意外と平気?
「あれ?
源之助は?」
客間に荷物を置き、碧の部屋に行ってみたら源之助が居なかった。
「家の中を探検したいっぽかったから部屋から出してあげたの。
流石にずっと後ろから着いていくのはどうかと思って我慢しているところ〜」
碧がちょっと悩ましげな顔をしながら教えてくれた。
「隠れたんじゃなくって探検?」
それなりに部屋数がある家だから、隠れる気になったら面倒かもとちょっと心配したのだけど。
まあ、1週間もいれば慣れるだろうから帰る頃には普通に捕まえられると期待していたけど、そこまで心配する必要もなかった?
前回源之助を連れて来た時も二階はそれなりに自由に歩かせたけど、殆どの部屋の扉は閉めてあったからねぇ。
「両親の部屋に入った時にそっと覗き見てたら、クンクンとあちこちの匂いを嗅ぎながら部屋の中を歩き回って、狭い所に全部入ってみてから最後に満足したみたいに出て来て次に翔の部屋に入って行ったんだよね。あの様子から言って、多分新しいテリトリーの確認をしているんだと思う」
碧が言った。
新しいテリトリーですかぁ。
中々図太いねぇ。
猫って慣れない場所に連れて行くと怖がると聞いてたけど、ここは碧の匂いがするし何度か来ているからそこまで警戒しないのかな?
一応何処にいるのか確認しようと思って源之助の首輪につけてあるクルミと同調して周囲を確認したら、目の前に白い壁があった。
うん?
視点が動き、『壁』から離れたらそれが洗濯機なのが分かった。
どうやら翔くんの部屋も終わり、洗面所に行って洗濯機の後ろに潜り込んでいたらしい。
マジか〜。
洗濯機の後ろって猫が入れる程スペースがあるんだ??
流石にそこはそうそう掃除なんて出来ないだろうから、源之助が埃だらけになってそう。
と言うか、埃だらけで出て来て、家中にそれを振り撒いたら迷惑だよね。
源之助が毛繕いする際に埃を大量に食べるよりはマシな気がするが、ちょっと悪いなぁ。
そう思いつつ洗濯機が置いてある洗面所の方に行ってみたら、ちょうど源之助が出て来た所だった。
あら。
思ったよりは埃だらけじゃない。
流石碧ママ。
・・・単にアメショーの柄って埃が目立ちにくいってだけかもだけど、少なくとも綿埃の塊はついていないみたいだからそれなりに掃除してあったみたいだ。
◆◆◆◆
「もうちょっとしてお腹が落ち着いた感じになったら聖域に行って少し雑草を刈って干しといて、その後美帆ちゃんちの霊泉に行かない?」
昼食を食べ終え、まったりとしていたら碧が提案してきた。
碧ママも暫く一緒に居たのだが、やはりそれなりに忙しいらしくて先ほど姿を消した。
「そだね〜。
今日は比較的風が涼しいし、刈ったのが夕方や朝までに良い感じに乾くか、試しておきたい」
朝の露で湿るんじゃないかなぁとも思うのだが、夏だったら露ってないのかな?
あるのだとしたら朝の涼しい時間帯に刈った草を翌朝まで干しておくのが出来なくなるからなぁ。
その場合、夕方に涼しくならないならそれこそ炎華に聖域の熱を吸収して貰えないか、頼まないとだな。
白龍さまに山から涼しい風を吹かせて貰うのも考えたが、風で雑草も吹き飛んじゃったら元も子も無いから熱を直接吸収して貰う方が無難だ。
急激に温度を冷やしすぎるとそれも風を起こすし下手をしたら雲が発生して雨になったりしかねないから、中々デリケートな温度調整が必要になるけど・・・上手くいくかな?
源之助は午後になったら家の探検も終わらせたのか、碧の部屋にある段ボールハウスに置いたクッションの上でまったりと眠っている。
犬と違って散歩には行きたがらないけど、源之助は意外と図太くて出歩くのもOKな猫なのかも?
これだったらキャンピングカーを買うのもありかも知れない。
とは言え、日差しがあるとエアコンが必須だろうから、それなりに電気代かガソリン代が掛かりそうだなぁ。
でもまあ、大学卒業後に退魔の仕事がガンガン来るようだったらマジで碧と源之助と一緒にのんびり旅行がてらキャンピングカーであちこちの温泉経由で依頼人の所に行くのも悪く無いかも?
流石に長時間乗り続けるんだったらそれなりに大型なキャンピングカーが必要だろうから、大型車か何かの免許が必要かもだけど。
そうなると大型車を停められる駐車スペースが必要だし、やっぱ戸建てに住む事になるとしたら色々面倒そうではあるが。
ゴミ捨てとゴミ捨て場掃除当番を請け負ってくれるバイトみたいのって居ないかな?
もしくは町内会の会費を多少多めに払う事でそこら辺をカバーしてくれる地域を探すとか。
と言うか。
共働きが多い地域なんかはマジでどうしているんだろ?
どう考えても共働きがゴミ捨て場の掃除当番を出来るとは思えないんだけど。




