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俺たちゃ色物職業《ピーキージョブ》愛好会〜アプデする度に話題に上がるアイツらの攻略配信〜

とあるソウルライクなMMORPGの掲示板で一つの書き込みがあった。『"アイツ"らが攻略配信始めたぞ!』。その書き込みを見た掲示板の住人はすぐさま各々のデバイスで"アイツら"のチャンネルを開く。そこに映るのは初心者でも周知されるほどのピーキーな職業(ジョブ)で構成された色物パーティーの戦う姿だった。


前書き「プレイ動画を見て「よくそんな方法見つけたな!?」と思う気持ちをこの小説からでも湧いてくれたら幸いです」



ピーキー職業愛好会チャンネルの法則

・不定期配信

・放送時間は毎回1時間(挑戦中に越えた場合延長)

・配信外の攻略はしないが、作戦は立てる。


◆メインキャラクター

どの人物もそれなりの過去を持っている。その過去を今回の物語を通じて多少の変化が起きる。彼らがそのジョブを選んだのは単なる偶然か、あるいは無意識の表れか。


【師子堂=レン/レンゴク】

母子家庭の主人公。父は主人公を産んだ後すぐに蒸発。親族とは結婚前後から疎遠だったため母親一人で育てられた。母親に同情し親孝行しようと早くからバイトで生計を助けていた。当時は大変だったが幼なじみとの出会いで多少は生活が楽になった。しかしその優しさに負い目を感じ、少しづつ積み重ねることになる。母親の心はまだあの男に惹かれているから。

・ウェポンミキサー…武器を組み合わせて新た力を目覚めさせるが耐久値がゴミになる異色の火力ジョブ。一つの武器では使いこなせず、組み合わせて初めて使えるこの職業(ジョブ)は、彼の心を表しているようだ。"父親"と"母親"が二人仲良く居てくれたら、と。その願いを、想いを示すようにあらゆる武器(かのうせい)を組み合わせる。


【東雲=ミユ/ミュー】

主人公の幼なじみのロリ巨乳。小学生の頃、体型でイジメられていたところ主人公に助けられ、以後懐くようになり彼が母子家庭もあってか家事の手伝いとかをするくらいの仲になる。主人公と違いこちらの家庭は普通で母親同士仲が良い。

・スクラップビルダー…地産地消、武器防具は戦場で作る異色の鍛治師。スクラップとは、一度壊れた物を指す。彼女にとって壊れたモノとはなんだろうか。その壊れたモノを組み立てようと思うのは、きっと恩返し以外の想いがあるからだろう。勇気を出して彼に伝えるべきだ。きっとそれは彼にとって必要不可欠な武器(かのうせい)なのだから。


【千羽=フミ/ブックマーカー】

本屋で働くメガネ女史。都会のとある古本屋で働いている女性。上京して就活失敗し、たまたま寄った本屋の店主に愚痴をこぼしていたらそのまま採用された。田舎に辟易していたので親とのやりとりは少ない。友人は皆高給取りの仕事に就いていったためそのまま疎遠になる。結果オンラインゲームにハマっていった。ちなみに本屋の店主は彼女と歳が近く、曰く一目惚れらしい。本編でさらっと付き合っている。

魔導重装歩兵(マギカパラディン)…本盾(大盾の裏側に本棚がある武器)で敵の攻撃を防ぎ、その裏から魔法を射つ異色のタンクジョブ。盾とはある種、壁とも捉えられる。その壁に大量の本が収納されているのは、きっと彼女の心の声の積み重ねだろう。心に仕舞った言葉はきっとこの先も誰にも読まれることがないだろう。


【轟=ヒヒギ/リズム】

リアルでも男の娘のモデルさん。自身の美貌を理解している耳年増な男子中学生。親の推薦でキッズモデルとして小遣い稼ぎをしている。特に不自由はなく愛好会で一番恵まれた環境で生きている。物語が進むにつれ寝たきりの女の子に好意を寄せていく。彼女があの万年欠席の同級生だと知った後は段々と更正し、彼女のために色々しようと画策するようになる。

・ウェイター…NPCのマスターと息を合わせて仲間にカクテル(回復)をばら蒔く異色の回復ジョブ。愛想を振り撒くことは決して悪いことではない。下心を見透かされなければ、それは善意となるからだ。その善意がとある少女の心に希望を持たせることを、彼はまだ知らない。


