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更に厳しい見通し

鳥居の修理だって安くは無い。

とは言え、呑気に話し合っていたら万が一、境界門の向こうで行方不明になった人達が生きている場合に死んでしまうかも知れない。


取り敢えず今日の夜まで話合わせて欲しいと言われ、私達は近くのテントで足止めを食らうことになった。


「そう言えば、白龍さまでも境界門を見て向こう側がどうなっているかは分かりませんか?」

あまり飲むとトイレが近くなってしまうので、ゆっくりちびちびとお茶を飲みながら話していたら碧が白龍さまに尋ねた。


『感知系はあまり得意では無いのでの。

知り合いにそう言うのが出来るのもいるが』

白龍さまが答える。


だろうねぇ。

龍は存在が大き過ぎて色々と大雑把になる系でしょ。


白龍さまの知り合いで感知系が強い幻獣が何か、気になる所だけど。それこそマジもんの神族かも?

神族って前世も通して見た事ないから、いつか白龍さまのところに遊びにきているのを見れると良いなぁ。

神様ってお気に入り以外の人間なんぞ蟻と同じ扱いで、悪意なしにうっかり踏み潰しかねないって話だったから見るだけで近付かないけど。


「そう言えば、繋がった世界の魔素の濃度が違うと境界門を通りにくいって伝説で聞いた気がするんですが、本当ですか?」

あっさり行き来出来るなら北海道のフェンリルだって苦労しなかっただろう。


『常設型の境界門だったら魔素の濃度の違いを自力で克服せねばならんから、人や平均的な魔物や幻獣ではこの世界に繋がった境界門は大抵の世界なら通りにくいじゃろうの。

とは言え、門の開き方次第ではこちらから魔素の濃い世界へでも落ちる事もあるのが不思議なところじゃが』


あれ?

「魔素が薄い方になら行けると言う訳では無いのですか?」

しかも考えてみたら、ここよりも更に魔素が薄い世界って世界の回復力が弱過ぎて火星みたいな不毛な砂漠の地になりやすいって話だったよね?


だとしたら食料や水どころか酸素もなかったり?

気温だって砂漠地帯って寒暖の差がめっちゃ激しいらしいし。


『常設型な境界門だったら同等か少ない魔素の世界への方が繋ぎやすいが、偶然の産物で開く境界門はちょっとした水脈みたいな感じでの。

一方向への偏向的な力が働いていることが多く、魔素の濃度の違いに関係なく通った門を戻ろうとしてもそれなりに魔力が必要になる。

場合によっては向こうからこちらへ新しく臨時に境界門を開く方が楽な場合もあるの』


うわ〜。

白龍さまでも大変だと感じるほどの偏向性な力ってどんだけ??


「ちなみに同程度の魔素の世界だったら私や碧でも境界門を開けるのでしょうか?」

新しく開く方が楽ってどの程度なのか気になって、聞いてみた。


『う〜む、まあ、開けなくは無いかもじゃが、足りない魔力分は寿命を削ってやる事になるから・・・餓死が不可避な状況でも無い限り、やらん方がいいの』


おやま。

考えてみたら、境界門を開くのって時空系の魔術の一種なのかな?

碧に適性はないと思うけど、出来なくはないって事は違うの?


どちらにせよ寿命がガッツリ減るからやめとけって話みたいだからやらないけど。


「え、命懸けだったら私でも出来るんですか?」

碧が意外そうに聞き返した。


『完全に無作為な穴を開けるだけなら、多分?

世界を選んでと言うのは無理じゃろうの。

まあ、お主がうっかり境界門に落ちたら探しに行くので根気良く待っておれ。

とは言え、時間が掛かる可能性もあるから境界門を見掛けても飛び込んだりしないでくれ』

白龍さまが応じる。


なるほど、無作為な穴ですかぁ。

それは『開く』と言うのとちょっと違うと思うなぁ。

とは言え、確かに無数にあると言う他の世界を感知できないんだから、行く先を選んで世界の境界を突き破って異世界に繋げられる訳はないか。


そう考えると、境界門に落ちたらかなり絶望的だねぇ。

「ちなみに偏向性が強い境界門を戻るのに必要な魔力はどの程度になりますか?」


『そこは境界門によるとしか言えんの。

まあ、帰るだけだったら無理やり体を突っ込んでみて、入るなら通れると言う事だから試してみるしかないの。

とは言え、境界門が普通に地面の上に開くとは限らないから、どうしても通りたくなったら先に我が通って様子を見てからにした方が良いが』

白龍さまが言った。


「うわぁ。

門の向こうが空の上とか海の中とか溶岩の中って事もあり得るの??」

碧がぞっとしたように呟く。


うへぇ。

海の中だったりしたら、死んでるのは当然だけど死体もどっかに流れていってるね。

溶岩の中だったら死体そのものも無くなってるだろうし。


・・・白龍さまって溶岩の中でも大丈夫なの??



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