表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
509/1362

藪は突かない方が良い

「・・・お客様に寄り添う大いなる白い光が眩し過ぎて、よく視えません。

すいません、占い代はお返しします」


観測依頼が終わった翌日、早速あの占い師のところに来た。


ちなみにあの日からずっと私に継続的に注意を払われていたらわかる魔道具カードを使っていたが、国や退魔協会の手先と思われる相手からの監視は見つからなかった。


結局、カマ掛け疑惑は被害妄想だったのか、それとも『本物の未来見ですね』と報告した時点で足を出さないだろうと断念して止めたのかは不明。


もしかしたら占い師の方に監視が付いているかもと今日も魔道具カードを身に付けているが、特に何も引っ掛からない。


まあ、魔道具は人間が直接関与していないと分からないから、監視カメラ経由で見張られている場合は気が付けないけどね。

とは言え、監視カメラ経由だったら多分能力を使っても分からない筈だから、よっぽど迂闊な行動を取らない限り大丈夫だろう。


で、開始一番に来たのだが・・・やはり碧は駄目だった。

白龍さまの存在が強烈過ぎるんだろうねぇ。

この占い師が一体何を視ているのか、興味があるところだけど。

特に大きな事件は起きないでしょうって言うならまだしも、大いなる白い光で視えないって不思議な言い回し。


「普通って客が将来結婚するかとか、子供が出来るかとかって読めるんですか?」

考えてみたらそう言う予言っぽいことをしているのは見たことないけど。


「いえ、余程確定した未来で無い限り、そう言うのもはっきりとは分かりません。

誰かの面影がチラッと視えることもありますが、人影が何を意味するのかの解釈を間違う可能性も高いですし」

占い師が首を横に振った。


なるほど。

誰か大切な人っぽい人影が視えても、それが何を意味するかは微妙に不明だから何も言わないのか。

確かに、素敵そうな男性の姿が見えたってそれが単に親しくなるお隣さんとか、子供の将来の伴侶とかって可能性だってゼロでは無いよね。

可能性は低そうだけど。


しっかし、何も見えないかぁ。碧にとって白龍様よりも重要な存在となる夫とか子供が出現しないと言う事なのか、それとも白龍さまの存在が大きすぎるせいで全ての未来見が阻害されるのか。


前世では未来見ってふんわりとした巨大な織物の様な世界の理の一部をちらっと一瞬だけ視えるようなモノだって言われたことがあったけど、チラッと一瞬だったら白龍さまの存在感で圧倒されちゃっても不思議はないのかもだね。


「じゃあ、返金はいいので友人を視て貰えます?」

碧が席を立って私を前に引っ張った。


元々占いはプライベートなものだから私はちょっと離れた部屋の入り口で待ってろって言われていたんだけど、なんかどさくさ紛れに2人のセッションになっちゃってるなぁ。


良いんかね?

取り敢えず、押しちゃえ〜と言う事で席に座り、「お願いします」と手を差し出す。

実はこの占い師は手を握ったりと言った物理的接触は必要としないんだけど、占え〜と言う圧力を掛ける狙いだ。


はぁ。

溜め息を吐いた占い師が背筋を伸ばし、手を組んだ。

よく見たら、意外と若いね。

下手したら同年代か年下かも?


まあ、マジもんの未来見の力があったら、ネットで情報が拡散する現代社会だとあっという間に噂になって国に目を付けられるのかもね。

だとしたら、大学生になった時点もしくは高校を卒業したあたりで占い師を始め、数年でこうなったと考えると同い年ぐらいの可能性もありだな。


未来見がどの程度受験戦争に役立つのかは知らないが。

山は張りやすいと思うが、それでいつも手抜きしていると実力は付かないよね。


未来見の力があるなら就職の為に大学へ行く必要は無いだろうけど。

研究したい趣味とかは無かったのかな?

もっとも、私みたいに自分の力を解明したいと思っても理系に向いた頭脳を持っていなかったって可能性もあるけど。


自分の未来も視えるのだろうか。

あまり自分の先を視るのは健全じゃあないとは思うが。


そんな事を考えている間に私に向かって集中し始めたものの、占い師はちょっと眉を顰めて動きを止めて静止した。

あれ。

そう言えば、私って普通の人と違って視えるのかな?

白龍さまによると誰にも前世も来世もあるって話だけど、その記憶があると何か違って視えるのか、聞きたいところだなぁ。

でも下手に『私って前世の記憶があるんですが、何か違って視えます?』なんて尋ねてそれが退魔協会や国に伝わったらヤバすぎるから、無理だね。


「・・・用心深く、信頼を裏切らない生き方をお勧めします」

占い師が暫くしたら再起動して、これだけ言った。


いやまあ、誰でも注意を払いながら信頼を裏切らない生き方をすべきだとは思うよ?

この場合では、碧の信頼を裏切って白龍さまに見捨てられたらヤバいって事なんだろうとは思うけど。


「何か特別に危険なことがあるんですか?」


「道を歩いていても交通事故に遭う危険は常にありますから、誰の生涯も危険に満ちていますので、何とも言い難いですね。

ただ、お客様が道から外れたら、落ちる先は人より暗く深いように視えます」


・・・マジで白龍さまに見捨てられたら危険一杯か、カルマが真っ黒になって転生先がゴブリン連続になりそうな感じなのかな?


「分かりました。

誰にも恥じることの無い、信頼を裏切らぬ生き方ができるよう頑張ります。

ありがとうございました」


もっと具体的に色々聞きたかったけど、用心深く生きろとも言われたしね。

藪は突かないでおこう。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
お客様が道から外れたら、落ちる先は人より暗く深いように視えます これ、今世(こんぜ)だけのことじゃなくて来世以降のことも含めて言ってるんじゃ…。
[一言] >ただ、お客様が道から外れたら、落ちる先は人より暗く深いように視えます 来週から地獄少女リンが始まります?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