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ここに居るの?!

「あ!?」

担当区画を浄化していた碧が突然驚きの声を上げた。


「・・・何か返した??」

横で見ていて次の区画に向かう途中だった私も、思わず足を止めて恐る恐る尋ねる。

今散った黒い何かって呪詛の残骸だった気がする。


「だと思う。

でもまあ、そんなに強く無かったから多分極端に悪影響は無いと・・・思いたいな」

碧が溜め息を吐いた。


川辺を埋め立てただけの場所に、呪いがあるなんて普通は思わないよねぇ。

地面に呪いを埋めるなんて、意味がわからない。

碧が浄化したら自動的に返ってしまったので、誰が何を目的で掛けた呪詛かも分からないし。


一応私も浄化する前に呪詛が埋まってないか確認した方が良いかな?

まあ、誰かがこの施設に呪詛を仕掛けたんだったらそれが返されても自業自得だからそれ程気を使う必要は無いけど。

単なる好奇心の問題だね。


そんな事を考えつつ、歩数を計って次の区画の区切りの印を付ける。

範囲を区切り、穢れを把握して清めようとして・・・一時停止した。

うわぁ。

自然発生的な呪詛だ。

何か・・・猫かな?を虐め殺した際の悪意が呪詛になったものだが、特に条件は無いっぽい。


うへぇ。

ここが小学校の側の森っぽい空き地だった時に、残酷な遊びをした子供がいた様だ。


呪い殺す生贄っぽく猫を殺したが単なるマンガの真似みたいな見様見真似な行為だったし、特定の誰かを恨んでいた訳ではなかったので呪詛として誰かに向けて放たれる事もなかったようだが、『触れた相手に災いを齎せば良いのに』という悪意が殺された猫の苦しみと恨みで呪詛になっている。


「なんか、この地域って昔に連続殺人鬼の卵がいたみたい」

動きが止まった私の様子を確認しに来た碧に、呪詛から読み取った情報を伝える。


「殺人鬼?」


「猫を虐待して殺しまくった子供がいたっぽい。

しかも人間も嫌いみたいで、悪意と猫の苦しみと死が自然発生的な呪詛になったみたい。

多分それなりに小動物を殺しまくって幾つか呪詛を作り上げてたんじゃ無いかな」

さっきに碧が祓ったのも制作者は同じだろう。


そうそう連続殺人鬼の卵が同じ地区に何人も居たとは思いたく無い。


「呪詛って自然発生するんだ??」

碧が驚いた様に尋ねる。


「ある意味、標的設定していない蠱毒みたいな感じ?

触れた人間が苦しんで不幸になれば良いって感じの悪意が呪詛になって残っていたみたい。

もしかしたら慰霊碑が呪詛の発生を遅らせたか・・・もしくは呪詛が慰霊碑で鎮められていた霊の悪霊化を促したか。何か関連があったかも知れないけど、今となってはよく分からないね」

意図して行われた儀式とかではないから、読み解くのはほぼ不可能だ。


読み解いても報告する相手がいる訳でもないし。


「それって浄化したら呪詛返しが起きるよね?」

碧が少し首を傾げながら聞いてきた。


「多分ね。

それなりに古い感じだから、やった人間が今でも生きているかは知らないけど。

一応追ってみるね」

近くにいるなら連続殺人犯なんかになっていないか、確認した方が良いかもだし。


最低でも二つ分の呪詛返しを喰らう事になるんだから、体調不良で暫く悪事を出来なくなるだろうけど、誰か殺しているなら死者を見つけて遺族に返す必要があるかもだし。


まあ、すぐ側に居るんじゃない限り本人の特定はほぼ無理だとは思うけどね。


そう思いながら呪詛の返しを追跡できる様に準備してから浄化の術を掛けたら・・・意外な事に返された呪詛はかなり近くで大元の人間に戻った。


「マジ??

なんかすぐ側に返ったんだけど・・・」


「えぇ〜。

もしかして、その猫とかを虐め殺して呪詛が自然発生しちゃう様な人が高齢者用施設の近所にいるの?」

碧が嫌そうな顔をした。


「・・・というか、この高齢者用施設にいるっぽい?」

距離的に、敷地内だ。

偶々偶然ここに何かの納品で来てるとかって言うのじゃない限り、ここの入居者か、スタッフと言う事になる。


連続殺人鬼が介護スタッフとして働いている高齢者施設って怖すぎるんだけど。

入居者だったらまだマシかね?


取り敢えず。

敷地を全部浄化したら、施設の方で誰かが体調を崩していないか聞いてみよう。




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