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ここにもロクデナシ

そっと阻害認識結界を纏いながら猫背ぐらいな感じに少し前屈みになって車の間を歩いて行き、執拗に後ろから車間距離を詰めていた車に近づいた。

運転手は何やら携帯を碧の方へ向けている。


げ。

記憶を消した後に携帯の中身も確認しないとダメ??

変な画像が残っていたら不味いな。

そっと助手席のドアの斜め後ろに立ち、昏睡結界をばっと展開して車の中まで広げる。


基本的に昏睡結界って触れてきた相手を昏倒させるものだが、展開した範囲に元からいた人間も触れたのと同じ効果になるんだよね。


あっさり男が昏倒したので5センチ程度開けてあった助手席側の窓からクルミを放り込み、ドアのロックを解除させて中に入った。


『無事容疑者捕獲成功〜。

トイレ行くなり、サービスエリアで何か買うなり、源之助と遊ぶなり、暫く好きにしてて〜』

念話で碧に連絡する。


『大丈夫?

何か手伝おうか?』

立ち止まって携帯を取り出して耳に当てた碧から念話が返ってきた。


『いや、大丈夫。

チャチャっとやって5分ぐらいで車に戻るから、気にしないで。

あ、でも車の鍵がないから考えてみたらあまり時間は掛けないで戻ってきてね』

まあ、あまり長時間だと天気がいい今日なんかだと車の中が暑くなるので、源之助を心配して碧もトイレに行く程度で直ぐ戻るだろうが。


そんな事を考えつつ、男の肩にそっと触れて記憶を読む。

ふむ。

私らを追い掛けていたのはやはり確信犯。

ただし、別に碧や私が何かしたからと言うのでは無く、そこそこ高そうでかつドライブレコーダーの無い車に女2人で乗っていたから狙っただけ。


「なんとまあ、現世でもロクデナシが多いね」


どうやらこいつは金に困って居なさそうな人間を見ると嫌がらせをするのが趣味で、その為に平日の昼から車で徘徊している穀潰しだった。

親の脛を齧り、嫌がらせをする車のガソリン代を稼ぐためだけに非定期な派遣の仕事をしている実質ニートだった。

引きこもって居ないだけマシと親は思っているようだが(親には求職中と言って家を出ているらしい)、やっている事は快楽殺人一歩手前じゃないか。

最近は警察とかも煩くなってきたのでドライブレコーダーが付いている車は狙わないし、実際に自分からぶつかって行く事は無いが、嫌がらせの相手が慌てたりイラついて事故を起こすのを最大の楽しみとしているロクデナシだった。


女を狙うのは、相手が怒っても殴りつけてきたりする事は無いから。

携帯で警察に通報されてもパトカーが近づいてきたところで離れれば大抵は警察側も諦めるか、精々口頭注意程度らしい。


マジでムカつくな。

取り敢えず、私と碧の記憶を消し、男の手を取って携帯の生体認証の所に指を当ててアンロックしてアルバムの写真から碧(と私のも!)の画像を削除した。


携帯の生体認証ってパスワードも入力しなきゃいけない時もあるが、指を当てるだけでアンロック出来る事も多いんだよなぁ。


これってそれこそ酔っ払って誰かの家に泊めてもらったり、逆に誰かを泊めたら携帯の中の情報を抜かれたりしかねなくない??

そう言えば、こないだ銀行の方からワンタイムパスワード用にアプリを入れろってお勧めが来て、ワンタイムパスワードがある方が安心だと思って入れて、便利だから生体認証でアプリも起動するようにしたけど・・・下手をしたら私が寝ている間に指を当ててアンロックして勝手に振り込みとかやられちゃう可能性もありそうな気がしてきた。

手を触れられて目が覚めるかどうか、不安だ。


・・・うん、銀行のアプリは生体認証で起動しない様に設定を変えよう。


さて。

こいつにはこれ以上嫌がらせをしない様に何か条件付けしておきたいな。

悪意を持って車のハンドルを握ったら急に酷い眩暈がする様にでもしておこうかな?

クラクラしているのに諦めずに車を動かそうとして誰かに怪我をさせたら困るから、ついでに腹もキリキリと痛くなって足に力が入らない様にでもしておこう。


ついでに『この苦しみは天罰かも?ちゃんとした仕事をしてお金を稼げば体調の悪さも治るに違いない』って暗示も深層意識に挿入しておくか。


人手不足で外人使わなきゃとかホテルや飲食店が営業時間を短縮せざるを得ないとかって新聞にも出てるんだから、『自分を正しく評価する様な仕事がない』なんて傲慢な事を考えずにさっさと働きに行け!




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[一言] 地獄少女リンの出番!
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