【白崎=フウカ/フーカ】

病院で寝たきりの女の子。産まれた頃から体が弱く、病院が実家と言われるくらい寝たきり生活を続けている少女。本来なら中学生として学校に通っているはずだが、体のために席だけ置いてある状態。そんな彼女を哀れんだ両親はVRゲームを薦めた。

先導者(リーダー)…メイン武器に旗を持ち最前線で鼓舞する異色のバッファー。彼女にとって《先導者》は憧れの体現であり願いでもある。例え戦いで負けようと、その旗は決して下ろさないようにしていた。その旗はみんなを導く(しるべ)でもあり、自身の心でもあった。




◆サブキャラクター(現実)


【ハルカ】

レンの母親。高校の時に大学生の彼氏と付き合っていたが、レンを身籠った途端に蒸発される。その後親にも見放され高校を中退。友人の助けもあってなんとかレンの子育てをすることが出来た。成人したあとは会社に就職し少ない給料でなんとかレンを高校まで通わせる。


【マリさん】

ハルカ(レンの母親)の友人であり、ミユの母親でもある。小学校からの幼なじみで彼女の数少ない理解者。蒸発されたことに憤り、彼女のために祖父母の店のバイトを勧めた。ハルカが会社に勤めた後、彼女の子供のレンが「母親を助けたいから祖父母の店で働かせて欲しい」と言い出したときに涙が出た。両親はサラリーマン家庭。


【おじいちゃん&おばあちゃん】

マリさんの祖父母。酒屋をやっていた。体の限界を期に店を畳むことにした。ハルカと面影が似ているからか、レンを大切に扱っていた。実の祖父母と会っていないレンにとって二人は本当の祖父母だった。


【おじさん&おばさん】

マリの両親。レンにとってもう1人の家族。








※ 名無しの冒険者 さん



※プロット

1話~3話「アイツらにも下手な時期があったんだなぁ」

1話

 今日で最後のバイトを終えた。後数日で閉店する店から出る主人公は、後から出てきた老夫婦から労いの言葉を貰い帰宅する。母子家庭で育つ主人公はなるべく短時間で稼げるバイトを探していた。だがどれも遠出でしかも不定期となかなか条件が一致しなかった。そこへ幼なじみからあるモノを貰った。VR機器と呼ばれるそれは仮想空間を体験するための装置でそれを使ってある方法で稼ぐことが出きると言う。生配信による投げ銭、これがその答えだった。仕組みを理解した主人公はさっそくチャンネルを作り、どんな配信をしようか模索する。すると待ってましたと幼なじみがゲームを薦めてきた。『アンリミテッド・ワールド』と呼ばれるVRMMORPGは今話題の人気ゲームで、有名になればファンが集まりあっという間に大金持ちになると言う。あまりにも夢見な話に怪訝な顔をする主人公。幼なじみは証拠として今大人気配信社のアーカイブを見せた。そこに映るのは大量に流れるコメントと、そこに付随する高額の投げ銭。流石に主人公も認めるしかなかった。

2話

 気を取り直してゲーム配信することにした主人公と幼なじみ。さっそくゲームを遊び、どういう配信にするか考えることにした。ボイチャを駆使しながらあーだこーだ言っているときにふととあるジョブに目が止まる。記憶をたどりこのジョブはユーザーの中で指折りの使いにくさと評価されていた。主人公は幼なじみに聞いた。「このピーキーなジョブで攻略したら盛り上がるんじゃないか?」と。その問いに幼なじみが面白そうと同調する。方針が決まった。幼なじみも攻略サイトで使い辛い別のジョブを探しそれを選ぶ。主人公は彼女の付き合いの良さに心を痛めながらも感謝の言葉だけ伝えた。そして心の中で悪態つく。「いつまで彼女の善意に依存するんだ」と。

