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感動の再会(多分)

「シロちゃん!」

白魔術師系である碧は小さな霊の声を聞くのはそれ程得意ではないのだが、白龍さまがアシストしているのか、問題なくこの犬霊の声は聞こえているようだった。


これで肉体があったら抱きついていたんだろうけど、霊だからね〜。

感動の再会(多分)なんだけど声だけだった。

まあ、シロちゃんらしき霊は特に感動している訳でもなく、のんびりとした感じだが。

『相変わらず元気じゃのう、碧』


「こんにちは、シロちゃん。

碧の友人の凛だよ。

実は、今度碧が子猫を飼うことになってね。

ちょっと子守りと見張り(ガード)をやってくれる存在を探しているところなんだけど、使い魔になって助けてくれないかな?」


使い魔なんて魔術師がほぼ居ない日本では珍しいだろうに、何故かちゃんと意味が伝わるらしくシロちゃんはあっさり頷いた。

『良いぞ。

最近は山田家の孫たちも大きくなって遊びに来ることも減って退屈しておったから、もうそろそろ眠ろうかと思っておったのだが・・・碧が助けがいるなら手伝ってやろう』


流石、犬。

ちょっと上から目線だけど、猫と違って助けよう精神に満ちてる。


これが猫だと何を代償にもらえるかの交渉に始まり、契約範囲内でだけ助ける。

犬は助けてあげられる事で満足して、知り合いなら代価すら聞いてこない事が多い。


まあそれでも、猫はあの自己中さとマイペースさが魅力なんだけどね〜。


「ありがとう、シロちゃん!」

碧がシロちゃんに抱きつこうとして空振りした。


白龍さまが力を貸しているせいでシロちゃんの姿がかなりはっきり見えるので、ついうっかりやってしまった様だ。

・・・ここで笑ったら友情にヒビが入るかな?


「それじゃあ、どんな器にする?

大きなぬいぐるみなり、小さなピンバッジなり、フィギュアなり、色々と選択肢はあるけど。

まあ、ピンバッジは本体ではなく分体に使う方が良いかもね。

そう考えると、源之助を咥えて物理的にやっちゃいけない悪戯から遠ざけられる大きさのぬいぐるみに本体を憑けて、エネルギー切れになった時用に首輪へ分体を組み込んでおく?」

魔力を多めに渡しておけば物理的な体が無くても霊力で猫程度なら動かせるが、物理的な体がある方が子猫の悪戯妨害はしやすそうだ。


大きな本体を動かす為に多めな魔力が必要になるので、必要な総魔力量は大して変わらないだろうが。


『出来ればたまには自分で歩き回って散歩に行きたいのう』

シロちゃんがのんびりと希望を述べる。


「え。

でも、臭いとかはもう分からないし、オシッコも出来ないよ?」

碧が微妙そうに懸念事項を口にする。


『構わん。

どうせ今更ナワバリを主張しても意味がないし、最近は折角ナワバリを主張しても飼い主に洗い流されているようだしの』

シロちゃんが答えた。


ほう。

碧が中学生になる前ぐらいに死んだとしたら、その頃はまだオシッコをペットボトルで洗い流す習慣は流行っていなかったと思うが・・・それなりに世の中の動きは見てきた様だ。


「散歩に行くなら、本体そのものは認識阻害で誤魔化せるけど歩き回るとそれなりに汚れると思うんで、洗濯可能なぬいぐるみ一択かな?

ちなみに魔力を余分に注ぎ込めば嗅覚っぽい能力も復元出来るよ。

タブレットで適当に探して選んだら?

数日ぐらいはそのままでも大丈夫でしょう?」

元々いた場所から離れると弱って離散してしまう霊もいるが、白龍さまが補強しているっぽいシロちゃんなら大丈夫だろう。


『うむ。

そうじゃの』

シロちゃんが頷く。


『あ、私がタブレットを操作してあげるにゃん!』

タッチペンを持ったクルミの本体が現れた。

どうやら好奇心を我慢が出来なくなって飛び出してきた様だ。


まあ、源之助の映像は分体から私に流れ続けているし、碧もシロちゃんに気を取られて源之助の一挙一動を見守るのをやめたので良いけど。

でも、タブレットを動かすのは使い魔の主人になる碧がやるべきじゃ無いかなぁ。


「あ、こちらクルミね。

私の使い魔」

一応シロちゃんに紹介しておく。


『よろしくにゃん!

後で隣のオバサンにも紹介してあげるにゃん!』

クルミが張り切って言った。


「オバサン・・・?」

碧が首を傾げる。左隣は中年男性の一人暮らし、右隣はOLなので誰のことかと思ったのだろう。


「隣の犬の霊のことじゃ無い?」

『オバサン』という年齢の犬だったとは知らなかったが。

何で死んだんだろ?

病気かね?

まあ、犬の方が猫よりも早く死ぬと聞くから、お爺さんやお婆さんになる前に死ぬのかも?


とは言え、寿命が元々短いなら死んだ段階で『高齢』という気もするが。


それはさておき。

近所に犬の霊が来たことで隣の犬の霊が荒ぶって自己主張する様な事になったら申し訳ないから、仲良くなれそうか、事前に確認しておくのは良い事だろう。


まあ、クルミとそれなりに仲良くしてくれるオバサン犬と、このおっとり爺さん犬だったら喧嘩はしないと思うが。

霊になると犬のテリトリー意識も大分と弱まるみたいなんだよねぇ。

シロちゃんのテリトリーは基本的にウチの中になるし。


まあ、霊でも友達が増えるのは良い事だ。仲良くやってくれる事を期待しよう。





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