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将来の展望?

「ちなみに黒魔術系の才能持ちだったご先祖様の符とかって残ってないの?」

エアコンモドキな符をそっと距離をとって覗き込みながら碧に尋ねる。


一族に伝わっている現役で活躍中な古い符なんて、もしもの事があったら取り返しが付かないからね。

まあ、ワンチャン碧パパか翔君が適合する属性の元素系魔術師才能持ちで、この符のコピーが残っていて再現できる可能性もあるかもだけど。でも、紋様が分かったからって再現できるとは限らないからね。


今だったらエアコンで湿度と温度管理も一応できる筈だが、電気代が跳ね上がるだろうし、うっかりエアコンが壊れたり、室外機の排水ホースの接続に問題があって蔵の中にカビが生えたりしたらやばい。

触って壊れるなんて事はないと思いたいが、取り返しが付かない事は避けるに越した事はないので、うっかり体勢を崩しても触れないだけの距離を取って見ている。


「う〜ん、藤山家って歴史的には回復師系が多いんだよねぇ。

次点で水らしいから、魂や精神とか関連のって殆ど居ないし資料もあまり残ってないんだ。

実物の符でも霊力が残っているのはないと思う」

碧がちょっと申し訳なさそうに答えた。


まあ、白魔術師と黒魔術師じゃあ大分と違うからね。

と言うか、魔術師って必ずしも遺伝しないものだって前世では言われていたけど、地球では違うんだね。

陰陽師系の旧家とかもあるし。そっちも遺伝しているって事だから藤山家が例外って訳ではないみたいだ。


まあ、それはともかく。

符の紋様系で使い勝手がいい(と言っても適性違いな私は作れないけど)のは碧が元々ラミネートしてファイルに整理してあるので、読めない資料系は放置して、壺や皿やその他イマイチよく分からない骨董品っぽい物が入っている箱を暫し見て回ってから、源之助の所に戻る事にした。


「じゃあ部屋に戻って源之助と遊んでくるね〜。

喉が渇いているなら飲み物を持ってきてもいいけど、いる?」


「いや、さっき飲んだしここは飲食禁止だから、大丈夫〜」

ゴソゴソと資料を漁りながら碧が答えたので、家の方に戻る。


「あら、もう良いの?」

碧の部屋を覗き込んだら、碧ママがベッドの上でまったりしている源之助にそっとオモチャをフリフリと動かしているところだった。


源之助もそろそろオネムなのかな?


「下手に触ったら壊したり汚したりしそうで怖いんで、引き上げてきました」

小さく笑いながら肩を竦める。

何かを壊したところで碧の家族が損害賠償を求めない可能性は高いが、先祖代々受け継いできた物を壊すのは避けた方が良いだろう。

そう考えると、あの蔵は素人が気軽に遊びに行くべき場所では無い。


「そう?

まあ、確かに古文書なんかは見ても何が書いてあるか分からないのに下手に触ると破れそうだし、怖いわよね。

夫なんかは子供たちにあれに馴染んでガンガン学べば良いって言っているんだけど」


子供にあれを触れさせるとは良い度胸だ。

流石(?)は由緒ある神社のトップ。

いつかは跡を継ぐんだと思えば、触るのすら怖がる様じゃあダメなんだろう。

翔クンがあの古文書を読めるのか、知らないが。


「次の世代に知識を伝えていく為には翔君や碧もあれを読める様になっておく方が良いんでしょうねぇ。

いつかはああ言うのをスマホで読み込んで自動翻訳してくれるアプリでも出来れば良いんですが」

私的には古文書の文字もアラビア語と同じぐらい何が書いてあるか分からないが、アラビア語だったらAIが自動翻訳してくれる様になると思うが、古文書はどうだろうね?

需要が少なすぎて、開発してくれるスポンサーが居ないかも?


「そうねぇ。

でも凛ちゃんと仲良くなってから碧も少し退魔の術とか符に興味を示す様になって、ああ言う古文書や紋様の事について夫と連絡を取って質問をする様にもなってきたのよ。

ちょっと安心しちゃった」

碧ママが嬉しそうに教えてくれた。


おや。

私の為に色々調べてくれてるのかな?

「符やお守りの作り方とかを教えて貰って本当に助かってます」


「碧にやる気を出させてくれて私達の方こそお礼を言いたかったの。

義弟が大手の医療機関からの嫌がらせで離島に行っちゃってから、碧ったら自分の力の使い所を見失っちゃった感じだったのよ。

小さい頃は近所のみんなを助けるの!って意気込んでいたのにね。

本能で癒し方が分かっているのに意味のない医師免許の勉強を強制させる制度だけでもうんざりなのに、医師免許を取っても大手医療機関に邪魔されて廃業に追い込まれるのを傍観している退魔協会にも失望していたし。

退魔師としての仕事も柵があるから辞めないけど、必要最低限だけしかやらないって前は言っていたのよ」

碧ママが教えてくれた。


なるほど。

そう考えると碧にとって何とも将来の展望って面白味のないものだったんだろうなぁ。

今は退魔協会以外で儲ける事とか、ラノベにある様な魔道具っぽい物を作ったりする事が面白いから先祖の資料とかも読もうと言う気になっているのか。


まあ、退魔協会以外の収入の手段を増やしていくのは良い事だよね。

面白楽しく、色々研究していこう。


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