3話

 操作確認も済ませ、いくつか戦闘をこなし、いよいよ初の配信に取りかかる主人公と幼なじみ。相手は初心者卒業試験と揶揄される『始まりの森』のボス、ハイブクイーン。幼なじみが配信画面を気にしながら戦闘は始まる。が、とくに見所もなく惨敗に帰す。主人公は幼なじみのぎこちなさを問うと、彼女は俯いて答えた。「コメントの殆どが私の体ばっかりだった」主人公はアーカイブを確認すると、言ってた通り戦闘よりも幼なじみの動いて揺れる胸ばかりを注目していた。それに気が向いてうまくいかなかったのだろう。彼女は失念していたと笑ってごまかした。「次からは気にしないようにするから」と。その気の使い方に心を痛める主人公。ここで彼女を配信から辞退させるよう促しても彼女は頑なに拒否するだろうし、なにより彼女に生活の半分を手伝って貰っている以上無下にできないからだ。板挟みに苦悩したまま初配信から三日が経った。彼女の善意を尊重するためにも自分が一人でも出来るようにすればと幼なじみに黙って特訓をする。そこへ重装甲に身を包んだ女性プレイヤーと出会う。彼女は初配信の時の視聴者で二人の頑張りに魅せられたと言う。その言葉に幼なじみの表情を思い出して顔を曇らす主人公。その反応に慌てる女性。誤解を解き悩みをその女性に打ち明けた。女性は任されてくださいと言う。どうするのか気になる主人公に女性は今度幼なじみを連れてきて二人で話をさせてくださいと言った。後日言われた通り幼なじみを女性と会わせ、二人で会話をすることに。幼なじみは女性に悩みを打ち明ける。体のコンプレックスのこと、主人公に助けられたこと、好きと伝えることが出来ず彼に依存されてることを利用していること。視聴者は戦闘だけ見てると思っていただけに、あの配信でトラウマを思い出してしまったことを女性に話した。女性は思案する。要はコンプレックスをプラス思考に変えれば、と。女性は幼なじみに思考の変換を説く。しばらく思案した後に幼なじみは納得した。それを見届けた女性は主人公にその配信の手伝いをしていい?と尋ねた。内心すぐに変化できるわけがないと思っているため、もう少し様子を見るべきと思ったからだ。幼なじみが喜び、主人公も助かると安堵をつく。かくして女性が加わった三人パーティーは第二回の配信にて見事ハイブクイーンを討伐し視聴者を沸かしたのだった。

閑話

「変態パーティー見つけたw」1コメのレスと共にアーカイブのリンクが貼られた。掲示板を覗いていた住人が次々とリンクを踏み動画を見る。大多数は幼なじみの体ばかり反応し、一部のプレイヤーらしき者からはジョブについて言及する。そして動画の最後らへんで頭装備を外した女性の顔を見た住人は主人公に嫉妬の念を向ける。その日のレスはそれで終わることになる。


