんが自慢げにそう口にする。
でもね、今回の母さんならいいよ、それでも。だって、まともなのだもの。
「ルシア、今回はすごいな。」
「そうだよ。今回はすごいよ。かーたん。」
「ほんとほんと。今回はすごいね、おばちゃん。」
皆で母さんをほめたたえる。
「えっへん。そうでしょー?」
俺たちの言葉に母さんがいつもより鼻を高くしている。
ただ、すぐに伸びた鼻を元に戻した。
「ん?三人とも、さっき今回はって…」
ちっ
「それよりもだ。ルシア、どうやって代謝をあげるんだ?」
「そうだよ。どうやってあげるの?」
「ミーケ気になるな~。おばちゃん、どうやるの?」
三人で捲し立てた。
「え?」
いきなりのことで、母さんが怯んだ。そして、父さんがその隙をつく。
「二人とも気になるよな?」
「「うんっ!」」
「も~しょうがないわね。それはね…」
こうして、母さんが作戦の全貌を明かすのであった。
ということでまた夜に




