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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学3年

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実写版

「ちょっと箱を取りに行って来るね」

碧がそう言って家の方に戻って行った。


外に出しっ放しにしておいて虫に卵を植え付けられても困るから、基本的に段ボールは碧の家の蔵に入れてあるんだよね。

碧謹製の虫除けでGとムカデを排除出来るから多分大丈夫だと思うんだけど、想定外な虫が湧いたら困る。ヨモギとかって虫除け効果もありそうな気がしないでもないが、リスクは避けるに越した事はないだろう。


私の方は段ボール箱を待つ間に使い魔にする動物霊を探しに聖域周辺の森へ行くことにした。


塵取りと熊手と二セットずつあるから、最低でも2体、出来れば4体やる気のある動物霊を見つけたいところだ。


『やっほ。

ちょっとそこの聖域で刈った草の整理をお願いしたいんだけど、誰か手伝ってくれないかな?』

日向で楽しげにふわふわ遊んでいた霊の塊に近づき、そっと念話で声をかける。


生きている間は人間に近付かない動物でも霊になると比較的無防備になるが、偶に怖がりな霊もいるからね。


『う〜ん、あそこって龍神さまのお家でしょ?

入って良いの?』

狸っぽい霊が近付いてきて尋ねた。


流石田舎だ。

街中の公園だと鳥類か鼠か猫(飼い猫も野良猫もあり)か近所の飼い犬の霊が多いのだが、狸は初めてだ。


『大丈夫。

白龍さまの愛し子と一緒にやっている事の手伝いだから』

動物霊でも龍の存在って分かるんだねぇ。

人間よりもよっぽど世界に近いのかも。


まあ、人間だって昔は神社を作るぐらい氏神さま達の存在を感じて畏れた人たちも居たんだけどね。

いつの間にか殆どの人は実在するのを忘れたみたいだ。


まあ、私ですら碧に会うまでは氏神さまって言うのが実在する存在だと知らなかったからね。

神社に行っても露骨に存在感を醸し出しては居ないし。氏神さま達もあまり人間に存在感を示して縋り付かれたく無いのかな?


祈られるより忘れられる事を選ぶって、余程失望するような事が長い年月の間で起きたのかも。

魔素が薄すぎて中途半端にしか力を振えないのが問題なのかな?


前世だったら神殿の神様を本気で怒らせたら、軍隊の一つや二つはあっさりプチっと捻り潰されるって分かっていたから皆それなりに神殿を利用しつつも怒らせない程度に注意と敬意を払っていたけど、こっちの世界で軍隊を捻り潰す程の力を使ったら、境界門があって幻想界で魔素を補充出来るんじゃ無い限り氏神である幻獣や神族にとって命に関わりそうだもんね。

人間との癒着は危険もありそうだ。


それはさておき。

『へぇぇ、聖域での仕事?

面白い?』


狸の側に別の霊が寄ってきた。

こっちは狐かな?

狐と狸って仲が悪そうなイメージだけど、霊になったら関係無いみたいだね。


霊になっても生前の争いを引き摺り続けるのは人間ぐらいなものなのかも。


『珍しい作業ではあると思うよ?

手伝ってくれたら魔力で払う。

継続契約する気があるなら、6日間ほど手伝ってくれたらその後は数ヶ月は適当に好きにしてくれていて良いから。

興味があるなら大きな街へ連れて行ってあげるのも可能だよ』

霊達を勧誘する。

狸や狐の霊が都市に行きたいかは知らんが。


『魔力だけで良いや。

街って車が一杯な場所でしょ?』

狸が応じた。


どうやら車に良い印象を抱いていないらしい。

まあ、ここら辺だったら車道で怖い思いをしたり、車に轢かれて死んだ動物も居るだろうから良い印象が無くても当然か。


『じゃあ、ボクも手伝う〜』

『ちょっとなら手伝っても良いかな』

『面白いなら付き合うよ』


寄ってきた狐と狸の他、鳥の霊と・・・熊の霊が立候補してくれたのでちゃちゃっと使い魔契約を交わし、聖域に戻る。


やっぱここら辺でも熊が暮らしているんだねぇ。

山歩きは気を付けないとヤバそうだ。


最近は猟友会も減ってきて熊を狩る人が居なくなってきた(って言うか、熊って狩っていいんだっけ?それとも単に脅して追い払うだけ?)と聞くが、熊をマジで狩らなくなったらハイカーが山歩きするのも危険になるんじゃ無いかね?

時折は熊を殺して見せないと、熊側が人間を危険な存在と認識しなくなると思うんだが。


『じゃあ、タヌコはこの熊手、コン吉はこっちの塵取りね。

タロウはそっちの熊手、ソラはそちらの塵取りに憑いてちょうだい』

適当に名前をつけた4体に魔力を提供し、道具へ憑くよう指示する。


『うわ〜、変な感じ〜』

タヌコが憑いた熊手がフラフラと宙に浮いて動き出した。


うん、聖域の豊富な魔素のお陰で、熊手を浮かせても極端に魔力を消費はしてないみたいだ。


これだったら毎日魔力を補給すれば2メートル幅の草を集めて貰ってもガス欠にならなそうかな?


『後もういくつか箱を持って来るけど、その躯体を動かして、切ってある草をこの箱に入れて欲しいの。

出来るか試してみて?』


使い魔達が熊手と塵取りをフラフラ動かすのに慣れてきたところで、肝心の作業に関して説明する。


『うう〜ん?

落ちちゃうよ?』

タヌコが熊手で草を持ち上げて箱に入れようとしたが、ポロポロ落ちてしまって箱には殆ど入らなかった。


『拾えないし』

ソラが塵取りで草を持ち上げようとしたがこちらは殆ど草を拾えていない。


『タヌコとコン吉、タロウとソラで組んで、タヌコとタロウがコン吉とソラの躯体に草を乗せる感じに集めて、集まったのをコン吉とソラが持ち上げて箱に入れられない?』

私がやるんだったら右手に持った熊手を左手に持った塵取りの方へ集める感じでやるんだが。

流石に塵取りの上を熊手で抑えて箱に入れるのはちょっと難易度が高そうだから、塵取りに入れて持ち上げるだけでもある程度入れられないかな?


暫くの間、熊手と塵取りが色々と可笑しな感じに動いていたが、やがて草が集められて箱に少しずつながら入れられて行った。


「おお〜。

良い感じじゃな〜い。

ディズニーの映画を実写版で見ているみたいでちょっとシュールだけど」

段ボールを持ってきた碧がコメントした。


確かに。


お皿やティーポットに霊を憑けたらディズニー映画の実写化に活用できそうだ。



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― 新着の感想 ―
[一言] ヨモギとブタクサとトリカブトは似ていると言いますね 取り違えると大変
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