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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学3年

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性悪説フィルター

「どうも非常に個人的に恨んでいる女性に潰瘍性大腸炎っぽい呪詛を掛けたようですね。

しかも呪詛返しの転嫁が太田さんに行くようにしているので、もしかしたら太田さんの関係者なのかも知れません」

太田氏の奥さん(一応)から手を離し、太田氏と奥さんの父親の方に伝えてみる。


どちらかが心当たりがあると言ってくれないかなぁ。


父親の方が太田さんを意味深な目で見やった。

「ふむ。

もしかして、君の不倫相手じゃないかね?

沙耶香が以前激怒しながらやけ酒をしていた時に、君が愛人をキープしているから自分とお互い様なのに、何を偉そうに裏切られたから離婚するなんて抜かすんだと愚痴を言っていた事がある。

娘は公平で無いとかいう以前に、君に不倫された事を怒っているようだったぞ?」

沙耶香が奥さんの名前なんだろうね。


いや、夫と妻と両方不倫しているなら『お互い様』でやり直そうではなく、さっさと離婚するのが正しい方向性じゃ無い??

そこで離婚を持ち出されて激怒する感覚が理解できん。

お互い様で慰謝料無しに財産分与を公平に半々にしようねって言うならまだしも。


それとも先に太田氏に不倫されたから自分も報復として不倫したのに、全然焼き餅を焼いてもらえずに淡々と離婚を持ち出されて余計怒ったってやつかね?


不倫に不倫で対抗しても結末は離婚しかないっしょ。

と言うか、どちらかが不倫した段階で離婚に踏み切るか、赤の他人のハウスシェア状態になるかしかないんじゃない?

政略結婚で事業や家門の繁栄が目的って言うならまだしも、そうじゃ無い結婚っていうのはお互いに誠実であるという約束が大元の基盤である関係なのだ。


愛情を感じ相手からもそれを求めている関係なら、不倫は謂わば許し難い契約違反であり、不倫をした相手がいくら謝って心を入れ替えるって言われても・・・また裏切るでしょう?

裏切りが許せないなら諦めて離婚するか、単なる同居人へ心理的にランクダウンするべきじゃないかね。


「不倫??

そんな暇は無かったからやっていないのだが・・・一時期執拗に愛人を囲うなんて許さないと責められた事があったな。

まさか、絵里を呪ったのか?!」

太田氏が怒りの声を上げた。


そう、絵里とか言う人っぽいよ〜。


「愛人ではないと?」

太田沙耶香の父親が無表情に尋ねた。


「離婚した私の母親が再婚した相手の連れ子なので、歳の離れた義理の妹と言うところか?

血族的な関係はない相手だが、母に頼まれて知り合いの大学教授の研究室に入れる様に口利きをして、上京した際に部屋を借りる手配をしてやったが・・・義理とは言え母が娘扱いしている妹に手を出すつもりは無いぞ。

沙耶香は愛人だと決めつけて、違うと幾ら説明をしようとしても聞く耳を持たずにヒステリックに物を投げ付けてくるので話にならなかったが。

まさか、本当に絵里を呪っているのか??」

太田氏が『まさか・・・ね?』と言いたげな口ぶりで言いながら携帯を取り出した。


「ちょっと失礼する」

太田氏が出て行った扉を暫く見つめていたが、やがて太田沙耶香の父親は娘の方を見ながら深い溜め息を吐いた。


「義理の家族の世話を愛人の囲い込みと誤解して自ら婚姻関係を壊すとは。

今となっては自業自得としか言いようが無いが、相変わらず思い込みが激しい癖は治らなかったか」

呟いた声は小さかったが、哀しみというよりは失望の色合いが濃かった。


世の中には人を責める方向にばかり物事を見たがる人間もいるからねぇ。

他者を悪役にする事で自分をよく見せたいのか、優位に立てると思うのか知らないけど、何故か悪い噂ばかりを信じる性悪説的な人って高校でも同級生にいたわ〜。


そいつは単に人を貶めるのが好きなだけのゲスで意図的に悪い話ばかりを誇張して広めるのが趣味な人間だと全般的に思われていたけど、以前偶然そういう話をしている時に居合わせて記憶を読んだところ、本人はマジでそう言い悪い噂を心の底から信じてたんだよねぇ。


悪意の有無以前の問題で、マジで噂にある様な悪事を当然に如く信じる精神構造は本当に不思議だった。

悪行の噂はどれだけとんでもないのでも信じるのに、善行は全然信じようとしない。


心の底から悪い噂だけを信じているから、何を言っても『騙されているのねぇ』とバカにする様な薄笑いで同情されて、マジで扱いにくかった。


あれは一種の妄想癖の世界に近かったなぁ。極端な性悪説フィルターが全てに掛かっていて、悪口ならなんでも信じちゃうし善行は絶対に裏があると穿った見方をするので、一緒に居るとこっちまで世界が灰色と黒になりそうで不快だった。


太田沙耶香もそういう人物だったらしい。

誤解で呪詛を掛けまくるって理解を超えるけどね。


バン!

そんな事を考えていたら扉が開いて太田氏が戻ってきた。

「至急、絵里の呪詛返しを依頼したい。

やってくれるだろうか」


退魔協会経由で依頼してくれた方が安心なんだけどなぁ。

まあ、急ぐんだろうね。

呪詛を受けているのは分かっているし、呪詛転嫁もあるから私がやった方が無難かな。


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― 新着の感想 ―
[一言] 情報の選別能力は情報化社会を生き抜く上で必須なんですが なかなか難しいですよね 学校では教えてくれませんし
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