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緊急大規模案件(政治的な意味で)

「はい。

ええ。

・・・平日の泊まりがけ案件は長期休暇以外の時期はお断りしているんですが。

学生なので両親も学業を優先すべきだと言っていますし。

・・・ノルマ2回分ですか。

ちなみに、一応の確認ですが長谷川 凛に個別のノルマは課されませんよね?

彼女は特に何か特権を得ている訳でもありませんし。

・・・分かりました。

では、木曜日の午後に東京駅からですね。

移動と宿泊の手配はお任せしますが、一応事前に確認したいので詳細を明日中に送って下さい。

送って頂けない場合は移動の手配が間に合わなかったと言う理由で我々への要請はキャンセルされたと看做しますので、よろしくお願いします」

碧が不機嫌そうな低い声で電話に応じていた。


学業と言うより、源之助優先というのが真相だろうが、『猫を独りにしたく無いので』というよりは『学業優先』と言う方が通りが良いだろう。

今回はノルマを持ち出されて押し切られた様だが。


「明後日?それとも来週?」

ソファに戻ってきてタブレットに手を伸ばした碧に尋ねる。


「明後日。

凛も来れる?

ダメだったら適当な理由をつけておくけど。

ノルマは藤山家だけだって協会も認めたから、協会側に初心者ランクの凛へ依頼をゴリ押し出来る言い訳はないわ。

凛がこっちに残ってくれた方が源之助が寂しくなくて良さそうだし」

なるほど。

私の予定を確認しないなぁと思っていたら、行かなくても良いと思っていたのか。


と言うか、源之助の事を考えると残った方が良いと思って聞かなかったな?

「予定は大学の授業以外無いけど、どんな案件なの?」


「日本海側にある原子力発電所の安全管理でなんか不備があったってこないだニュースになっていたでしょ?

政府が事態を重く受け止めていますってアピールする為に、与党のお偉いさんが急遽視察に行くことになったんだって」

何やらタブレットで検索しながら碧が答える。

もしかして、原子力発電所に悪霊がいるの???


「霊障と原子力の関係は知らないけど、電気系統を壊されたらやばいじゃん!?」

思わず慌てて体を起こしたら、碧が手をプラプラと振ってみせた。


「いやいや、流石にそんな危険な場所だったら直ぐに退魔師が手配されるわよ。

今回のは、最寄りの新幹線停車駅から発電所への最短ルートのそばにある十何年前に閉鎖された病院。

やばい事をやっていたのか、単に場所が悪かったのか知らないけど、かなり前から悪霊の溜まり場になっている知る人ぞ知る霊障スポットだったんだけど、街の外れだし誰も退魔協会に金を払いたがらなかったからずっと放置されていたんだって。

そしたら昨日になって電力会社の方にそのお偉いさんの秘書から『安全確認は出来ているんだろうね』って電話があったらしくて、大慌てで除霊してくれって依頼が来たわけ。

大きな病院だったから人海作戦で行くしかないって事で片っ端から退魔師を招集しているみたい」


安全確認って・・・ルート上にある霊障スポットの事を本当に意図してたの??

単に抗議デモとかの対策は大丈夫なんだろうねっていう確認だったんじゃないの?

まあ、政治家とか国とズブズブな関係にある業界では空気を読みまくる会話がデフォらしいから、そこら辺は阿吽の呼吸で正しく意志が伝わっている可能性も高いのだろうが。


まあどちらにせよ、報酬は間違いなく払われるんだろうから誤解だろうがなんだろうが関係ないか。


「人海作戦な大型案件なんてそうそう無さそうだから参加してみるよ。

私も数に入っているってことは評価ポイントはちゃんと付くんでしょ?」

初心者ランクの人間を大規模案件に来させるなんて、危険そうで本来なら許されざる事だと思うが。

碧だったら白龍さまがついているから大丈夫だと思われてるのかね?


「うん。

私たちの事務所へ2人分の仕事量をって言ってきたから、凛にもポイントは入る。

まあ、協会側は私が白龍さまに助けてもらって普段の倍働くと思っているんだろうけど。

あ、これがその病院ね」

タブレットを差し出しながら碧が答えた。


なるほど。

ある意味、私は追加料金を払わずに碧に白龍さまのヘルプを求めさせる口実なのか。


ちょっとムカつくが・・・私が一人前の仕事をすれば問題はない。





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