4話~6話「有名になったのはこの頃だっけ?」

4話

 ようやく初心者を卒業した三人。そう、助太刀に来た女性もまた色物職業(ピーキージョブ)のプレイヤーで一人でクリアできなかったところで自分と同じ匂いを感じた主人公の配信を見て近づいたという。そしてそのままパーティー入りとなった。結果的に幼なじみの悩みを和らげてくれたこともあってか女性に信頼を置くようになった主人公と幼なじみ。次の配信はどうするか迷っているときに運営からお知らせが来る。近々イベントが開催するらしく、内容はパーティーごとのトーナメント戦らしい。ここで活躍すればいっきに視聴者が増やせると意気込む幼なじみ。多少不安ながらもこの流れに逆らう道理はないと飲み込む主人公。その二人を支えてあげようと決心した女性。各々の決意と共に特訓が始まる。とあるエリアはNPCを好きにカスタマイズし仮想敵として模擬戦闘をすることが出来る。隠し玉を当日まで秘密にしたいプレイヤーのために用意された施設で主人公たちはさっそく利用し始める。仮想敵については三人がそれぞれ一組ずつ挙げた。さっそく戦ってみたがどうやっても勝てなかった。理由は明白で、パーティーバランスが悪いからだ。後日、女性の案で隠し玉を伏せてパーティー募集のために配信することに。しかしそっちにも問題が発生。視聴者が一向に増えない。多ければ多いほど募集に乗ってくるプレイヤーがいるのだが数が増えない。今いる視聴者も常連なのだが彼らは参加するほどの意欲がないらしい。結果その日はそれで終わり、各々宿題として解散した。主人公は思案がてら近くのエリアで散策してるとすぐそこで怒号が聞こえた。傍目で見れば男二人とバニーガールが口論していた。というよりは男二人がバニーガールに文句を言ってるようだ。だが自分には関係ないとその場を後にする。それから歩いた先の人気の少ない酒場で腰を下ろした。しばらく宿題で頭を悩ましていた時、「おにーさん♪」と中性的な声に呼び掛けられる。顔を上げればそこには先ほど口論していたバニーガールが主人公を覗き込んでいた。「おにーさん何か悩み事?」ごく自然に隣の席に座り主人公の方へ体を寄せる。主人公は親切なプレイヤーだと思い宿題の悩みを打ち明けようとしたら口を指で抑えられた。「先にお代が欲しいな」相談料だと理解した主人公は親切なプレイヤーじゃなかったと落胆する一方裏がないようで安堵した。じゃあとバニーガールへお金を渡そうとしたとき「止めときな」と声が聞こえた。振り向けば数少ない客の男がいた。「そいつはここいらで有名な詐欺師だ。見た目に騙されるなよ」見た目?何がだろうか?主人公が不思議に思うなかバニーガールは男の客に対して営業妨害だー。とか憤慨していた。とはいえ袖振り合うのも多生の縁、見た目はともかく相談に乗って貰うのは悪くないはずだと止めた手を動かしバニーガールに報酬を渡す。男の客はあきれた顔でそっぽを向き、バニーガールはニヤリと笑う。「まいどあり。じゃあどこでお話ししようか?」と場所を移動することにした。移動した先はさらに人気がない場所。バニーガールは徐に振り向き柔らかい声色で相談事を促す。その行動にやや扇情さが含まれていたが主人公はとくに反応もせず悩みを打ち明ける。営業スマイルだったバニーガールは話を聞くにつれその笑顔が減っていった。終いには「なに?ただのリア充の惚気話?それボクに聞く必要ない?」とバッサリ切られる。さっきまでの態度と違うことに一瞬狼狽える主人公にバニーガールは答える。「まあ強いて言うなら君たちがリア充だから増えないんだよ」と。詳細を聞くに、どうやら男女ペアの配信は嫉妬される傾向があるという。「おにーさんのアーカイブを見直してみなよ。多分おにーさんへの嫉妬の声があるんじゃない?」確かにその通りだった。じゃあどうすれば良いのか、主人公が抜けたら特訓の意味がない。「簡単だよ。ボクと同じように女装すればいいのさ」その言葉に主人公は固まった。女装?誰が?「おにーさんがさ」いやそれもだがもうひとつの言葉にも疑問がある。もう一度バニーガールの姿を見る。どこからどう見てもバニースーツを着た小さな子供だ。「でもボクは男なんだよねー」ケラケラケラと笑うバニーガール、もといバニーボーイ。そこへ男の客の言葉を思い出す。まんまと見た目に騙されたということか。だがなぜ主人公が女装しなければいけない?「知らないかもしれないけど、見た目が女だったら視聴者はだいたい黙るよ」そういうものなのか?「そういうもの。ボクみたいに知っていてもなお貢いでくるプレイヤーもいるし。やっぱり見た目が大事なんだよ」バニーボーイは「あ、バニーガールでいいよ。てかそれじゃないと女装した意味ないし」……バニーガールは配信したことがあるのか聞いた。「ないけど視聴者側からでも分かることはあるよ」とサラッと言う。そしてバニーガールは主人公の背を押し「じゃあさっそく女装、してみよう!」主人公は流されるように連れていかれた。連れていかれた先は美容院でここでもう一度アバターのキャラメイクをすることが出来ると言う。「但し頭だけね。体格は今の技術じゃ難しいだってさ」と付け足した。店の前に着くとバニーガールは振り向き主人公に「リメイク券はある?」と聞く。運営からのプレゼントで貰った分があると答えると、バニーガールはうんうんと頷き、しげしげと主人公の顔を見る。「まずは骨格を変えるとして、あとはどれだけ面影を残すか……」ぶつぶつと呟き数秒後、紙切れに何かを書き込んでいた。それを主人公に渡し「中に入ったらまずフリーからデジタルに変更して。それからここに書いた項目の数字を間違えないように入力してね」と先ほど書いた紙切れを渡された。数分後、美容院から出てきた主人公はバニーガールの拍手に迎えられる。「うんうん、あの雰囲気なら似合うと思ったんだよね。黒髪クールビューティ風メイク」美容院でも確認したが自分が最初にキャラメイクした時の面影があるのにどう見ても同い年の女子の様に見える。不思議な感覚に浸っているとバニーガールが覗き込んできた。「それでおにーさん。ちょっとお願いがあるだけど」なんだろう?と先を促す。「ボクをおにーさんの仲間に入れてほしいなーって」突然の加入申請に驚く。今までの素振りでどうしてそうなったのか。「実はねボク、あのチャンネルの視聴者だったんだ。それもかなりの古参」その告白にさらに驚く主人公。「この前の放送で行き詰まってたじゃない? だから力になれたらなーって」主人公は改めてバニーガールを見る。「一方的に知ってるのもズルいしボクのこと教えて上げるね」そう言ったバニーガールはジョブについて語った。それから翌日。模擬戦の練習配信が再開した。だが今回はメンバー募集は無くチャンネル登録者数の増加を目的とした配信だった。その理由は。「やあ視聴者からでものみなさんこんにちわ!ボクは新しいメンバーのバニーガールだよ、よろしくねー!」配信のチャット欄は知る者は「げっ!」と萎縮し、知らない者は「なにこのエロウサギ」と興奮するカオスな状況になった。バニーガールは嬉々としてそれを眺め「じゃあ次は主役の登場だね」と画面外から主人公を連れてくる。その顔の変化にまたもやチャット欄が更に荒ぶる。そしてバニーガールは主人公に耳打ちをし、主人公は幼なじみと頬をくっつけるくらい近づいてからカメラをアップにして「残念だがこの子は俺の大切な友人だ。見ているみんなのモノじゃない。そこのところを理解してくれ」とクールに言った。それを見た視聴者は狂喜乱舞した。何かに目覚める者。複雑な心境になる者。憤慨する者。投げ銭できなくて嘆く者。その日の特訓は放送開始から30分たってから行われた。その日の夜、掲示板は大いに賑わった。

