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人の役には立ちたいけど

「なんかさぁ、嫌な人が来なくなる様なお守りって作れないのかな?

ウザいおっさん避けだけでなくって、ストーカー避けとか苛めっ子避けとかパワハラ親父避けとかも作れたら凄く有り難られると思うんだけど」

佳さんのところで温泉をたっぷり満喫し、お礼代わりにお守りを幾つか置いてきたらかなり喜ばれたのが印象深かったのか、聖域で雑草を袋に詰め込みながら碧が言い出した。


「あ〜、確かに凄く有り難られそうだよねぇ。

でも私がその場にいるなら意識誘導は簡単だけど、お守りに効果を付けるのは難しいかなぁ。

苛めっ子避けなら認識阻害の緩いので少しはマシになるかもだけど、聖域の雑草を動力源にした程度のお守りでガチで探している人を誤魔化せる程の効果は難しいからねぇ」

と言うか、そこまで効果をつけちゃったら万引きとかやり放題になっちゃうから、不味いし。


防犯カメラに写っているのに万引きしている人を見えないなんて、怪しすぎる。

そうじゃなくても店員さんが不注意だって事で怒られそうだし。


「確かに聖域の話を聞いて押しかける人に認識阻害の術はあまり意味ないよねぇ。

流石にウチの実家を見つけられなくなる様なお守りを親に渡す訳にもいかないし」

碧が溜め息を吐きながら頷く。


「直接会うなら色々と意識誘導できるんだけど、お守りに何かに対する執着心を薄めさせる効果は無理かなぁ」

執着心をこそぎ落として浄化出来るようなお守りが出来たら、凄く有用だとは思うんだけどね。

残念ながら、そんな都合のいい魔法陣は知らない。


悪霊相手なら霊のエネルギーを削ぐような感じで対応できなくもないけど、生きている人間はちょっとやそっとの疲労なんぞ休んで食事を食べれば元に戻っちゃうんだよね。


「こう、人の迷惑になるような行動をしたくなくなる様な・・・羞恥心とか良識を増大させるような魔法陣って無いの?」

満杯になったビニール袋の口を結びながら碧が提案する。


「そんな魔道具があったらめっちゃ世の為になるよねぇ。

良識を増大する術なんて、あったらマジで使いたい。

それこそ国会議事堂に国会期間中だけでも常時発動させたい!」

まあ、政治家の連中ってめっちゃ自己中で面の皮が厚いみたいだから、ちょっとやそっとの術じゃあ効果はなさそうだけど。


一応名目上は民衆に選ばれる現代の政治家はまだしも、前世の階級社会なんかではマジで権力層にいる人間の良識が民の命を左右したからなぁ。

良識を増大させるような術が可能だったら、どっかの神殿やハグレ魔術師の誰かが長い歴史の中で完成させていると思うから・・・無理なんだろうなぁ。


『良識』なんて漠然としたモノって魔法陣の中に定義のしようが無い気がする。


「じゃあ、こう・・・粘着している相手の人の痛みや忌避感を共有させるような術って出来ないかな?」

碧が提案する。


「強い感情を共鳴させて感知させるようにするのは可能・・・かも?

でも、感知したのを共感するか否かは微妙だからなぁ。

繊細な人だったら共感すると思うんだけど、ストーカーとかパワハラ系の人間は他人の感じる恐怖や絶望感を他人のモノだと認識して、却って喜んで更にそう言う感情を引き出そうとしそうな気がする」

まあ、他人の感情なんぞ感じたら気が狂ったかと思って離れる可能性もあるけど。


「なら、相手に自分に関する事で考えていた企みを一時的に忘れさせる様な術って無いの?」

碧が提案する。


「う〜ん、そう言う術って相手が目の前に居たら、別な嫌がらせを思いついちゃうから意味ないじゃん?

遠距離で、相手が自分の事を考えたら自動的に忘れる様にするって作用が可能だったら十分有用なんだけどねぇ。でも離れた所に居る不特定多数の人間が自分の事を悪意を持って考えたら自動的にそれを忘れる様にさせるなんて、めっちゃ出力が高くなるから無理だね。

まだストーカー一人に直接会って、被害者の事を思い浮かばない様に条件付けするだけだったら可能なんだけど」

そう考えると、ストーカー被害に遭っていて警察じゃあ足りないような状況にいる人を助ける様なサービスなら可能かも。


碧のカリスマ祈祷師じゃないけど、何か助っ人サービスみたいので何日か掛けて祈祷したらストーカーを暫く追い払えますって副業なら可能かな?

とは言え、ストーカーは下手をしたら命に関わるから、安易に始めて何か失敗があったら取り返しがつかない。


本人が被害者を思い出さない様に条件付けても、ストーカーの周囲の人間が唆しているようなケースだと外部的要因で思い出すことが増えるせいで術の有効期間が想定外に短くなる可能性もあるしなぁ。


顧客がアイドルとか芸能人だったりしたら更に難しいし。


妊婦の足の浮腫みを解消できる碧と違い、やっぱ黒魔術って汎用性がイマイチだなぁ・・・。



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