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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学2年

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最後の挨拶に・・・と思ったら

「終わった〜!!」

最後の別館を浄化し終わり、碧が思いっきり伸びをしながら声を上げた。

薄汚れた廃墟モドキな周囲は変わらないが、清浄な空気のお陰でなんかこう、もっとずっと古い遺跡の中を散歩しているような雰囲気だ。


どっかのラノベみたいな感じに機械文明が終わった世界に転移して、遥か昔に滅びた遺跡を歩き回ったらこんな感じになるかなってイメージ?

元いた住民の怒りや恨みがすっかり風化して消え、残るのは『どんな文明だったんだろう?』と言う気軽な好奇心のみな遺跡っぽい雰囲気だ。


ギリシャとかローマとかペルーとかの遺跡に行ったらこんな雰囲気を感じるのかも?

もっとも、今だったらそう言う観光名所に行ったら観光客目当てなスリとかから身を守らなきゃだからそこまで呑気に過ごせないだろうけど。


まあ、そんな想像はさておき。

「ねえ、気が付いた?

大江さん、呪われてるよね」


階段を降りながら碧に声を掛ける。


前回ぐらいからちょっと大江さんの目の下の隈が酷くなってきて、今朝挨拶したら周囲に穢れが漂っていた。

ここで作業しているせいであのリッチもどきに最後の呪いでも掛けられていたのに気付かなかったのかとこっそり確認してみたのだが、呪詛の先が東京の方に続いていたので別件っぽい。


「知り合いだし、もしかしたらこの敷地の悪霊に関係あるかもと思って一応返してみました〜って言うのってどうかな?」

退魔協会を通さずに無料で悪霊を祓ったり呪いを返したりすると睨まれるって話だが、これって大江さんが言わなきゃ分からなくない?

と言うか、大江さん本人は呪われているのに気付いているのかな?

気付いていなければ、私がこっそり勝手に返しても誰も知らないで終わると思うが。

返された呪師や呪った本人は分かるだろうけど。


「ちなみに、返したら相手は死ぬかな?

そこまでキツイ呪いに視えなかったけど、どう思う?」

碧がちょっと首を傾けながら聞き返してきた。


「まだ嫌がらせ程度っぽいから死にはしないんじゃ無いかな?

現時点での呪詛は肉体的に怪我を負わせたり病気にするタイプじゃない感じだね。

継続する呪詛でエスカレート出来るタイプだったらそのうちもっと酷くなるかもだから、考えてみたら返された相手が確実に死ぬぐらいまで待つって言うのも一つの手かも?」

何と言っても金を払って呪師を雇う様な相手だ。呪詛返しをしても加害者が死なない場合、もう一度呪ってくるだけならまだしも、物理的に殺すとか襲撃する為の人間を雇うと言った手段に出られたら大江さんの身に危険が迫る事になる。


呪いってよっぽど強力なのじゃ無い限り即効性は無いから『呪われる可能性がある』って分かっているなら、不調が起きた際に直ぐに退魔協会に呪詛返しを依頼すれば間に合う事が多いのだ。

だが、物理的に襲撃される場合はそんな呑気な事を言ってられない。

ちょっと膝を砕かれる程度だったらまだ碧がこっそり治せるが、殺されたり、襲われて尊厳を犯されたりしたら取り返しがつかない。


「う〜ん、最後の挨拶と注意事項の伝達って事で外へお茶にでも連れ出して、何か心当たりがあるか聞いた方が良いかも?

もう除霊の案件が終わったから、私たちが定期的に様子を見に来て呪詛返しに丁度いい段階になったか判断できる訳でもないし」

外に出たのでちょっと声を低めながら碧が言った。


「もしかして、あのコンテナハウスに盗聴器でも設置されていると思ってるの?」

盗聴器発見に使える魔道具は一応亜空間収納の中から出してはいないから今も持っているけど、もろに素人工作品な見た目なんであまり他人の目の前では使いたく無い。


「嫌がらせタイプの呪詛だったら、どんな感じに効果が出てるか見るために盗聴器どころかウェブカメラみたいので動画通信っぽく中を盗撮して音声と映像をネットにアップロードしていても不思議じゃ無いと思うけど?」

碧が指摘した。


うっわぁ。

確かに、ペット用のウェブカメラで音声付き映像を動きがある時にオンラインで確認できるサービスが手軽に手に入るのだ。

小さめなカメラのを探せば天井にでも隠して設置出来ても不思議はない。


面倒な世の中になったねぇ。

普通のペット用ウェブカメラは家にあるネット環境を使うんだろうけど、SIMカード付きなカメラだったらここからでも動画をネットにアップロードする形で監視カメラっぽく盗み見出来そうだ。


だとしたら、変にこそこそとコンテナハウスで隠しカメラや盗聴器を気にしながら言うよりも、『最後だから』と誘い出す方が良いか。

忙しいって言われる前に意識誘導でさっさと連れ出すかな?



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― 新着の感想 ―
[一言] 呪い+カメラってかなりサイコですね 少しづつ長く苦しませて様子を観賞するって感じで
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