5話

 いよいよ対抗戦が始まる。新たに加わったバニーガールを含め総勢4人。最小パーティーで挑む。

6話

 とある病院の一室。モニターに映る主人公たちの活躍に釘付けになっている少女がいた。彼女は思う、彼らについていけば自分の夢が叶うのでは?と。すぐさま行動を起こす。まずは彼らとコンタクトをとるためにゲームをプレイする。 


 

7話~9話「まさか公式が取り上げるまでいくとは思わんだwww」

 主人公の深堀り。1周年記念で運営から生放送の出演者として指名される。運営側の思惑を聞き主人公たちとしてもこのピーキーな職業の人口を増やすチャンスだと思い了承。パーティー対抗のPvPに向けて主人公も模擬戦を配信しながら対策を進めていく。対するパーティーも相手が未知数なので色々模索していた。

 無事大盛況で生放送が終わったあと、主人公は会いたくない相手と出くわす。蒸発してから何年も経って居なかった"父親"だ。主人公の名声を利用して金儲けをしようと企んでいるらしい。主人公は男に通帳を投げつける。「そのカネと一緒に消えてくれ」と。男は怪訝な顔をするがあぶく銭に浮かれたのかそのまま立ち去った。母親は泣いて謝る。「あの人の子供になってごめんね」と。


