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別世界!?

「今回の山狩りはこの沢で区切られたこちらの地域の中です。

行方不明になった瀬川淳一氏の父親である慶一郎氏が所有する里山で、沢の向こうは先日雨で地滑りがあって非常に歩きにくい状態になっているのでそちら側に行っている可能性は低いだろうとの事ですので、この地図の区域を虱潰しに調べます」

大量の退魔師が集まった駐車場で退魔協会の職員が説明をしている。

手元のミーティング用アプリからも声が聞こえてくるので、職員の肉声が聞こえていなくても問題はない。

ちょっとタイミングがズレているのでエコーっぽい感じになっているが、内容はちゃんと聞き取れる。


山狩りは危険な動物を追いやる効果も兼ねて一気に全員で山に入ると言われたので、今回は前の病院での大規模案件と違って適当に起きてきた人間から始めると言う訳にはいかないらしい。


二日酔い状態で里山程度とは言え山に入るのは危険との事で依頼前夜の接待は無く、事後にやるそうだが・・・もしも死体が見つかったら夕食を食べる気になる人間がどの程度いるかは不明だ。


考えてみたら大規模案件で危険と言われている悪霊の溜まり場になっている廃病院に行く前日に酒をたらふく飲むのも不味そうだが・・・そこら辺は退魔協会の職員やベテラン退魔師達が目を光らせていたのかね?


「皆さんは山に関しては素人なので、4人1組になりそこへ地元に山歩きのプロに入って貰います。

各自のチーム番号と担当箇所は今メールで送りましたので、確認して担当となる場所の入り口へ向かってる下さい」

4人1組ねぇ。

見知らぬ誰かと組んで仕事をするのは有り難くないが、確かに山歩きの専門家の数が無限大って訳ではないだろうから何人かの組にする必要はあるのだろう。


『知らない退魔師と組むなんてちょっと心配〜』

念話を碧に流す。


『まあねぇ。

下手すると大規模案件を合コンと勘違いしているバカに当たる可能性もあるから何とも言えないけど、流石に山歩き中にナンパしてくる程体力があるのは少ないと思うから、仕事が終わったらさっさと帰っちゃえば問題ないと思うよ。

今回は二人だし』

碧が肩を竦めながら返してきた。


まあ、確かに2人だったら反撃してもちゃんと証言者がいるし、なんとかなるか。

碧みたいに白龍さまと言う心強い味方がいるなら良いけど、私みたいな伝手がない人間だったら一人で何人かと組まされる大規模案件なんて恐怖だな。


そう考えると、師匠を選ぶときは本人だけじゃなくて兄弟子とかの人格諸々も可能ならチェックしておくべきだね。


「あれ、長谷川さんじゃん、久しぶり〜」

ウチらの区画に行ってみたら、蓮少年がいた。

おお〜。

『高木』って蓮クンの事だったか。


そう言えば、昇格したって以前会った時に言ってたっけ?

デビューして約一年年で大規模案件に参加する程となると蓮クンもかなり有望株なのかな?


それとも家族を食わせる為に必死になって仕事をしている結果なのか。

まだ高校生なんだから、少なくとも留年しない程度には仕事を抑えた方が良いとは思うぞ。


「おお〜、蓮クン久しぶり。

そう言えば、碧を紹介したっけ?」

オリエンテーションの後に会った際に碧は一緒だったっけ?


「高木君は知っているわよ。

お久しぶり。

こちらは杉浦修司氏ね。

シングルなせいで色々合コンもどきな仕事に呼ばれることも多い不幸仲間よ」

碧が蓮クンに手を振り、何やら話していた男性を紹介してくれた。


20代半ばというところだろうか。

細マッチョ系でそこそこモテそうな感じな男性だが、私を見て微妙に目が冷たくなった。


おや?

嫌われた?

碧がそれなりに普通に付き合うならまともな人間かと思ったんだけど、名家出身じゃないと別扱いするタイプなの?


「あ、凛は私と同じで男ハントに時間をかけるぐらいだったらバイトを探すタイプだから」

碧が付け足す。


「お、そうなのか。

杉浦だ、宜しく」


あっさり冷たい睨み目からニュートラルにギアを変えて杉浦氏が挨拶してきた。


「長谷川です。

・・・もしかして、協会の合コンもどきって男性にとっても良い迷惑なんですか?」

オンライン小説サイトのランキング上位がハーレムもので埋め尽くされている現実を見ると、男ってひたすら女に飢えているんだなぁと言う印象を受けていたが、考えてみたら大学の知り合いもそこまで酷くはない。


やっぱフィクションだからかね?


前世では王族はクソッタレ度が突き抜けすぎてて参考にならなかったし、寒村時代は村全体が貧しすぎてハーレムをする様な経済力は実質不可能だったから、余裕ができると平均的な男は女にチヤホヤされたい願望を持っているのかと漠然と思っていたのだが。


・・・もしかして、オンライン小説のサイト読者って特定の男性層に偏ってるのかな?

考えてみたら、男女同数程度だったら次から次へとああも都合良く主人公に惚れる女性が出てくるハーレムものばかりが人気になる訳ないか。


それはさておき。


「確かに業界の事を知っている女性と結婚する方が色々常識のすり合わせがしやすいし、能力持ちとの方が子供に能力が発現する可能性が高いかも知れないが・・・現時点ではまだ赤の他人を結婚を前提に紹介されたい心境ではないんでね。

なのに勝手にその気になった女性に擦り寄られたり、プレゼントを強請られたりする協会の集まりは俺的には鬼門だな」

顔を顰めながら杉浦氏が言った。


あ〜。

男にセクハラ紛いに触れられるのは不快だけど、誘惑しているつもりの女に体を擦り付けられるのも確かに嫌そうだ。


更に奢りを期待されるとかプレゼントを強請られるなんて、確かにふざけんなって感じだね。


「え、会ったばっかりの女にプレゼントを強請られるんですか?!」

蓮クンが驚いた様に声を上げる。


「おう。

飲食やタクシーは当然奢り、一緒に動いている最中に突然どっかの店に勝手に入って行かれて見捨てる訳に行かないからついて入ったら『どうかしら?』と聞かれて『良いんじゃないか?』と適当に答えたら『ありがとう!』と当然プレゼントされるものとして礼を言われる。

金がないと見做したら荷物持ちとしてしか認識しないくせに、金があると知ると只管寄生しようとする女は多いぞ〜」

溜め息混じりに杉浦氏が言った。


マジか。

それってなんか私の知っている世界じゃないんだけど?!

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