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転生しても、現代社会じゃ魔法は要らない子?!  作者: 極楽とんぼ
初めての依頼

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異常な成功率

「じゃあ、ちゃんと退魔協会の依頼として報酬は頂けるんですね?

事前調査をスキップしたと聞いたので、もしかして非正規の依頼を知らぬ間に受けていたのかと心配していたんです」

動画通話のアプリで碧が退魔協会の職員に確認する。


結局、水城シニアは裏を吐いた。

どうも、彼は基本的に人生の殆どを女を誑し込むことで特別扱いをして貰って過ごしてきた人間らしい。


旅行会社の社員と懇ろになって団体客を回して貰ったり、町内会の会長の妻に手を出して町の観光マップに大きく載せてもらったり、果てには銀行の支店長の娘と結婚して宿のリフォーム用ローンを格安な利率で承認して貰ったり。


ひたすら女を利用して生きてきた男だった。

『親父や祖父じいさんと違ってちゃんと避妊をしていたから子供を堕ろさせた事は無い』と自慢げに言っていたが・・・悪霊が活性化したのだ。

恨みを買う様な女の捨て方をしたのだろう。


誰も殺してはいない様だったが、自殺したのはいてもおかしくない雰囲気だった。


退魔協会の職員も誑し込んだ女の一人だった。

しかも、それだけでなく割安料金になるからと退魔協会にまだ正規登録していないが陰陽師の家系出身で一族の元で訓練中の女子大生を紹介されて、その子にまで手を出したらしい。


水城家の男と関係を持ったばかりの若い女が退魔に現れたのだ。

悪霊が怒り狂って暴走するのも不思議はない。


つうか、その女子大生も自分の親と同じぐらいの年齢の男と関係なんぞ持つなよ〜。

思わずげっそりする様な話だった。


碧に電話してきた退魔協会の職員は水城シニアが誑し込んだ女の一人だった事が確定したので、裏山の石碑とやらに行く前にまず退魔協会の通話アプリで依頼部門の課長を呼び出し、本当にこの依頼が存在するのかを確認する事にした。


その結果、どうやら問題の職員は水城シニアへの経済的負担を減らす為に『発見報告』待ちの女性を紹介し、そちらが問題を起こしたので今度は事前調査は自分がした事にして碧へ依頼を回した事が判明。


一応依頼そのものは正規手続きで登録されていた。


「碧って白龍さま付きなんだから高いんじゃないの?」

依頼の流れについての確認が終わった碧に尋ねる。


「白龍さまをリクエストしたら特別料金だけど、そうじゃなければ私はまだそれ程案件を受けてない新米に毛が生えた程度のランクだから安上がりかな?

調査していないから流石に本当の新米を送り込むのは心配だったんじゃないの?」

肩を竦めながら碧が答える。


「何それ。

調査していないのに、新米に毛が生えた程度のランクで大丈夫な筈、白龍さまの助けが必要になったらそれは碧と私が未熟なのが悪いんだから追加料金は無しってこと?」

思わず聞き直す。


私と碧で解決出来ない案件なんてあまり無いとは思うが、退魔協会は報酬ランクより明らかに難易度が高い案件も押し付けるつもりなの??


「普段はちゃんと事前調査があるからそう云うのを露骨に確信犯的にやる事はないんだけど、今回はそうみたいねぇ」

ため息を吐きながら碧が応じる。


退魔協会マジむかつくんだけど〜。

とは言え、代替組織を作るつもりも無いから下手に潰せない。

出来るだけ距離を置くしかないのかな?


まあ、それはさておき。

「何かさぁ、水城家の男って魅了系の才能でも持っているんじゃない?

ちょっと異常な程の誘惑成功率だよね」

退魔協会の職員がそんな怪しげなロジックで動くなんてちょっと信じがたい。

退魔協会の利益の為ならなんでもやりそうだが、温泉宿のオーナーの為にバレたらクビになりかねない不正をするなんて異常だ。


しかも、水城シニアと職員はそれ程しょっちゅう会っている訳でもないと言う。


「そう云うのって調べて封印出来ないの?」

碧がワクワクした様に聞いてきた。


「ちょっと時間が掛かるし、本人の協力・・・少なくとも抵抗されない事が必要だけど、出来るかな?

今世では試した事が無いから絶対とは言え無いけど。

こっちの技術ではどうなの?」

普通に退魔師としての技術が継承されてきたのなら、魅了系とかのちょっと普通と違った才能に関する情報だって残っていそうなものだが。


「全国メディアで報道される様な大問題を引き起こしたり、政治家や大企業のトップに睨まれるような事をやったりしたら退魔協会に依頼が出て調査と封印がされる事もあるらしいけど、田舎町で女を食い物にする程度じゃあ協会は重い腰を上げたりしないね〜。

それなりに特殊な技術が必要だって話だし」


なる程。

金にならなければ協会は見なかったふりをするのか。

精々誘惑された職員を降格させる程度なのかな。


「よし!

ちゃんと報酬も出る様だし、霊障の解除の一環って言いくるめて才能を調べて封印しよう!」

ついでに誰か、水城シニアを恨んでいる人間に彼を見張らせよう。

今まで女を簡単に食い物にしてきた男が急にその能力を失うのだ。

直ぐに問題行動を起こすに違いない。


そうなったら世俗の権力に彼を罰して貰える。

風評被害で水城氏や娘さんも大変かもだが、長期的な目で見たらシニアが居なくなる方がプラスだろう。

頑張れ!




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