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自業自得ととばっちり

水城氏の義理の父親に会うことになり、準備が必要だからとの事で16時に会う約束をした後はふらふらと温泉宿の中を歩き回った。


霊障で寒気がするせいか、やはり客の姿が少ない。


温泉街の他の温泉にも入れるのでいざとなればここ以外の温泉に入りに行けばいいだろうが、寝るのはここになるとすると・・・折角温泉で体を温めても寝る時はゾクゾク寒気がするなんて、なんとも勿体無い。


ある意味、明日の団体客とやらの前に問題を解決しないと、悪評がネットで拡散して潰れちゃうんじゃないかね?

最近の宿泊業は外国人観光客を呼び込めるような特色がある場所以外は厳しいらしいし。

ある意味、『霊障の経験できる温泉宿』と言うのも売りになる特徴かも知れないけど、流石にそれは捨て身過ぎるだろう。


「クルミちゃんから何か情報あった?」

庭に出たところで碧が低い声で聞いてくる。


『ずっと昔に、この宿の主人に弄ばれて身体を捧げ、邪魔だからと赤子まで堕したのに最後に庄屋の娘を娶る為に殺された娘が怨霊になっていたらしいですにゃ。

代々女を弄ぶ男が多かったらしくて他の死んだ娘や赤子の怨霊が合体して強力になってきて、霊障も無視できないレベルになって主人の命を脅かすようになったから退魔師が呼ばれたにょだけど、どうもその人は赤子の魂を消すのが忍びなくて眠らせてゆっくり浄化させる様にしたらしいですにゃ。

それがここの主人の行動のせいでまた悪い方に復活した・・・みたい?』

ちょうど戻ってきたクルミが報告を始めた。


なんかとっても昼ドラっぽい生々しい話になってきたぞ。

クルミにはいまいち話が分からなかったのか、情報を伝えてくれたものの微妙に疑問符付きだったが。


「う〜ん。

どうも、水城氏の義理の父親の家系は代々女を弄んで、邪魔になったら殺すようなロクデナシが多かったみたい?

お陰でそこそこの数の水子霊や殺された女の怨霊が発生して、いつの間にか合体して人間を呪い殺せそうなレベルまでパワーアップしちゃったから退魔協会に依頼がいったみたいね」

つうか、先祖代々やってるってことは、弄ばれた女や堕ろされた赤子が怨霊化したのって50年前が初めてじゃないんじゃない?


「なんか、一気にやる気が萎えるね。

そんな案件を女子大生に押し付けないで欲しいぃ・・・」

眉を顰めながら碧がため息を吐く。


「50年前の退魔師も似たようなことを感じたのか、霊を消し去るんじゃなくって眠らせて封じた間に徐々に浄化させる事にしたみたいなんだけど・・・今回の義理の父親もロクデナシなのか、何かやらかして悪霊を活性化させちゃったみたいね。

で、慌てて適当な退魔師に依頼を出して、そいつが除霊に失敗して一気に霊がパワーアップして霊障が悪化したみたい?」

女を食い物にして、赤子を堕ろさせるような野郎は祟られて死んでしまえばいいのだ。


黒魔導師時代も、『絶対に死んだ方が世のためになる』と思うような王族を何人も見た。

残念ながら悪霊が発生してもロクデナシどもを祟り殺せる前に私が除霊を命じられてしまったのでどうにもならなかったが。


一応、種無しになるような呪いがついていた場合は聞かれない限り気付かぬフリをして放置したけどね。

と言うか、ロクデナシどもを怨んで現れた悪霊達には、いつも目に入ったら真っ先に不能と精子根絶の呪いを勧めていた。

その呪いで満足して消えてくれれば、本人が呪われている事に気付かずに私へ除霊の命令が出ないこともあったし。


まあ、ロクデナシな遺伝子というのは優勢遺伝子なのか、王族にロクデナシが多すぎて焼け石に水だったが。


「なんで水城氏の奥さんまで霊障被害に遭ってるんだろ?」

碧が少し首を傾げる。


「義理の父親が浮気相手に子供を堕ろさせたとしたら、無事に生まれて愛された娘にも八つ当たりしたくなるんじゃ無いの?

悪霊の八つ当たりは理不尽な事も多いから。

残念ながら、娘さんだけ救ってロクデナシな父親は呪い殺されるまで放置という訳にはいかないから、悪霊達は全部除霊するしか無いね」


30歳ぐらいに見える水城氏の義理の父親なのだ。

もういい年だろうから種無しにしたところでなんとも思わないだろう。

でも、奥さん以外の女性に性的な下心ありで触ったら全身に蕁麻疹が出るようにでもしてやろう。


・・・流石に、50代ぐらいの男だとしたら悪霊に呪い殺されそうになった後で、後遺症が残ったからって退魔協会に苦情を言ったりはしないよね??



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