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ちょっと想定外な展開

『父の資料を探して全部破棄したいので、協力して頂けますか?』

香奈さんに教えた連絡先に、ある日チャットが入っていた。


結局、あの呪詛返しの依頼の後、父親側の呪詛返しの依頼が来なかったのでどうなったのかなぁと思っていたらこれである。


「どこにある、何の資料?」

碧が確認に電話した。

流石に娘の依頼だとしても事業家の書斎や職場に忍び込んで資料探し・破棄はヤバいでしょ。


が。

『父が先日亡くなりました。

幸いにも相続権を主張できる親族は私以外生き残って居ないので、ある意味楽なんですが・・・この機会に、父が持っていたであろう怪しい儀式とかの資料を絶対に後世に残さない様に全部見つけて焼却しちゃいたいんです。

でも、どこに何があるか分からないし、資料を見てそれだと分かる自信もないので・・・助けて頂けますか?』

前回依頼で会った時よりは顔色が良いものの、疲れた感じの香奈さんがチャットアプリの通話画面に出てきた。


え??

死んだの??!

・・・思ったより早かったね。


点滴を打ったり色んな薬で熱を下げたり出来る現代では、呪詛で死ぬのってそれなりに時間が掛かると思っていたんだけど。


「え〜と、ヤバげな呪詛関連の資料を全部焼却するのは大賛成だけど、どんな感じにお父さんが亡くなったのか、聞いても良い?」

碧がちょっと躊躇しながら尋ねた。


『高熱が出てフラフラしていたのに、仕事があるって出掛けて階段で躓いて転げ落ちて首の骨を折ってほぼ即死だったそうです。

私はまだ祖父母の家でどうやって父から逃れられるか相談をしていた段階で、縁切りっぽい事もしていなかったので普通に相続人になり、祖父の知り合いの弁護士を雇って相続関連の手続きをして貰っているんですが・・・呪詛関連の資料なんて、誰かがうっかり手にしたら危ないかと思って急いで家に帰って書斎を調べたんですが何も見つからないんです』


熱じゃなくって不運な事故で死亡かぁ。

高熱でフラフラしていたせいで躓いた時にバランスを戻せなかったんかな。

首の骨まで折れたのは不運の呪いのせいかね?

そこまで強力な呪いでは無かったから、単にマジで運が悪かっただけかも。


階段から転げ落ちて死ぬなんて、本当にあるんだねぇ。

ヴィクトリア朝風な歴史小説とか、ラノベの乙女ゲーム系の話で階段の上から突き飛ばすって話が出る程度で、実際に階段から落ちて死ぬ人がいるなんて思わなかったわ。


まあ、考えてみたら親族を殆ど死滅させるぐらい呪詛を身代わりさせた(多分)のに、先日の時点で3件も呪詛を掛けられていた程に恨まれていたのだ。

呪詛ではなく、自殺して祟り殺してやろうと周囲を彷徨いていた悪霊もそれなりに居たのかな?

躓いた際に悪霊がグッと一押ししたんだったら勢いがついて首の骨が折れても不思議は無いのかもね。


とは言え、今時エレベーターやエスカレーターの方が多くてそうそう階段なんてないと思うけど。

自宅の階段で死んだのかな?

まあ、執事やその他の召使がいるから腐乱死体になるまで放置って事もないし、家で死ねたのだったらラッキーなのかも。


そんな事を考えていたら碧がチラッとこちらをみたので、頷いておく。


「分かったわ、協力する。

呪詛関連の資料は全て私たちが見ている目の前で庭で焼却、その他にも退魔師関連の資料があった場合は依頼費の代わりにこちらで貰っちゃってもいい?」

碧がちょっと意外な提案をした。


そっか、今回は退魔協会経由の契約じゃないから依頼費を考えなきゃいけないのか。

退魔協会に危険な呪詛関連の情報が流れるのは避けたいし、下手にお金のやり取りがあると後で面倒かも知れないから、旧家にある術関連に資料でヤバくなさげなのがあったら貰うって言うんで丁度良いかも。


時間的にどのくらい掛かるか不明だが・・・まあ、善意の協力だったら非常識に長く掛かる場合は再交渉しても良いしね。


『はい、それで宜しいならお願いします』

あっさり合意された、

お祖父さんとかに相談しなくて良いのかね?

もしかして、まだ呪詛とかの話をしてないのかな?


家探し技能なんてあまり自信がないから、父親の霊を召喚するかな。

娘の依頼だったら合法だし。

ついでにそこら辺のやり取りと召喚の様子を録画してみよう。

霊が携帯のカメラに記録できるのか、ちょっと気になるし。




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