やってみようか?
「見張りがいるかと思ったけど居ないね〜」
誰かが長時間私の方へ注意を払っていたらわかる魔道具カードを使ってみたが、占い師の営業開始から夕方の5時までで特に誰かが注意を払っている様子はなかった。
帰り道を尾行してくるんかね?
ちなみに、若い女子大生2人が暇そうに喫茶店で屯っているとダブルデートをやりたがっているように見えるのか、暇そうな男どもからよく声を掛けられたので、初日はかなり強力な認識阻害を、私へのカマ掛けかもと思い至った二日目からはナンパ目当てな軽い思い付きでのアプローチ程度を思いとどませる様なちょっと冷や水っぽい効果のある緩い威嚇結界を張っている。
これは知識がなければ見られても監視者には分からないと思いたい。
分かるなら、本人か知り合いが同じようなことをできるって訳で多分無理に勧誘する必要を感じるほど凄いことでは無いと判断されると期待している。
見張られている時にリスクは取りたく無いんだけど、暇そうな女子大生が2人って何故かナンパしたい気分の男に抗いがたい効果があるのか、煩い蝿や蚊の如く、払っても払っても寄ってくるせいで邪魔だったのだ。
占い師の言葉も一応聞いておく必要があるのに、執拗に話し掛けてこられると集中できないんだよね〜。
完全無視すると良い気になって同席しようとしてくるとか、怒って大声を出して怒鳴り散らすとか言った反応をする男が多いし。
いくら碧が美人とは言え、世の中の男ってレベルが低すぎる。
まあ、平日の昼に喫茶店で意味もなく暇潰ししているような男だからレベルが低いのかもだけど。
「既に本物の未来見らしいって報告したから、短気を起こして記憶を読もうとしたりしないと諦めて見張り人員を下げたのかもね」
碧が指摘する。
「ふむ。じゃあ報告したのに終了にせずに追加の時間給を払うって事は、私へのカマ掛けよりも占い師の素行確認の方がメインな依頼だったのかな?」
まともな依頼なんだったらウチらにあそこまで悪印象を与える説明をしなくても良かったんじゃないかと思わないでも無いが。
「かもねぇ。
まあ、大して問題は無かったんだから気にしてもしょうがないんだろうね。
そう言えばさ、依頼終了後にこの占い師の人に占い料を払って何が視えるか聞いてみたら面白そうだと思わない?」
碧が悪戯っぽく笑いながら提案してきた。
「う〜ん、まあどの程度先まで読めるのか、興味はあるところだね。
って言うか、なんか彼の未来見って未来を見ているって言うよりもちょっとラノベの人物鑑定みたいだよね。
呪いを受けているかとか、穢れや病気の状態異常を視て教えてるだけじゃん?
まあちゃんと祓える神社の場所がわかるみたいだから未来っぽい事も視てるけど」
前世での未来見はあまり占いっぽい事はしなかったからなぁ。
基本的にヤバい災害や(戦争も含めた)人災の予見が主で、後はその年の天候予測からくる農作物の助言とかも多かった。
まあ、占いっぽいことをやっていて人気が出ると暗殺防止用に使いたがる王族に囲い込まれて、そこからは王族の相手をしている合間に国の為にちょっと頑張るって感じだったからねぇ。
本格的に占い師として活動出来ていたらどうなっていたかは知らない。
王族の命を救わずに下々の民の為に貴重な能力を使うなんぞ許さん!って感じだったから、本物だとバレた段階で回収不可避だったからねぇ。
「そっか、確かに未来を読んでるって言うよりも状態異常を鑑定している感じだね。
状態異常が無い相手を読もうとしたら何が視えるのか、興味があるなぁ」
碧がジンジャーエールをズズズとストローで吸い上げながら言った。
「碧は白龍さまで埋め尽くされちゃってあまり視えないんじゃない?
もしかしたらどっかの気の良い男性と結婚して子供3人と孫5人に囲まれて老衰で死ぬとか言われるかもだけど」
大々的な不幸な出来事は白龍さまが防ぐだろうから、あまり不幸系な未来で視える事は無さそうな気がする。
まだ私の方が碧とのパートナーシップが何らかの理由で破綻したらヤバい感じに国や退魔協会に追い込まれる可能性もあるから、不幸な将来って言うのが視えるかもだが・・・あの占い師ってマジでどの位先まで視えるんだろ?
「・・・依頼が終わった後に普通の客として行く分には文句を言われる謂れは無いよね?
近いうちに国に手を出されて彼が占いを辞めちゃう可能性も高そうだから、最終日の翌日にでも行ってみようか?」
折角現世で初めて見つけた本物の占い師なのだ。
ちょっと話を聞いてみても良いかも?