表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
539/1361

あれ??

「そう言えばさ、凛の不眠症用お守りと私の肩凝り解消用お守りを一緒にしたりって出来るのかな?

両方一緒のお守りを作れたら効果が大きくてこう言う場所に来ちゃう人とかにも良さげじゃ無い?」

碧がレンタカーを運転しながら聞いてきた。


確かに、自殺しちゃう人とかって悩んでいて碌に眠れなくなる事が多いって話だから、悩み始めた段階で不眠症用にお守りをもらってそれに軽い健康回復効果もあったら良いかもだよね。


・・・都合よくウチらのお守りが自殺を考える程に追い詰められている人へ届くかは不明だが。


一応私のお守りと碧のお守りを一緒に持っていても効果が阻害されないことは確認してあるが、一つのお守りとして一緒にするのはどうだろう?

まあ、一つのお守り袋に2枚紋様の紙を入れるだけなら問題なく動くかな?


「違う属性の術を同時に起動させる魔法陣って言うのは無理だと思うけど、一つのお守り袋に2枚魔法陣を描いた紙を入れるのは可能だと思うよ。

値段を倍にしないとペイしないけど」

魔力を込めながら紋様を描いて作るのだ。

私と碧が同時に同じ紙の上に紋様を描くのは不可能だろう。


「青木氏の甥御さんみたいな場合に他の人が心配してお守りを渡すとしても、複数持たせるのは難しそうじゃ無い?

だとしたら一つに二つ効果があるのを渡す方が良いかもと思ったんだけど」

碧が言ってきた。


「う〜ん、過労死一歩手前の人の場合は下手にしっかり眠って健康回復しちゃうお守りを渡すと倒れるのが遅れちゃうだけで、却って不味いかも?

それだったらある程度体がボロボロだったら倒れて病院に運び込まれるような緊急ストップボタンみたいな機能があるお守りの方が安心だけど、流石にそんなのは無理だし」


持ち主を気絶させるような魔法陣は黒魔術で作れなくはないが、『健康状態がヤバかったら』と言う見極めは白魔術だし、そんな魔法陣は無いだろう。


「職場のブラックさに流されて洗脳状態っぽく視界狭窄になっている時に一歩下がって状況を見直させる魔法陣があったら良いのにね」

右に曲がるウィンカーを出して車を一時停止させながら碧が言う。


「確かにねぇ」

社畜状態の人にせよ、自殺を考えてる人にせよ、視界狭窄になっているんだろうから一歩下がってその状況を客観的に見直せば状況を変えられる可能性は高いだろう。


とは言え。

視界狭窄は状態異常のデバフって訳じゃあないから、それを解除する便利な術も無いんだよねぇ。


そんなこと駄弁りながら最寄駅へ向かっていたら、ふと細い道を歩いている人が目に入った。

田舎だから何処もかしこも距離があり、歩いている人なんてほとんど居ないから目立つ。


しかも。

「・・・なんかあの人、憑かれてない?」


「え?」

碧が慌てて車を脇に停めて振り返る。


「本当だ。

・・・もしかして、あの人って憑かれてさっきの崖のところまで飛び降りに行く最中だったりするの??」

碧が目を丸くして身を乗り出しながら道を一心不乱にに歩いていく女性の姿を見つめる。


「現場で自殺願望者を誘惑するならまだしも、こんな距離を歩いて特定の場所へ行かせて自殺させる悪霊なんて居るの??

ちょっとどころでなく可笑しいでしょ?!」

思わず抗議の声を上げてしまう。

が。

もしかしたらそうなのかも?


普段だったら悪霊に憑かれている人を見かけても無料で頼まれもしないのに祓ってまわったりはしないが、流石に今回は悪霊祓いの依頼終了の報告をしようとしているところで目の前を悪霊を憑けた人がそちらに向かって行くのを無視する訳にはいかないだろう。


「取り敢えず。

もう一度さっきの崖まで戻ろう。

あの女性にはクルミに追跡して貰っておくわ」

収納から隠蔽型のクルミの躯体を取り出す。


「あの女性の後を追って頂戴」

鳥の視野を持つハネナガの方はこう言う追跡任務には向いているんだけど、今日は連れてきてないからねぇ。


『分かったにゃ』

すいっとクルミが飛んでいく。


ハネナガとの契約はちょっと緩いから、この距離で呼び出すのはちょっと大変なのでクルミでなんとかしたい。

視野を共有したまま地図アプリに書き込んでいけば女性が何処に向かうかをなんとか把握できるだろう。


「こっからあそこの崖まで歩いてそれなりに掛かりそうだけど、道を知っているのかしらね?

ローカルの人だったら車かせめて自転車で来そうなものだけど」

碧が車をUターンさせながら言った。


「だよねぇ。

田舎で歩いて移動って村の中とか以外はほぼ無いって聞いたのに」


取り敢えず。

あの女性が崖まで来たら悪霊を捕まえて誰が何を何を企んでいるのか確認しなくちゃ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