鑑定スキルが欲しい
「鑑定スキルがあれば良いのに・・・」
ここ暫く魔力を込め続けてきたアロエを睨みながら唸る。
はっきり言って、魔力をちゃんと吸収したのか全然分からん。
魔力視で視ても目で見ても、コントロール用に別に育てた普通のアロエと違いが見えない。
魔力がちゃんと吸収されていないからなのか、単に私の魔力視の精度が足りないからなのか、魔力が成長に影響が無いからなのか、全然分からないのだ。
「確かにね〜。
何と言っても鑑定って異世界言語、インベントリと合わせてラノベ三大テンプレスキルだもんねぇ。
マジであったら便利そう」
碧が頷く。
「こないだの占い師だったら鑑定に近い能力かも知れないから視たら分かるかもだけど、流石に植木鉢を持ち込んでそれの占いを頼むのは色んな意味でやらない方が良いだろうからなぁ」
そう考えると、鑑定スキルって滅茶苦茶レアだよね。
ラノベの主人公の2人に1人ぐらいは持ってる勢いだけど、あれは現実離れしたご都合主義だよね。
まあ、ラノベなんて最初から現実離れしたご都合主義の塊だけど。
「なんかこう、どっかを切って試すべきか否か、悩ましい。
もっと待つべきなのか、待ってもしょうがないのか、分からないのももどかしいし」
う〜と思わず唸りながらアロエを睨む。
変に睨みつけたらストレスで植木に悪影響があるかもだけど、完全に手探りで観測方法すらない実験って性に合わないわぁ〜。
「前世の薬草ってどんな感じだったの?」
「元々見た目で知っていたから、態々集中して魔力視で探そうとはしなかったなぁ。
黒魔術師時代は学校の授業でちょろっとやった程度でポーション作りも薬草採取もほぼ縁がなかったし」
労働形態は実質奴隷だったが、名目上は王宮魔術師で給料も良かったから下っ端がやる様な作業とは縁がなかったんだよねぇ。
寒村時代は普通に覚醒前の子供時代に覚えていたから、そのまま見た目で採っていたし。
だから薬草が魔力視で調べたら魔力が多く視えたかどうか、知らない。
つうか、考えてみたら魔石モドキを探していた時、聖域の低木とかには多少の魔力が視えたな。
となると植物だってそれなりに魔力を吸収するって事だから、全然視えないこれはダメなのかな?
ただねぇ。
実験の為に自分をちょびっとだけど切って試すことを考えると、痛い思いをするなら成功して欲しい。だから短気を起こして早くテストするのはアホらしいんだけど、いくら魔力を込めてもダメならそれもさっさと知りたい。
なんとも悩ましい。
「う〜ん、取り敢えずこっちの世界でポーションもどきが作れるかをまず確認する為に、聖域に行ってヨモギが生えてないか探してみない?
実質雑草だから、絶対生えてると思うんだよね。
それだったらマジもんのちゃんとした魔力の籠った薬草だから、ポーションが出来そうじゃない?
なんだったらアロエも一鉢あっちに植えてきても良いし」
碧が提案した。
確かに、人間が魔力を注いでポーションを作れる薬草になるか確認する前に、聖域のヨモギでポーションを作れるかをまず試すか。
アロエを植えておいたらそっちでも後で確認できるし。
「ミントもついでに植えてみる?」
ミントの方が成長が早そうな気がする。
「う〜ん、ちょっとネットで調べてみたら、ミントってびっくりするほど生命力が強くて他の植物を駆逐しちゃうぐらい茂るらしいんだよねぇ。
聖域がミントだらけになったら不味くない?」
碧がちょっと躊躇しながら言った。
へぇぇ。
ヨモギだって雑草扱いなのに、ミントはそれよりも凄そうなのか。
でも。
「生命力が強いのって傷用ポーションに使う薬草の特徴だったんだよね。
アロエよりも良いかも?
とは言え、確かに聖域をミントだらけにしたら怒られそうだから、下が密閉されてる大きな背の高いプランターの中に置いた植木鉢に植えて、外からある程度隔離されている感じにして育ててみる?
そんでもって花が咲きそうなぐらい伸びたら一度全部刈り取っておこう。
多分薬草になるほどの生命力があるなら根っこさえ残しておけばまた伸びるから、上手くポーションが出来る様だったらそのまま育てて良いし、ダメだったらプランターの中身を破棄しよう」
どうやって土を破棄するのか知らないけど・・・ちょっとずつゴミに出せば良いよね??