10話~12話「そして伝説へ…ってか?」

 寝たきり生活を続けている少女の深堀り。終わりはだれしも訪れる、それが突然だろうと。メンバーの一人が引退を申し出た。理由を語る彼女の声は震えていた。「後少しで退院できるの。でもその後はリハビリや勉強の遅れを取り戻すために必死にやらなきゃいけなくなる。そうなると、もう、ここへは戻れなくなっちゃう……」隣で聞いていた男の娘も顔を下げた。みんなに顔を見られなくなかったからだろう。俺たちは一人も欠けることなく続けてきた。だからこそ自分がその終わりを招く存在というのが口惜しいと彼女は語る。聞き終えたリーダーは声を出す。「なら、次の攻略で解散するか」あまりの凛とした声にみんなは目を見開いてリーダーを見た。「一人また一人抜けて、そのたびに悲しくなるのならいっそのこときれいさっぱり終わらせたほうが良いだろう?」誰かが口を開けようとしたときリーダーは続けざまに「だからと言って俺たちの関係も終わらすわけじゃない。今の時代今生の別れなんて、せいぜい死に別れくらいなもんだ。SNSとかボイチャとか、何ならオフ会でもすりゃいい」だから、とリーダーは言う。「派手に終わらせようじゃないか、○○の引退攻略じゃなくて、俺たちピーキー職業(ジョブ)愛好会の円満解散攻略配信だ!」その言葉を聞いたメンバーは悲しい顔から決意の表情へと変えた。そう、終わりはいずれ来る。だからこそ、その配信は確実に成功させなければいけないとメンバーの心は決意に満たされた。後日、緊急報告というタグを着けた生放送を配信した。視聴者はなんだなんだと身構えていたところ主人公が徐に口を開く。「俺たち色物職業愛好会は1週間後を以て解散することとなった」ざわめく視聴者。「詳しい話は彼女から聞いてもらいたい」主人公が横にずれると後ろから旗持ちの女の子が現れた。いつもなら可愛いコメントで溢れるが今の彼女の表情からとてもそんなコメントができるような気分ではなかった。旗持ちの女の子は語り出す。「私は体が弱く、生まれてから一度も病院から出たことがありません」その言葉にさらにコメント欄が静まる。「ずっと同じ景色を見て育ってきた私をかわいそうにと思った両親は、このゲームをプレゼントしてくれました」「おかげでみなさんと出会い、とても充実した一年間を過ごすことができました」口振りから察する視聴者が悲鳴を上げる。「あ、安心してください。別に後少しで死んじゃうとか、そう言うわけじゃないので!」必死に弁護する旗持ちの女の子に苦笑するパーティーメンバー。じゃあいったい、と疑問を抱く視聴者たち。「なんと、お医者様から退院の目処がたったんです!ここ一年、ゲームをすることで私の心持ちが良くなり、それが体へと影響したそうなんです!」おおおおと騒ぐ視聴者たち。とそれが引退とどう繋がるのかと聞く視聴者。リハビリか、と真意を突く視聴者もいた。「はい。退院しますが、私はこれから体のリハビリをしなければいけません。それと、義務教育のために今まで遅れてた分を取り戻さなければいけません」それは仕方ないと納得したコメントが流れる。「それでリハビリは今日から一週間後から始まるんです」そこで主人公が代わりに話しはじめる。「というわけで、」

12話

 とある掲示板にあるコメントが書き込まれる。「おい、"アイツ"らが配信始めたぞ!」ほとんどの住人は何の話だと怪訝なコメントをする中、ひとり「まさか……"アイツ"らなのか!?"アイツ"らが帰ってきたのか!?」と叫ぶようなコメントが書き込まれる。すると、その帰ってきたという言葉でようやく理解した住人たちが悲鳴にも似た歓喜を上げる。「マジか!しかも一週間毎日配信で今まで実装したボスを順に攻略ってサイコーかよ!」流石についていけない住人が痺れを切らし質問すると「"アイツ"らって言ったら色物職業愛好会に決まってるだろ!5年ぶりの復活だあああ!!」と答えが返る。それでも分からない住人にwikiのアドレスが貼られそれを見てこのチャンネルに来いと言われた。

 かつてこのゲームにはピーキーなジョブのみで結成されたパーティーがいた。それは特別上手いわけでもなくかといって下手でもない。だがその外れ性で攻略する姿にひとり、またひとり集まっていった。彼らは最初はお金稼ぎで始めたつもりだった。だが振り返れば、それ以上のモノを手に入れていた。たかがゲームと笑うものがいるだろう。それでも彼らにとって、この経験は何物にも替えがたい存在なのだ。




◆ウェポンミキサー

・性能評価

 簡潔に言うなら、このゲームで一番の癌であり、一番調整の被害を受けているジョブでと言えよう。その理由としてまずジョブ名にもなっている専用スキル【ウェポンミックス】だが、これがかなりのくせ者なのだ。武器の数だけ夢があるとは聞こえが良いが、逆に言えば全部の組み合わせによる他ジョブとの性能比較がほぼ不可能ということ。その証拠にジョブの説明文の下に注意書きで「開発陣が把握できていない場合があります」と公表しているくらいである。

 その反動なのかデメリットが他ジョブよりもダントツで酷いことになっている。耐久値の激減はもちろん、合成前の武器のモーション値からの減少、果ては戦闘後に必ず自壊するという、もはや実装する意味を問われるくらい不遇な扱いを受けている。


◆スクラップビルダー

・性能評価

 唯一戦闘中に鍛治生産が可能で、戦場で無尽蔵に武器を作ることで臨機応変に味方の戦術を支援できるジョブ。と上澄みだけで評価すれば聞こえは良いが、その実、実用性が殆ど無い死にジョブのひとつである。

