表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
大学2年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

736/1415

ドヤ顔

「最初は気にせいだと思っていたんです。

結婚式の準備で少し神経質になっているのかなって」


依頼主の家に行って紹介された娘さん(亜弥さん)は一見ちょっと地味目な女性で、婚約者(東谷氏)はすっきり整った顔の線が細い美青年系だったが、どちらも相手のことを大切にしている様子だったし、こっそり隠密型クルミに背中に触れさせて確認したがどちらも後ろめたい隠し事は無かった。


亜弥さんはメイクをすれば美人に化ける『端正だけど薄い系』の顔だから、普段は今みたいな地味っぽい顔をしているんだったら東谷氏と結婚するとなると『自分の方が相応しい』とか言い出す女性が出て来るかも?


とは言え、そう言う人の結婚相手に口出しをする様な図々しい人間は、相手が文句の付けようがない美女だったとしても知性がどうだこうだとか、家の繋がりがなんだかんだとか、あれだけ美人なんだから男関係が派手に違いないとか、何かしら言いがかりをつけてくるか。


ある意味、東谷氏の見た目が悪くならない限り騒音は消えない。

しかも東谷氏の見た目が悪かったら今度は『可哀想に、あんな不細工な人しか捕まえられなかったなんて』ってマウントを取ってきそうだから、要はそんな女と関係を持たないのが一番だろう。


実際にそんな知人がいるかは知らないけど。



「だけどそのうち、私の方でも亜弥の事を話していると物が落ちたり、コップが倒れたり変な音がしたりする様になって。

家族に聞いたらそう言えばそんな事が起きているかもって言われて、亜弥の家族とも相談したんです」

東谷氏が続けた。


東谷氏の実家は普通のサラリーマン家庭で退魔師とも縁がなく、今回の事件で初めて悪霊とかが実在すると知ったらしい。

まあ、祖父母とか曽祖父母とかの世代まで遡れば普通に霊の実在を信じていたんだろうけどね。


亜弥さんの家系はそれなりに旧家で退魔師の血が入ったこともあるらしくて退魔協会との繋がりもあったので、異常が発覚して相談を受けたら即座に退魔協会へ依頼を出した。


退魔師の存在を知っているならもっと早い段階で何とかすれば良いのにと思ったが、亜弥さん本人は油絵を描くのに情熱を注ぐ人らしく、そう言う話は全てスルーしていたし、実家を離れていてあまり会っていなかったので気付かなかったらしい。


話を一通り聞いたところで、目を閉じて周囲を探る。

悪霊は居ないのは既に確認しているが・・・さっきからずっと部屋から出て行かない雀の霊が窓辺にいる。

あれかね?


「ちょっと結婚式のプランについて適当に話し合いをしていただけます?」

亜弥さん達に頼む。


悪霊ならまだしも、普通の動物霊はそこら辺中にいるし自由気ままに動き回っているから、見ただけでは悪さをしている犯人かなんて分からないんだよね。


結婚式って色々と話し合わなければいけない点が多いらしいのだが、異音のせいで遅れていたそうで私がお願いしたら早速何やら資料を取り出して二人が相談を始めた。


『ウェディング』と言う言葉が出てきたところで雀の霊が顔を上げ、飛び跳ね始めた。

霊が飛び跳ねても特にそれ程音がするとは限らないのだが、一生懸命に羽をバタつかせたら音が出始めて、飛び上がった雀霊が側にあった小物に体当たりを喰らわせたらそれが倒れた。


「きゃぁ!」

亜弥さんが驚いて声をあげ、東谷氏の手を掴む。


「あ、大丈夫です。

ちょっとした悪戯程度なので害意はありませんから」

そっと雀霊の方に近寄って捕まえようとしたのだが・・・ヒョイっと飛んで避けられてしまった。


虫取り網でもあれば捕まえやすそうだけど、霊は虫取り網じゃあ捕獲出来ないからねぇ。

動き回る雀サイズの生き物(生きてないけど)を手で捕まえようとするのは中々難しい。


しかも依頼主の家・・・と言うか屋敷の応接間なのでそれなりに高級そうな家具や花瓶やその他諸々が品良く置かれているので、うっかり力一杯動いて躓いたりして何かを壊したらヤバいと思うと動きも鈍ってしまう。


霊が見えている碧と一緒に暫く追いかけ回したが、中々捕まらない。

この際、魔力で攻撃して弱らすか?!と考え始めたところで、突然白龍さまが雀霊の横に現れ、パクリと霊を咥え込んでしまった。


「「「「え?!」」」」


碧と私だけでなく、亜弥さんと東谷氏にも視えていたのか、驚きの声が重なった。


ヒョイっと白龍さまがこちらにジャンプしてくる。

『ほら、早う手を出さんか』


慌てて両手を出したらそこに硬直している雀霊がぺっと吐き出されたので、急いで手を閉めて雀霊を閉じ込める。


「ありがとうございます」


『うむ。

どうと言うことは無い』

白龍さまってドヤ顔も似合うのね〜。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