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門の向こう

「これってどうするべき?

最寄りの村に持って行ったらご老人の誰かに心当たりがあったりすると思います?」

誰かの宝物だった(と思われる)犬像を地面に転がしておく訳にはいかないが、元に戻すべきか持ち主を探す努力をすべきか、ちょっと微妙だ。


犬の像を宝物とするなら子供だと思うんで、まだ元の持ち主が生きている可能性もワンチャンあるかもだけど・・・欲しがるかね?

見て思い出すかどうかも微妙だしなぁ。


「一番近くにあった集落は離散しちまったからなぁ。

現時点で最寄りの村に持って行ってもこの洞窟に来た事があった人間は少ないと思うから、持ち主を探すのは無理だろ。

気に入ったなら持って帰ってもいいんじゃないか?

要らないなら戻すんだな」

赤木さんが言った。


「・・・戻しときます。

最近は猫派なんで」

蓮クンの方が犬派っぽい雰囲気かも?


一応聞いてみるか。

「いる?」


「なんか悪い気がするからいいです」

蓮クンも首を横に振った。

やっぱ戦時中に空襲で死んだかも知れない子供の宝物を貰うのは微妙だよね〜。


と言う事で犬像を穴の中に戻し、石を押し込む。

ドライバーは・・・邪魔なのでとりあえず端に蹴り避けておいた。

碧は無事ムカデの生体指標(マーカー)をゲット出来たとの事。

うっし!


「そんじゃあまあ、洞窟の奥までさっさと確認して残りの範囲をカバーしようか」

杉浦氏が言った。


誰か何か見つけて無いかなぁ。

一応それっぽいのが見つかったらチャットアプリで全員に連絡する事になっているんだけど、よく見たら洞窟の中は圏外になっていた。

地下道とかも昔は携帯のレセプションが悪いところが多かったらしいし、やはり地下は電波が通りにくいようだ。


「デートでこんな奥まで洞窟の中に入るのかしら?

それともムカデとかが出てきたのに驚いて抱きつかれるのを期待していたとか?」

碧が周りを見回しながら呟いた。


「考古学とか地質学とかそう言う系の趣味な子じゃ無い限り、これはデートスポットとしては向いていないと思うな。

高校生ならまだしも、成人した大人が抱き付かれるのを期待してデートコースに洞窟を選ぶとは思えないし」

それだったらどっかの幽霊屋敷に行けばいいだろう。


アトラクションとしての幽霊屋敷も連続殺人鬼とかが潜んでいそうで危険な気はするけど、ムカデが出る洞窟よりは女性ウケするだろう。


「子供は何故か小さな空間に入り込みたがるが、確かに成人した大人のデートではここはあまり無さそうなんだが・・・見つかっていないから一応探さない訳にはいかんだろ」

赤木さんが言った。


結局、更に20分ほど掛けて最奥まで行ったが、特にこれと言った発見は無かった。

外に出てから休憩を取りがてら携帯を確認したら、境界門が見つかったとの連絡が入っていた。


「行方不明者が複数出てる場所で滅茶苦茶レアな境界門が見つかったのって、偶然の一致って事はないよねぇ。

これで山狩りは打ち切りかな?」

碧が呟く。


「うんにゃ。偶然の一致を否定する証拠がないから、決められた範囲は調べろって書いてあるよ」

アプリの知らせを最後まで読んで碧に教える。


つうか、続けるんだったら境界門がみつかったって連絡をしてくる必要は無かったじゃん。

遺体が見つかったなら連絡して打ち切りで良いけど、打ち切らない境界門や悪霊発見の知らせは却ってやる気を削ぐだけなんだから知らせてこなくて良かったのに。


「境界門かぁ。

退魔協会の方で境界門がどんな所に繋がっているか、調べる手段とかあるのかな?」

蓮クンが呟く。


どうだろうねぇ。

ある意味、カメラとかビデオを棒で押し込んで向こうの様子を記録できるか試してみると面白そう。


仮に魔素が濃厚な世界だったら、向こうで電気器具がちゃんと機能するのか興味があるところだよねぇ。

と言うか。

『そう言えば、白龍さまの境界門の向こうにカメラとかビデオを押し込んで向こうの様子を確認した事ってあるの?』

碧に念話で尋ねる。


『氏神さまの世界だから、そう言うのは不敬だってことで誰もやろうとすらしてないね。

白龍さま自体は協力を頼んでも嫌がらないと思うけど、出入りする時にサイズをかなり変えるから何か持って行って貰っても巻き添えを喰らって壊れそうな気がする』

碧が応じた。


あ〜、確かに普段の芝犬サイズを一気に上半身(?)だけでも2階建て一軒家サイズな巨体まで戻すのだ。

体に付けておいたカメラがどうなるか、予想もつかないね。


次に雑草刈りに行く際に、あの境界門にカメラを棒にでも固定して突っ込んでみるのはありかなぁ?




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