 理由としていくつかあるが、なにより語らなければいけないのが戦闘中に武器を生産することだろう。生産職とは本来町や前線基地など、安全区域で運ばれてきた素材を持ち寄って武器や防具、道具などを生産するジョブ群である。だがこのジョブは唯一"戦闘時のみ生産可能"という異色の生産職で、目的と手段がおかしなことになっている。これがどういう事かと言うと、戦闘中どうぞ私を攻撃してくださいと言わんばかりにその場で鍛冶をし始めるのだ。しかもパーティーの枠をその一人に割いた上である。その光景を見れば誰しも「帰れ。」と言いたくなるだろう。

 次に評価を下げている点として、要であるパッシブスキルの使い辛さだろう。1つ目の【モノ拾い】は生産するためのスクラップポイントを稼ぐための重要なスキルなのだが、これが戦闘中でしか発動しないこと。


重装魔導歩兵(マギカパラディン)

 (以下マギパと呼ぶ)。マギパは攻撃と防御の役割をもつデュアルジョブの一つで、その中で特に扱い辛いジョブと評されている。デュアルジョブは二つの役割を持つジョブの公式の総称で、一人で複数の役割をこなすことが出来る代わりに専用武器しか装備できない仕様となっている。この仕様がやっかいで、武器の取得タイミングが通常のジョブより困難なためデュアルジョブ次第ではソロやパーティー攻略で足を引っ張ることとなる。その入手の遅さを補って余りあるのがデュアルジョブの強みなのだが、贔屓目に見てもマギパはそれに満たない性能である。

 使い辛い理由としてまず一つ目に、役割が噛み合っていない。タンクとしてパーティーを守り、アタッカーとして魔法で火力貢献するこの2つの要素が絶望的に噛み合っていない。じゃあスキルでそれを無理やり合わせるのかと思いきや全て独立しておりシナジーが皆無と言う惨状。最前線でタンクスキルを使うくらいならタンク専門ジョブの方が優秀な上、魔法も同じく専門ジョブがいるため下位互換でしかない。

 そして二つ目としてプレイスキルが相当要求されること。上記の噛み合いのなさはあくまで立ち回りの話であり、臨機応変に立ち回ればそれなりに活躍できる。だがそのそれなりに活躍するための要求されるプレイスキルが問題であの"鎧核機動兵士"に近いと言われればイメージしやすいだろう。あちらは操作感が他とはまったく違うのに対し、こちらは常にタンクと火力のスイッチを行わなければいけないことだ。それぞれのスキルが独立してるため敵のモーションに合わせて常にどちらかのタイプを予測して発動しなくてはいけないため単純にやることが人一倍多くなっただけである。これが多くのプレイヤーを挫折させた要因でもある。つまりコレ使うくらいならどっちかの役割で特化した方がいい、と言う結論になる。


◆ウェイター

 ハーフアニバーサリーで追加されたジョブの一つ。このゲームで一番異彩を放っているジョブ筆頭でもある。なにがどうなってダークファンタジーに店員(+マスター)を戦わせるんだと言いたくなる。とは言え、防具のキャッチャーなデザインから見るに開発陣も相当な気苦労が伺い知れる。

・性能評価

 まず気になるNPCマスターの存在だが、端的に言えば自販機と表現するべきだろう。戦場でカウンターの前に立ち、(仕様上)一切しゃべらず、ジョブスキル【注文】を使用するまでずっとグラスを磨き続けるシュールな光景が見れる。因みにマスターはどこに現れるのかというと、フィールドの所々にある平たい丁度いい感じのテーブル代わりになるオブジェクト。実装前のフィールドを知ってるプレイヤーなら一発で分かるが、あたかも都合のいいオブジェクトはこのジョブのためにわざわざ追加されたのである(その努力を他のところに注力してろしい)。フィールドごとにデザインを変えて忍ばせているが、一定間隔に似たようなオブジェクトが存在すればほとんどのプレイヤーは否が応でもそれがそうだと認識してしまう始末である。因みにすべてのフィールドに存在する。ラスボスの"あの"フィールドにもだ(あのムービー中に端の方に映るテーブルに爆笑必至である。恐らくわざとあそこに配置したと思われる)。

