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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
100/190

デブ活と モンスター

 俺は壁の影から父さんを見守る。


 リビングでゆっくりするとは言ったものの、父さんがどうモンスターの駆除をするのか気になるからだ。だから俺は、物音を立てずにじっと見守る。


 一人になった父さんは、母さんの方を見つめている。そして、遠目でもわかるくらいに嫌そうな顔をしている。


 可哀想に…。


 ただ、じっと待っているだけでは母さんのデブが進行してしまう。


 それを父さんも分かっているのか、目を閉じて舌唇を噛んだ。きっと覚悟を…、しんどい目に合う覚悟を決めているのだろう。


 少しして、父さんは目を見開いてから、母さんへとゆっくり歩み寄る。足取りが重いのか、それとも音を立てないためにか、どっちにしても父さんの進む速さはかなり遅い。


 そんなゆったりとした歩みで、父さんが数歩歩く。そうして、やっと母さんの背後へたどり着いた。


 ようやく、動きがあるかっ?そう期待したものの、父さんはなかなか母さんへのアクションを見せない。もしかしたら、最後の踏ん切りがまだついてないのかもしれない。


 でも、あまり時間をかけてはいけない。


 だからか、父さんは肺の中にある空気を吐いて、そして動き出す。


 「なぁ、ルシア…」


 父さんが呼びかける。だけど…


 バクッバクッバクッ


 その言葉は、禁断症状の出ている母さんへは届いてない。きっと今、目の前に広がっている餌しか見えてないのだろう。


 だから…


 「ルシアっ!!」


 父さんが大声で母さんをよぶ。


 チラッ


 かなりの大声だったから、さすがに母さんにも聞こえたようだ。


 母さんが振り向いたのを見て、父さんが安堵の息を吐いた。


 きっと父さんは、これで終わった…、そう思ったのだろう。


 甘い!


 一度父さんの方を振り向いた母さんだったけど、また餌の方に向き直る。そして…


 バクッバクッバクッバクッバクッ


 さっきまでよりも、早いペースで餌に貪りついた。今のうちにたくさん…、できるだけたくさん…、そんなことを思っているのかもしれない。


 「なっ!!」


 父さんから驚きの声が響く。父さんは、そこまで予想出来てなかったのだろう。


 父さん…、母さんの食欲を舐め過ぎだ。何年一緒にいるんだよっ!


 母さんの動きに戸惑っていた父さんだったが、キッと視線が強くなった。父さんも本当の覚悟が決まったみたいだ。


 その父さんは、母さんの肩へと手を置く。


 いい加減にしなさい…、そういう意味だろう。


 そんな父さんの手が肩に置かれた瞬間、母さんが…


 「ガォオオオオ!!!」


 と、そう吠えた。


 「ぐっ…」


 あまりの声量と勢いに、父さんは蹴落されて尻もちをついた。そして、呆気にとられてぽかーんとしている。


 その様子を確認したモンスターは、また食事にへと戻る。


 バクッバクッ


 そんな時間がまた戻ってくる。貪る勢いは落ちない。それどころか早まってるかもしれない。


 少しして、呆気に取られてた父さんが頭を振る。きっと、頭に広がった麻痺を解いたのだろう。


 そしてまた、母さんへとアクションをとる。


 次は餌を捕縛している、母さんの腕を父さんが握って捕まえた。ようやく、実力行使に出たみたいだ。


 掴まれた母さんも抵抗を見せる。


 「ガルルルルルゥゥゥゥ!」


 そう…、威嚇だ。


 そして…


 「ひぃぃぃぃっっ」


 父さんから甲高い悲鳴が飛び出る。それでも、父さんは掴んだ手を離さない。気持ちの強さが見える。


 父さんの抗いで餌を貪れない母さんが行動に移す。


 ガブッ


 自分の手を捕らえている、父さんの腕に噛み付いた。


 「っ!!!!」


 父さんから声になってない悲鳴が聞こえる。


 もしかしたら、痛いのかもしれない。でも、父さんは掴んだ手を離さない。離そうとしない。


 それに負けないために、母さんは噛みつき続ける。


 きっと、父さんの方がジリ貧だ。痛みでいつか、限界がきてしまう。だから父さんは動く。それは…


 後ろから抱き締めるという、形で…。


 そしてそれは、効果があったみたいだ。暴れていた母さんが、急に大人しくなったのだから。そして…


 「私は一体…」


 母さんからそんな言葉が聞こえてきた。 

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