表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/1358

才能に男女差は無い筈なんだけどねぇ

「もっと同業者に大浴場とかで出会うと思ったけど、意外と居なかったね。

時間が早すぎたのかな?」

大浴場とそこの奥にあった露天風呂を楽しんで部屋に戻った私は、シロちゃんにコネクトして源之助を確認している碧に声を掛けた。

シロちゃん経由では源之助に声をかけられないのでオンラインでの通話アプリでも使う方がいいのだが、どうやら源之助はまだタブレットから聞こえてくる声と映像を碧と認めてくれないらしく、暗いタブレットのスクリーンに映った自分の姿には興味津々でタシタシと前足で叩く癖に、碧がタブレットの中から声をかけても警戒して姿を消してしまうのだ。


今まで泊まりがけでの外出が無かったので通話アプリを試していなかった為、ホテルに着いて最初に電話した際にこの問題が初めて発覚して碧は崩れ落ちていた。

帰宅したら通話アプリに慣れさせる特訓の開始だろうなぁ。


「退魔師は男性の方が多いし、こう言う大きな案件に呼ばれる様なハイランクな退魔師は私みたいな例外を除けば大多数は男だから。

急いでかき集めたせいで今回はランクが多少低い女性も呼んだんじゃないかな。

思っていたより沢山いたよ」


シロちゃんとの確認作業が終わったのか(と言うか、チェックインした後に確認しているんだから1時間ちょっとで報告される事なんて殆ど無かっただろう)、応接間っぽいスペースに出て来た碧が応じた。


「うん?

魔力もそれを使う才能も、男女差は無いでしょ?」

少なくとも、黒魔導師時代の人生では魔術学院の生徒の男女比はほぼ同じだった。

成績も、男女で特に違いがあった訳ではない。


「だよねぇ。

ウチの家系図を見ても、才能の発現率も開花した後の能力も男女でそれ程違いはなかったもん。

まあ、他の家系だと昔は出産で死んじゃう女性が多かったから、一族の中で退魔師として大成するのは男が多かったみたいだけど」

碧がローテーブルに置いてあったホテルの案内パンフレットを手に取りながら答える。


成る程。

藤山家は回復術が使える術師が多かったから、出産での死亡率が低かったのか。

他だと才能持ちの一族の血を残すために妊娠・出産が推奨され、どうしても女性が活躍しにくい上に死亡率も高くなり、『女性の方が才能がない』と言う誤解が広まったのかな?


「退魔協会に才能に男女差なんてないって教えてあげないの?」

男どもに微妙に憐れみの籠った目で見下されるのはかなりムカつく。


まあ、受付の側でこちらをバカにした様な目で見ていたオッサンは単に我々が若いから見下しただけで、性別は関係なかった可能性もゼロでは無いが。


「退魔協会に余計な事を教えて更にこき使われる必要も無いじゃん?

協会は京都の陰陽師系の一族ががっちり権力を握っているから、幾ら藤山家が古くて歴史があって白龍さまが強かろうと、組織の中で上り詰めるのは父でも無理だったし、私では更に無理だろうからねぇ。

余計な情報を与えない方が無難でしょ」

碧がパラパラとパンフレットを捲りながら言った。


「あ〜。確かに。

子供製造機プラス働かせて収入源にもなるなんて思わせたらますます碧をゲットしたがりそうだね。

ちなみに碧パパは退魔協会で偉くなろうとしたの?」

ちょっと意外。

そう言う野心がありそうなタイプには見えなかったが。


「と言うか、バカにこき使われたく無かったし、もう少し退魔師全般にとって役に立つ組織になって欲しかったから、お祖父さんが宮司として現役だった頃はそれなりに頑張ったんだって。

お陰で京都の名門から婿として迎えてやっても良いぞって声が掛かったらしいよ」

碧が苦笑した。


結局、古い陰陽師系の一族に取り込まれるのを許容しなければ、あの組織での地位はある程度以上は上がらないと言う事か。


しっかし。

「数少ない氏神様のいる神社の跡取りに、婿入りを勧めてきたの??」


「実家は親父の弟が継げばいい、親父は名門の分家のトップにしてやるって恩着せがましく言われたんだって。向こうとしては有能な血をゲットして、ついでに白龍さまを京都へ奪えれば更に良いと思っていたみたいね」


氏神と呼べるだけの存在の愛し子をちょくちょく生み出す家系の跡継ぎに、分家に婿入りしろって・・・どれだけ上から目線なんだ。


平安時代から頭の中が動いてないのかね??

でも、平安時代だったら氏神と言った超常の存在をもっと敬っただろうから、現代人の傲慢さと古臭い特権意識が悪い感じに合わさっている感じだ。


「・・・真剣にマジで、退魔協会からは距離をキープしておく方が良さげだね」

それとなく推察は出来ていたけど、前世の王族達(クソッタレ)よりはマシだが、退魔協会もあまり良い組織じゃあ無さそうだ。


とは言え、政府のお墨付きがある組織だからなぁ。

ライバル組織を立ち上げても数多とある詐欺集団と混合されそうだし、外圧で自浄効果を期待しようにも旧家の方が政治家とズブズブに仲良しだろうし。


オンラインでグッズの売り上げとか、退魔以外の手段で収益を上げるのがやはり一番良さそうだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