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たるみ

「あれ、源之助ったら太ってきた?」

ふとローテーブルから窓際へ歩いている源之助を見てお腹の辺が目についた。


「え??

体重はちゃんと毎日測っているのに!

一応健康上は問題ないよ??」

碧がタブレットから顔を上げて源之助の方を見る。


そう、碧ったら毎晩寝る前に源之助の体重を測ってるんだよねぇ。

うっかり太ったら良くないって言っているけど、碧がいればそれこそ肥満体型になっても健康上の問題は起こさせないんだから関係ないんじゃない?と言う気もするのだが、動物(人間も含めて)ってちょっとカロリー節約めな方が長生きするらしいので、碧は源之助の体重に関してもかなり気を遣っているのだ。


長生きって病気にならないってだけでなく体全体のゆっくりとした機能停止も含まれるので、老化を出来るだけ遅らせる為にも絶対に太らせないと言う碧の執念は中々凄い。

あれだけ源之助に甘々なのに、どれだけ強請られてもオヤツとかは決めた量以外は出さないからね〜。


ちなみに、私は碧が怖くてオヤツはあげてない。

うっかりあげすぎて体重が増えたらどれだけ怒られるか分からないので、源之助に強請られたら意識誘導を使って誤魔化している。


新陳代謝を上げて、食べても太らない様にしたら良いんじゃね?とも思ったけど、代謝を上げて老化が早まっては困ると言うことでズルはしないんだそうだ。


それはさておき。

「なんか、源之助のお腹の辺が垂れ下がってタポタポになってるよ?」

座り込んだ源之助を一度抱き上げてもう一度床に下ろし、立った姿勢にして碧に見せる。


源之助ってシルバータビーって言う種類のアメリカンショートヘアーだから、背中や顔はグレーや黒い毛が多いのだが、改めて注視するとお腹周りは白や薄いベージュなので垂れ下がっているお腹の皮が余計に目立つ。


「あぁ、あれって脂肪じゃなくって皮らしいよ?

猫って足の可動域を増やす為にお腹周りの皮が弛ませるみたい?」

源之助のお腹を見た碧があっさり教えてくれた。


「え、でも子猫の頃はあんな風に弛んで無かったけど普通に足は動いていたよ?」

ジャンプする動きや走り回る元気さも今と違いは無かったと思うが。


「でも大きくなってジャンプする距離は増えたじゃん?

やっぱ皮が弛む事で運動能力のポテンシャルがフルに発揮できるんじゃないかな」

碧が指摘した。


確かに、子猫時代の源之助ってカーテンをちょくちょく登って高いところに行っていたけど、ジャンプで辿り着ける高さは今よりは低かったか。

筋力が増えただけだと思っていたけど、皮の弛みも関係していたのかね?

・・・考えてみたら最近は源之助もカーテンを登らなくなったなぁ。

やっぱり猫の爪で支えられる重さ的に成猫がカーテンを登るのは厳しいのかな?


でも、野良猫って木とかに登っているよね。

単にレースのカーテンだとカーテン側が成猫の重さに耐えられないってだけ?

ちょっとツルツルな今の遮光カーテンを、猫が登りやすい生地にしたら源之助は今でもカーテンに登るのかな?


あまり登って欲しくないからカーテンを変えるつもりは無いが。


「なんかでも、源之助も大分と落ち着いてきたせいか食べる量が少しずつ減ってきたね〜。

更に減らさなきゃいけないのかと心配になったけど、あのお腹が脂肪じゃ無いなら大丈夫か」

毎日タッパーに残っている餌の量からあげたカロリー値もちゃんと計算して、毎晩の体重と一緒に記録してあるんだから碧も中々マメだよねぇ。


「そう、あのルーズスキンが脂肪じゃ無いのはちゃんと触って確認してあるから大丈夫〜」

碧が応じた。


「ルーズスキン??

だらしない肌??」

変な言葉だね。


「多分loose skinの和訳だと思う。

本当ならルーズじゃなくてルースの筈だけど。

もっと一般的な英語の言い回しは更に変で、プライモーディアルポーチとも言うんだって」

碧がタブレットで何か調べてこちらに見せてくれた。


Primordial (原始的な)pouch(袋)ねぇ。

意味が不明過ぎる。

原始的でも無いし、袋でも無いだろうに。


日本語も時々変な言い回しがあるけど、英語も意味不明な言葉があるんだねぇ。

つうか、なんで日本語には猫のお腹の弛みに関する単語がなかったんだろ?

化け猫の話とかあるんだから、昔から猫だっていた筈なのに。


変なの。


そんな事をだべっていたら、電話が鳴った。

お。

あの着信音は退魔協会だ。

依頼かな?



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