 わざわざウェイターから回復せずにバーに直接マスターから貰えば?と思うだろうが検証により直接貰うことができないと分かった(カウンターの意味とは)。追記訂正、ジョブレベルを上げパッシブスキル【直接注文】を取得するとカウンターから回復アイテムを受けとることが可能になる。これでいくぶんか回復職として活用できるようになった(それでも異色ジョブからは脱却できていないが)。高レベルで取得するパッシブスキル【チップの受け取り】により生存能力が上がった。ざっくり言うと敵の飛び道具をロックオン(敵に対するロックオンと同じ)した状態で被弾するとダメージを無効に更に回復するというモノ。ロックオン距離や個々にロックオンをしなければいけないデメリットが存在するが、逆に言えば"どんな高火力の攻撃"も無効化することができ、さらに味方へのダメージを無くすことが出来るトンデモスキルである。常に戦場を走り回るウェイターとも相性が良く、ピンチになった味方を庇いつつ回復させたりと立ち回り次第ではパーティーの生存率を底上げするポテンシャルを持つこととなった。


先導者(リーダー)

 (以下リーダーと呼称)。リーダーは支援と防御の役割をもつデュアルジョブ。なのだが、支援系ジョブとしてはかなりの異質を放っている。専用武器で"旗"を持つのも異質だが、その最たる理由として挙げられるのが、パッシブを含めたほとんどのスキルの条件に敵と至近距離を維持することである。立ち回りが最前線なら打たれ強いかと思われるが、実はそうでもなく他の支援ジョブと変わらない紙装甲。じゃあデュアルジョブの片方である防御はなんの要素だと言われたら、それは【パリィ】のことである。






『王たちの剣』

 中堅よりやや上に位置する堅実な6人パーティー。ジョブのバランスが良く攻略も対人もそれなりに対応できる。特に有名でもないが主人公たちが出会うことで自分たちのピーキーさを改めて認識することとなった。後に対人イベントや共闘イベントで時々出会う。

・メンバー

 チリツモ…リーダーシップが強い明るい青年。ユニーク武器"太陽剣"を愛し、それに合わせた攻撃ジョブやビルドを組んでいる。

 ヤマト…武骨で口数が少ない防御ジョブ。堅実な仕事をこなすため周りからの信頼は篤い。

 ニャアさん…猫みたいな自由奔放の盗賊ジョブ。いつの間にか成果を挙げるタイプ。

 アマテラ…お姉さん気質の狙撃系攻撃ジョブ。常ににこやかだが怒ると怖いあらあらうふふ系。

 ソルト…魔術メインの攻撃ジョブ。パーティーメンバー以外には塩対応。

 一日一善…回復メインの支援ジョブ。みんなから一善と呼ばれている。由来は適当に目に止まった言葉がこれだったため。




『首狩部隊』

 装甲殻兵士のデュアルジョブ4人と支援ジョブ1人の5人パーティー。赤い目に十字傷を負った横顔の黒ウサギのエンブレムをつけている。傭兵のロールプレイ至上主義を掲げており、数多の地を侵入側で名を轟かせる実力者たち。火力防御ともにピカイチだが操作性に難ありで中堅に位置する装甲殻兵士を見事に使いこなし、さらには連携も乱れなく引き際も心得ている隙の無さ。戦術としては前衛三人が突撃、その威圧に相手がたじろいたところを支援ジョブがステルス系スキルを使い視界外に離脱。ここで怯まず支援ジョブの行き先を見ている敵がいた場合残りの後衛一人が狙撃し牽制する。あとは支援ジョブとの連携でじわじわ追い詰める。主人公とはイベントの対パーティ戦(楽勝と思っていたが意外にも抵抗されるが最終的に蹂躙して勝利。しかしこれをきっかけに主人公たちを一目置くようになる)と引退時(ついには互角までに至られ最後は負けたが清々しい気持ちになった)に戦う。

・メンバー

 アイン…某ゲーム脳患者のリーダー。男。前衛

 ツヴァイ…オペ能力を買われ加わったサブリーダー。女。支援ジョブ

 ドライ…某ゲームから流れた元傭兵。男。前衛

 フィーア…リーダーとはリア友。いぶし銀。男。狙撃

 フンス…某ゲーム未経験の新人。女。前衛

◆鎧核機動兵士

 攻撃と防御のデュアルジョブ。一部の武器と魔法全般の制限、さらに独自の操作方法というデメリットを持つが、それを払拭するほどの機動力と火力補正を持つピーキー寄りのジョブ。元ネタも相まって一定のプレイヤーが使用しているからか使用ジョブランキングでは中堅を維持している。

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