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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学3年

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死んでからの方が売れるかもね

『郁人の体が弱くて麻衣が健康なのは、単に麻衣が恵似で郁人が私似だからであり、別に双子に生まれた事でお前が郁人の体力なり生命力なりを奪い取ったからでは無い。

2人とも生まれた時の体重に然程の違いは無かったんだ。

体質の違いであって、麻衣が責任を感じる問題じゃあ無いのは分かっているだろう?』

金子(父)が続ける。

恵さんが母親かな?依頼について話し合った際に麻衣さんから言及が無かったから亡くなっているのかと勝手に思っていたんだけど、どうなんだろ?


2人いる子供のうちの1人が体が弱いとその1人に注意が行き過ぎてもう1人の養育がおざなりになってしまうケースもあるようだが、どうやら金子家は双子のどちらも公平に同じぐらい大切にした様子?

それでも麻衣さんが病弱である兄の郁人さんに対して過保護なようだが。


時々体の弱さを利用して家族や周囲の人に罪悪感とかを感じさせて都合が良いように操るタイプもいるが、この郁人って言うのがそう言うタイプなのかな?

それとも単に絵を描くのに夢中で何も考えてない甘えた?


「でも!

母さんも郁人はいい年をした大人なんだから自分の面倒は自分で見させろなんて言っているし!

倒れても自業自得だなんて言うのよ?!」

麻衣さんが言い募る。


おや。

母親(多分恵さん?)は生きているみたい?

でもさぁ。

成人した男性が自分の食生活や睡眠時間を自己管理するのは当然な事じゃ無い??


なんか妙な感じに麻衣さんったら拗らせてるね。


『お前の部下が、新しく買ったゲームに夢中になって週末だからと食事を全部抜き、夜も寝ずにゲームに没頭した挙句、月曜日に会社に行こうとして玄関で倒れて救急車で運ばれて会社を休んだとする。

その場合、その責任はお前の部下にあるか、それとも一緒に暮らしてすらいない部下の兄妹や親にあるか、どちらだと思う?』

金子(父)が尋ねた。


絵を描くのに夢中って言うとなんかこう、芸術家の才能の対価みたいなものなのかなぁ〜ってちょっと不摂生な生活スタイルも許せちゃう気がするけど、ゲームに夢中って言われると一気にそいつのダメ男ぶりが際立つね。


「そりゃあ、いい年した社会人なんだから、その場合は部下が悪いに決まっているけど・・・ゲームと絵を描くのは違うでしょう」

ちょっと麻衣さんの勢いが落ちてきた。


『大して差はない。

郁人の絵だってまだ生活費やあそこを貸し出せば受け取れるマンションの家賃分や絵の具代をカバーする程は売れてないんだ。

仕事のアイディアを得るかも知れないゲームと同じぐらいの将来性はあると言えるんじゃないか?

自分の好きなペースで落ち着いて絵を描きたいから一人で暮らしたいと強く望んだのも郁人なのだし。

少なくとも、体が弱い自覚があるのにちゃんと朝食も食べない成人男性を甘やかす理由は無いぞ』

金子(父)が指摘した。


おや?

『カバーする程は売れてない』って事は、絵も少しは売れてるのかな?


まあ、ゲームが将来の金稼ぎに繋がる可能性はかなり低いと思うけど。

それでも自分の生活費をちゃんと稼いでいる人がレジャーとして週末にゲームに没頭するのは、生活費すら賄えていない脛齧りの絵描き行為よりもワンランク上かもね。


才能があるなら芸術家の方が偉いような気はするけど、売れない画家って売れない作家と同じでジゴロとかヒモの代名詞とも言えなくも無いし。


ニートって言うよりは、まだブレークしてない芸術家って言う方が夢はあるよね〜。


「それは!

郁人の絵が売れないのは父さんが絵を全部強奪しちゃうからでしょ!

そうだ、絵を何処にやったのよ?!」

やっと依頼の要件を思い出した麻衣さんが尋ねた。


『日本では全国的な賞をとった訳でも、有名な画家の弟子でもない画家の絵は売れん。

有名だからと傲慢で頭の古い画家なんぞに習うのは嫌だと弟子入り後に喧嘩別れしてきたのは郁人だ。

それだったら、自分の目を信じてまだ有名になっていない画家に金を出したがる新興富裕層(成金)が多いアメリカや中国の方が、日本で売ろうとするよりは買って貰える可能性がある。

だから才能はあるがまだ名が売れていない画家を多く扱っているアメリカや香港の画商の幾つかに絵を預けているんだ。

少しは売れているが・・・まだまだだな。

これからは恵がその手配をしてくれるだろう。

恵が死ぬまでにブレークしなかったら、もう諦めるんだな。

無駄遣いをしなければ我々の遺産でそのまま脛齧りでも生きていけるだろう』

淡々と金子(父)が告げた。


おお〜。

ちゃんと絵を売ろうと父親なりに考えて手を打ってくれてたんだね。


しかも時間制限付きとは。

遺産があるから食っていけるだろうと言われても、芸術家として売れない事に関して郁人さんはどう感じるんだろ?

まあ、全く売れないって訳では無いみたいだから少しは満足出来るのかな?


朝ご飯もちゃんと食べないで毎月倒れているような人間じゃあ、それこそブレークした頃には死んでるかもだけどね〜。


ある意味、死んだら需給関係が変わるから在庫の価値が上がるって事で画商がガッツリ売り込んでくれるかも?


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― 新着の感想 ―
[一言] 母親の意見や 全くの第三者な美術評論家の評価を 聞いてみたいところですね
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